賛否両論だったカストロ前議長が最期まで国民に愛された理由

投稿日: 2016年12月22日 06:00 JST

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キューバのフィデル・カストロ前議長が11月25日に90歳で他界しました。カストロ前議長といえば全世界の若者に「革命への夢」を与えるいっぽうで、世界最強のアメリカに対しては「帝国」と捉え最後まで闘争心を燃やしていました。

 

そんなカストロ前議長の評価は、ここまで二分する指導者もいないのではないかというほど大きく分かれます。それは、アメリカのオバマ大統領氏とトランプ次期大統領のコメントからもわかります。オバマ大統領はカストロ前議長を「偉大な指導者」と呼び讃えていたのに対して、トランプ次期大統領は「野蛮な独裁者」と非難しました。

 

トランプ次期大統領がここまで非難するのには、理由があります。カストロ前議長は共産政権を樹立した当初から、アメリカに対して一貫して徹底抗戦の姿勢を打ち出してきました。具体的には彼が政権を初めて握ったのは59年ですが、直後にアメリカをはじめとする国内の外国資本を没収して国有化。急進的な社会主義政策を展開し、61年にはアメリカと国交を断絶するまでに至っているのです。

 

ここで、カストロ前議長の人生をごく簡単に振り返ります。26年にスペインからキューバへの移民の子として生まれ、名門ハバナ大学を卒業して弁護士に。大学在学時から政治活動をしており、卒業後はゲリラ闘争を通じて祖国キューバへの解放運動に関わります。56年にはもう一人の革命運動の英雄であるチェ・ゲバラ氏など同志82名とボートに乗り、メキシコからキューバへ上陸作戦を決行します。

 

しかし当時の悪天候とカストロ一行の上陸を事前に察知した独裁政権の攻撃にあい、生き残ったのはカストロ前議長を含めてたったの12名でした。彼らは、山間地域を転々としながらゲリラ闘争を展開。その最中に反政府軍勢力との連携を組むなど、急速に勢力を拡大していきます。そして59年1月1日、当時のキューバの独裁者・バティスタ大統領がドミニカに亡命したことでキューバ革命は成功。カストロ政権は生まれました。

 

80年代後半には冷戦が終焉を迎え、ソ連など東ヨーロッパの国々が次々と民主化。そんななかでも依然として、カストロ前議長は共産主義政策を推進していきました。多くの共産主義国家とは異なり、カストロ前議長は亡くなるまで国民から圧倒的な人気を得た存在でした。またその活発な対外政策によって、強大国の影で疎外されていた第三世界の国々でも指導者的な存在に。そして01年には「共産政権樹立以降、アメリカによるキューバへの制裁措置などの圧力にもかかわらず他の国々を助けてきた」点などが評価され、ノーベル平和賞の候補にもなりました。

 

キューバは小さい国で経済的に豊かな国とはいえないにもかかわらず、国民の幸福度はとても高い国として知られています。それもカストロ前議長の業績といえるでしょう。彼は49年間も国家指導者の身でありながら、土地の改革や国民へ無償の医療と教育を提供する平等政策を実施。医師、技術者、そしてボランティアなどを海外に派遣しながら、世界の革命運動を支援してきたのです。またソ連のスターリンや北朝鮮の金日成主席のような盲信的な個人崇拝が行われなかったことも、ほかの独裁国家とは違って最期までキューバの国民に愛され続けた要因であったといえます。

 

人生を革命に捧げてきたカストロ前議長。彼に対する評価は賛否両論に分かれるなかでも、革命家としての彼の実績を疑う者はいないのではないでしょうか。「革命とは、バラの庭園ではなく、未来と過去の間の闘争である」。これはカストロ議長の革命観ですが、彼の死によって一つの革命の時代は終焉を迎えようとしています。

 

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ジョン・キム

'73年韓国・大邱生まれ。19歳で日本へ国費留学し、ハーバード大、慶應義塾大など世界の大学を渡り歩く。組織に縛られない「ノマドワーカー」の代表的存在として注目を集め、社会人版「キムゼミ」には多くの人が詰めかける。『媚びない人生』(ダイヤモンド社刊)、『来世でも読みたい恋愛論』(大和書房刊)など著書多数。
 

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