人間関係が原因にも…「腰痛」原因とメカニズムを医師が解説

投稿日: 2017年12月06日 16:00 JST

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2800万人ーー。これは厚生労働省研究班の調査による、40歳以上の“腰痛患者”の総数だ。40~60歳の4割が腰痛に悩まされているという。

 

「日本人の8割が一生に一度は経験するという腰痛は“国民病”といっても過言ではありません。その苦しみから解放されるためには、しっかりとした知識を持ち、正しい対処法を知ることが重要です」

 

こう語るのは、腰痛研究のスペシャリストである松平浩先生(東京大学医学部附属病院特任教授)。

 

「とくに女性の骨盤は妊娠・出産に適応するため幅広い形になっていて、歩いたり立ったりするだけでも、腰まわりの筋肉やじん帯への負荷がかかりやすい。また、女性ホルモンの影響やハイヒールの着用、育児や家事などで前かがみになって作業する機会が多いことなどから、女性は腰痛になりやすいのです。’12年に世界54カ国で調査した研究では、男性より女性のほうが2割も腰痛持ちが多いと報告されています」(松平先生・以下同)

 

そんな腰痛は、もちろん特定の病気の名称ではない。腰を中心に、背中、お尻に感じる痛みやハリなどの不快感の総称である。そして、大きく2種類に分かれている。

 

「血液検査、レントゲンやMRIといった画像診断で痛みの原因が特定できる『特異的腰痛』は全体の15%にすぎません。あとの85%は原因がハッキリしない『非特異的腰痛』だといわれています」

 

腰痛の85%以上を占めている非特異的腰痛。その要因について松平先生が解説する。

 

「非特異的腰痛は、とりわけ心配する病気のない腰痛。痛みに対する不安や恐怖がもたらす脳機能の不具合、ストレス、姿勢の悪さなどが影響しています」(松平先生・以下同)

 

非特異的腰痛(以下・腰痛)の代表的な例が、ぎっくり腰であり、それが引き金になって長引く腰痛だという。

 

「激痛を引き起こすぎっくり腰は、椎間板の外側を囲む繊維輪や腰の関節周囲の組織の傷にともなうちょっとした炎症。軽いねんざぐらいのものと考えてもいいのです。1~2日は安静にして構いませんが、その後は、痛みの様子を見ながら、体を動かしたほうがスムーズな回復が望めます。3カ月たつと炎症がおさまり治癒するのが一般的。ですが、ぎっくり腰になったときの痛みへの不安や恐怖から“腰を守ろう”とする意識が働き、動かそうとしないでいると、腰の周辺の筋肉が硬直してしまい、腰痛の慢性化を招く、という悪循環に陥ってしまいます」

 

腰を過保護にしてしまうことで、さらなる悪化を招くということだ。

 

「痛みを和らげるためコルセット(腰痛ベルト)が手放せない人がいますが、コルセットに頼りすぎて、腰まわりの筋肉が低下することも。腰痛発症の直後なら着用しても問題ありませんが、長期間コルセットに依存した結果、日常生活に支障が出るケースも少なくないのです」

 

また人間関係や仕事での悩みなどのストレスも腰痛の慢性化を引き起こす。

 

「長期にストレスを受け続けると、痛みを抑えるために重要な役割を果たす、脳内の『ドーパミン』という物質が分泌されなくなります。また、ストレスにより自律神経のバランスも乱れ、筋肉の過緊張や血流の悪化により、腰痛が発症したり、慢性化すると考えられています」

 

さらに、パソコンやスマホの普及で、現代人は背中を丸めて前かがみになりがち。そんな姿勢の悪さが原因の腰痛も増えている。

 

「前かがみになると、骨盤が後ろに倒れます。そのとき、ウエストラインあたりの椎間板は200キロ以上もの重さで押しつぶされているのです。また、20キロの荷物を猫背のまま持ち上げると、400キロ以上の負荷が腰にかかります。そんな過剰な負荷が、借金みたいに積み重なり、腰の組織にダメージを与えるのです」

 

恐怖心、ストレス、悪い姿勢によりたまっていく“腰痛借金”ーーどのような対策が必要なのだろうか。

 

「非特異的腰痛に安静は百害あって一利なし。可能な範囲で腰をなるべく動かして“腰痛借金”を解消していくことが大切です」

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