ジカ熱だけじゃない…胎児を襲う「TORCH症候群」とは?

投稿日: 2016年02月12日 06:00 JST

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世界中の注目を集める感染症「ジカ熱」。しかしこのほかにも、妊婦が感染することで胎児が生まれるとき、重篤な影響を引き起こす病気があるという。「ナビタスクリニック」の久住英二さんが解説する。

 

「代表的な病原体の頭文字をとり『TORCH(トーチ)症候群』と呼ばれます。小頭症や水頭症、発達の遅れ、肝機能障害などを胎児に引き起こす恐れがあります。もしジカ熱と小頭症の関連が明らかになれば、これもTORCH症候群に分類されるでしょう」

 

TORCH症候群のなかで、もっとも有名な病気は風疹だ。

 

「妊娠20週以前に感染すると、胎児に何らかの障害を引き起こす可能性が高いです。なかでも多いのが難聴。週数がさらに早ければ流産、死産などの危険もあります。ワクチンがあるので、しっかり予防できるのですが……」

 

ほかにも注意を払うべきTORCH症候群の病原体があるというのは、長崎大学病院小児科の森内浩幸さん。

 

「トキソプラズマは、ネコを宿主にした『原虫』といわれる単細胞生物です。原虫の卵を含むネコの便が、感染源となります。症状が軽く、健康な人なら感染に気づかないケースがほとんどです」

 

妊娠可能な年齢で抗体を持っている人は、数パーセントから十数パーセント。気をつけたいのは、妊婦がこのトキソプラズマに初めて感染したときだ。

 

「すべての胎児が感染するわけではありませんし、感染しても無症状のこともあります。しかし重症の場合は、胎児は小頭症や水頭症となります。フランスの調査では、胎内で感染した約200人の子供のうち、水頭症の子は3例でした」

 

生まれたときに無症状であれば、ほとんどが見過ごされてしまう。しかし、トキソプラズマの胎児感染による障害でもっとも多いのは視覚障害。3歳児健診の視力検査で発覚し、精密検査で感染がわかることも珍しくないという。

 

そしてもうひとつ、知っておくべき病原体が、サイトメガロウイルス。

 

「日本人の妊娠可能な世代の70%が感染している、ごく普通のウイルス。しかし妊婦が初感染すると、胎内の赤ちゃんに感染するリスクも高まります。感染した赤ちゃんの約30%に障害が出るといわれ、その数は年間約1千人と推測されます。その約50%に難聴の症状があるのが特徴です」

 

トキソプラズマやサイトメガロウイルスに関しては、多くの自治体の妊婦健診で抗体検査をしていないのが現状。

 

「医療関係者にさえ、十分にTORCH症候群の危険が認識されていません。抗体検査が徹底されれば、妊婦も注意するため胎内感染してしまう赤ちゃんも減り、感染してしまった場合でも、早期診断・早期治療によって重症化を防ぐことができるのです」

 

母親が正しい知識を得ることが、子供を守ることにつながるのだ。

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