ウィーン人はステーキで極寒の冬を乗り越える!

投稿日: 2017年01月05日 17:00 JST

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ウィーンの文学フェスティバルに招待されましたので、初冬のウィーンに出かけてまいりました。実はウィーンに従妹がいるのです。母の兄の娘ですが、小さい頃はよく一緒に遊んでおりました。5歳年下なのでもうそこそこいい年齢ですね。ご主人は地元のセキュリティ会社に勤める温厚なオーストリア人です。お子さんはいらっしゃらないのですが、なんとも仲睦まじい2人です。この従妹、実はウィーンで料理の先生をやっております。のべ300人を超える生徒さんたちを抱えてきました。生徒さんたちはウィーン駐在員の奥様方が多いようで、伝統的なウィーン料理を教えているのだとか。血は争えませんね。文学フェスティバルの合間を縫って2人でウィーン料理の舌鼓ツアーをやったのです。ウィーン料理というとあまりピンとこない方が多いかもしれませんが、これが実に美味しいんです。

 

もともとハプスブルク家が統治していたオーストリアはドイツ、イタリア、ハンガリーなどと隣接し、11に上る民族が共存しています。イタリアから子牛のミラノ風カツレツが渡って来て、ウインナー・シュニッツェルになりました。ハンガリーから渡って来て有名になったのが牛肉の煮込み料理、グーラッシュです。海のない内陸の国ですから、圧倒的に肉料理が中心。東欧や西欧の台所としてウィーンは機能し、料理文化の中継貿易地でもあったわけです。美味しいとこ総取りというところでしょうか。多彩な食文化が融合して生まれた伝統の味と位置付けてもいいかもしれません。甘いものも素晴らしいです。ザッハトルテが有名ですし、デメルも負けておりません。うちの従妹から興味深いことを聞きました。日本人に有名なウインナーコーヒー、あれは実際にはウィーンにはないのだそうです。デメルのコーヒーの横に生クリームが別容器に入れて添えられてあり、そこからはじまったのじゃないか、ということでした(笑)。面白いですね。

 

さて、今回はその料理の先生である従妹からレシピを教えてもらった、ツヴィーベルローストブラーテン(ウィーン風ステーキ、フライドオニオンのせ)をご一緒に作ってみましょう。従妹のレシピを私めがちょっとパリ風にアレンジさせていただいております(笑)。

 

材料2人前:リブロースまたはサーロイン2枚(約400g)、塩・こしょう、牛脂(またはサラダオイル)、玉ねぎ250g、小麦粉適量、牛ブイヨン150ml、バター20g。

 

まず、玉ねぎを薄切りにし、30分水にさらし、キッチンペーパーで水をよく切り、小麦粉をまぶす。180度の油でこんがりきつね色になるまでじっくり揚げる(結構時間がかかりますよ。根気強くどうそ)。牛肉の筋を切り、特に周辺に切り込みを入れ、肉を叩き、塩・こしょうをふり、両面にしっかりと小麦粉をまぶす。フライパンで牛脂を熱し、肉の焼き色がついたらひっくり返す。また反対側も同様に焼き色がついたらフライパンから取り出し、アルミホイルに包んで保温する。中はロゼ色くらいが美味しいですね。お肉を取り出したフライパンに小麦粉大さじ1(分量外)を入れ、ダマにならないようヘラですばやく油となじませていく。そこに牛ブイヨンを加え、混ぜたら、煮立たせる。火を止め、バターを加え溶かす。そこに、肉を戻し、アルミホイルに出た肉汁も加え、ひっくり返し、両面をソースによくなじませる。お肉を皿に盛り、残ったソースを上からかける。その上に先のフライドオニオンをお肉が隠れるくらいたっぷりのせ、軽く塩をふってできあがり。付け合わせにはピクルスを。

 

ザクザク凄い歯ごたえ、肉のうま味はもちろん、なんといっても玉ねぎの香ばしさがたまらない極上のステーキの完成です。ウィーン人が冬も元気な理由がわかります。

 

ボナペティ!

 

エッセイで紹介されたレシピは、
辻仁成 子連れロッカー「希望回復大作戦」ムスコ飯<レシピ>で公開中!

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辻 仁成

作家。東京都生まれ。'89年「ピアニシモ」ですばる文学賞、'97年「海峡の光」で芥川賞、'99年「白仏」で、仏フェミナ賞・外国小説賞を受賞。映画監督、演出家としても活躍。現在はシングルファザー、パリで息子と2人暮らし。
 
DESIGNSTORIES『JINSEI STORIES』
http://www.designstoriesinc.com/jinsei/

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