連載第24回 天才ディカプリオと切磋する仲間たち

投稿日: 2014年03月11日 00:00 JST

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連載第24回 天才ディカプリオと切磋する仲間たち

ディカプリオ、悲願のアカデミー主演男優賞ならず!
第86回アカデミー賞授賞式で、レオナルド・ディカプリオはまたも涙をのみました。主演男優賞は『ダラス・バイヤーズクラブ』のマシュー・マコノヒーに輝いたのです。
ディカプリオ主演の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』にはマシューも出演しています。仲間の受賞に心からの拍手を送ったディカプリオも本当に立派でしたが、オスカー像を手にしながら、静かな抑えた声でハートのこもった励ましの言葉を最後に残し、壇上を足早に去るマシューの後ろ姿は、心の中で「レオ、がんばれ!」と訴えかけているように思われて、ユアサも思わず感極まりました。

 

マシューは『ダラス・バイヤーズクラブ』の主役を演じるために21キロの過酷な減量を敢行し、時の政府や社会のシステムと全力で闘い続ける深い人物像を熱演しました。かつてのロマンティック・コメディのセクシーなマッチョ役のイメージから脱却した彼は、一気にその実力を世界に認めさせたのでした。その意味では、何かとルックスへの評価に付きまとわれがちなディカプリオのジレンマとよく似たテーマと闘い続けたマシューでした。

 

ディカプリオから見ると、マシューはライバルである以上に『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の仲間です。映画の中でディカプリオに教える、胸をたたきながらのウルフのうなりにも似た「ときの声」は、マシューのプライベートの演技訓練の一環を映画のシーンに加えさせてもらったものだといいます。
プロデューサーでもあるディカプリオの面目躍如といったところです。
マシューにとっては、プライベートの訓練を表に出すことは、大事なノウハウの開示なので、ためらうのが普通でしょう。しかし、これこそふたりの〝絆の強さ〟を物語っている、とユアサ分析。

 

さて、ディカプリオが今回、惜しくもアカデミー賞を逃した理由のひとつに、この数十年のアカデミー賞の歴史が「コメディ」を賞から遠ざける傾向にあることと関係しているように思われます。
同じことが、本年度アカデミー賞最多10部門でノミネートされながら完敗したコメディ作品『アメリカン・ハッスル』についてもいえるのです。実在の天才詐欺師によるおとり捜査の人間模様を見事に描き、バットマンのブルース・ウェイン役で名をはせたクリスチャン・ベイルなどアカデミー賞常連の5人の名優たちが競演した同作が、アカデミー賞受賞のラインから完全に漏れたのは、ウォール街でも西海岸でも非常な驚きを持って受け止められました。

 

ここで視野を広げると、アメリカのコメディ映画やコメディドラマの多くが、ニューヨークを舞台にしているのも全くの偶然ではないだろう、とユアサ分析。
たとえば、ニューヨークのテレビ界で著名になったコメディアンが、ハリウッドでシリアスな映画を撮るのは、エンタテインメント業界の一つの定型だと思われます。
一般論として、アメリカならどこの地方にも、ニューヨーク文化の流入を安易には受け入れない伝統とプライドが強く存在します。

 

さらに、これを「ニューヨークvs. 西海岸」の対比で分析すると、ニューヨークのテンションの高いコメディは、いわば人間が込み合うウォール街の摩天楼的な文化であるといえます。それに対し西海岸では、海と空と大地がどこまでも広がり続け、その大自然と向かい合う人間の思いとしては、シリアスなドラマをより受け止めやすいのではないでしょうか。コメディがアカデミー賞で敬遠される理由は、ハリウッドがニューヨークへの対抗意識だけでなく、西海岸の伝統的カルチャーに忠実な気持ちを持つためであると感じます。

 

話は変わりますが、ディカプリオの恩師にして盟友でもある名監督マーティン・スコセッシは、「アカデミー賞を獲りたかったらパーティを控えろ」と、ディカプリオに忠告したと伝えられています。それも彼が誤解されることを恐れるがゆえであろうと思われます。
ビジュアルがよすぎることで、時としてハリウッドでは、評価されるまで年月がかかる恐ろしさを、スコセッシ監督は知っていたのでしょう。

