一流料理人が“最後の晩餐”に卵かけご飯を選んだ理由

投稿日: 2017年11月13日 11:00 JST

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料理に人生のすべてをかけてきた日本を代表するシェフたちが、人生の終わりに作りたい料理とは、誰のためのどんなメニューなのだろうか? そのときを想像しながら、巨匠が目の前で調理してくれた渾身の一皿。題して『マエストロたちの最後の晩餐』。明日、人生が終わるとしたら、あなたは最後に何を作りますか?

 

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■『ル・マンジュ・トゥー』オーナーシェフ・谷昇さん

 

「僕は料理に興味がないんです。この世界に入ったのもたまたま。高校時代に学園紛争があって、その影響で進学に困ったとき、『料理人になりたい』と言った友人につられてで。そんなもんです」(谷さん・以下同)

 

気持ちいいほどあっけらかん。けれどそれは、元軍人で有言実行を貫く厳しい父親の教育方針のもと、言葉では言い尽くせない経験と運命を歩んだからこそだろう。

 

「最後に作るなら簡単な卵かけご飯。食べるのは僕」

 

そう言ってワハハと笑うが、言葉どおり簡単なだけ以外の理由があるのはすぐわかる。なぜなら根っこに料理人としての生き様と特別な卵愛があるからだ。

 

「料理は食材の知識と論理性がないと最高の味は出せないと思うんです。卵かけご飯も一緒。卵には卵黄と液状卵白、濃厚卵白があり、それぞれ凝固温度が違う。熱々のご飯だとすべてが固まってボソボソになるので温かいぐらいがいいですね。あと混ぜきらない状態でいただくのがベスト」

 

作ってくれた1杯は、卵黄の甘味が強い部分もあれば、ぷるんと弾む卵白や、流れる卵白と卵黄のグラデーションもあり、その見た目は官能的でさえある。これとは別にため息が出るほど美しいオムレツも、計算された温度管理のなせる業。専門学校時代に1日卵120個を使って研究した思い出深い味なのだそう。

 

「食材をどれだけ理解しているか。テクニックは後からです」

 

聞けば聞くほど造詣の深さに驚かされる。そのシンプルで気負いのない姿勢が、どこまでもかっこいい。

 

【ル・マンジュ・トゥー】

貴族が発展させたフランス料理という背景を意識しつつ、現代の技術・感性を取り込み、洗練された料理を提供し続ける。ミシュラン2つ星を10年続けて獲得。

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