“世界の胃袋”パリからレバノン料理をお届け!

投稿日: 2017年03月21日 17:00 JST

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料理も大好きですが、食べるのも好き。珍しいもの、話題のもの、伝統的なもの、あっちに美味しいものがあると聞けば飛んでいき、こっちにうまそうなものがあれば駆け込んで食べております。

 

パリは世界の胃袋ですからね、食べられないものなんかめったにありません。渡仏したばかりの15年前、その食のバラエティにびっくりしました。レモン味のチキンが有名なセネガル料理とかファラフェルで有名なイスラエル料理など知りませんでした。カンボジア料理とかグルジア料理とかペルー料理とか……。挙げればきりがありません。香辛料専門店なんかも結構あって、入ると世界中のスパイスが何百種類と売られています。

 

少し前にここで紹介しましたグーラッシュというウイーン料理。見た目は牛肉カレーのようですが、カレー粉は使わずパプリカで作ります。我が家ではカレーにとってかわり大人気。

 

イスラム系移民とともにフランスに渡ってきたクスクスもよく作ります。肉と野菜の串焼きがクスクスという世界一小さなパスタの上にどんと載っている、豪快な食べ物です。アフリカの唐辛子ペースト、アリッサをお好みでつけて食べるんですが、やみつきになる美味しさ。

 

昔、フランスはベトナムの宗主国でしたから、ベトナム料理店もかなりあります。行きつけのフォー専門店のおやじは私が顔を出すと店では出してない魚を発酵させた、超酸っぱい酒のアテのようなものをこっそり出してくれます。これがうまいんです。日本の珍味みたいな感じですかね。

 

中華街が2つあるので中国料理もかなり浸透しています。行きつけの店は誰一人フランス語をまともに話せません。顔なじみなので、話が通じなくても頷くだけでいろいろと出してくれます。ここの麻婆豆腐は八角が超利いており、猛烈にスパイシー。たまりません。

 

スペイン料理のおやじはいつも私が行くと、熟成された生ハムをちょこっと出してきます。これが口の中で溶けるんです。どんぐりだけを食べて育った豚です。とにかく、まさにパリは世界の胃袋。それだけ移民が多いということでしょうな。

 

じゃあ、今日はなすを使ったレバノン料理をご紹介しましょう。なすと言えば、麻婆なすとか、なす田楽とか、なすのおしんこなんかを想像しますが、違います。あのやぼったいなすが超おしゃれな一品に大変身しますよ。料理といってもディップのようなおつまみ、なすのキャビアと申します。キャビアはあのチョウザメのたまごのキャビアのこと。ナスのツブツブ感をキャビアに見立てたのだとか。こじつけ?(笑)でも、フランスではパンに載せて、食前の一品として白ワインなんかと一緒に食します。最高ですぞ。

 

材料:米なす2本(約600g)、細かくみじん切りにしたにんにく2片、オリーブオイル大さじ3、レモン汁大さじ1、イタリアンパセリのみじん切り大さじ1(お好みで)、塩・こしょう適量。

 

なすを縦半分に切り、火が通りやすいよう切り口に格子状の切り目を入れ、オリーブオイルを振りかけます。切り口の方を上にしてオーブン皿に並べ、220度に熱したオーブンで20分くらい(※なすの大きさによる)焼きます。しっかり火が通ったら、スプーンでなすの中身だけを容器に取り出します。そこにレモン汁、にんにく、パセリ、オリーブオイルを加え、塩・こしょうで好みに味を調えたら、フォークの背でなすがトロッとなるまでよく潰しましょう。滑らかなディップにしたい場合はミキサーにかけてもOK。完成したらラップをして冷蔵庫でよく冷やし、パンの上に載せていただきます。

 

日曜日の午後、白ワインに自家製なすのキャビア、ああ、なんとおしゃれなことでしょう。

 

ボナペティ!

 

 

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辻 仁成

作家。東京都生まれ。'89年「ピアニシモ」ですばる文学賞、'97年「海峡の光」で芥川賞、'99年「白仏」で、仏フェミナ賞・外国小説賞を受賞。映画監督、演出家としても活躍。現在はシングルファザー、パリで息子と2人暮らし。
 
DESIGNSTORIES『JINSEI STORIES』
http://www.designstoriesinc.com/jinsei/

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