 

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』におけるディカプリオの天才的な演技のひとつは、ユアサの分析によると、彼の歯切れの良い英語の発音にあります。まさに若さと野望に満ちたウォール街のスピーチであり、恐ろしく歯切れのよいナレーションといえます。
この天才ディカプリオの声のリズムが、冒頭に言及した悪の指南役マシュー・マコノヒーのウルフの唸りのリズムと、映画の始まりから終わりまで呼応しているのだとユアサは分析します。

 

ディカプリオの潔い声のトーンが、映画の「貪欲さ」や「悪」を浮き上がらせる名演は、ウォール街で長年暮らしていないと、アメリカ人にすら伝わりにくいものです。
そこがノンフィクション作品の中できらりと光る、芸術性としての本映画の価値とディカプリオの天才性のひとつであると考えられます。
実在の証券マンの悪行の限りは、現実にはウォール街を含むアメリカ人にとっては信じられないひどさであり、日本ならさしずめ水戸黄門か遠山の金さんあたりに退治してもらいたい典型的な敵役でありましょう。
しかし、そんな敵役である天才詐欺師が遠山の金さんに変わっていくことが、周囲の支えと環境があればアメリカではありうると思わせるのが、先に述べた『アメリカン・ハッスル』なのです。これも実話に基づく名作です。

 

『アメリカン・ハッスル』の基となったアブスキャム事件は、上院下院連邦議会議員たちを逮捕し、有罪にした史上最大のおとり捜査で、ユアサの友人であるアメリカ人連邦検察官が仕掛けたものでした。
国際弁護士ユアサの友人には大勢の現役や元の連邦検察官がいますが、その一人プッチオ元連邦検察官がこの映画のおとり捜査事件の責任者兼仕掛け人でした。
『アメリカン・ハッスル』の中で、主役の天才詐欺師を演じた名優クリスチャン・ベイルの上司に連邦検察官のさばけた人物が出てきますが、その人物のモデルこそプッチオです。ユアサは、かつて彼と「おとり捜査とコンプライアンス・プログラム」という共同講演を、日本の法務省下の社団法人が主催するイベントで行ったことがあります。

 

さて、天才詐欺師を演じたベイルも今回、主演男優賞にノミネートされていましたが、ユアサはその演技にも驚きを隠せませんでした。
なぜかといえば、実在の詐欺師を忠実に演じながらも、ベイルの表情のなかに親友のプッチオ元連邦検察官と同じものが自然に浮かぶ瞬間をユアサはいくつも発見したのです。これは人智を超えた演技の技量としか表現できない、とユアサは分析します。

 

『アメリカン・ハッスル』は天才詐欺師を中心に描かれていますが、現実の事件ではユアサの友人の連邦検察官がすべてをコントロールしていました。なぜなら、おとり捜査で全員を有罪に持ち込むには、証拠収集の段階から慎重を期さなければ、起訴さえ不可能になりかねないからです。
だからこそ天才詐欺師のベイルの顔にポイント、ポイントで瞬間的に、ユアサの友人の連邦検察官の表情が浮かぶように、彼が意識して演技していたとユアサは確信しています。
実際には法的舞台を回していたのが連邦検察官でもシーンにはそれほど登場しない以上、主役である天才詐欺師役のベイルが連邦検察官の法的なセンスを、演技の中に忍ばせて観客に見せている、それでこそこの映画は傑作なのです。

 

今回オスカーを獲った直後に、ディカプリオやベイルを含むライバル俳優たち全員の演技が完璧だった、とマシューが述べたのは、筋金入りの職業人同士が言いうる、輝かしいアカデミー賞の歴史に残る名言だと国際弁護士ユアサは保証します。最後に、ハリウッドでは、「スターとは天才と同義語である」とも付け加えさせていただきます。

 

(了)

 

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