「空飛ぶ B級山歩き♪」長崎編(3)

投稿日: 2015年06月09日 00:00 JST

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麓の海から眺める山頂が槍のように尖った岩峰

志々伎山は平戸島の南端にある霊山で、てっぺんが槍のように尖った秀峰だ。九州百名山に選ばれている。一帯は西海国立公園で、チョウセンナルコユリ、ダンギクなど大陸系の貴重な植物の自生地としても知られている。標高は低いが、山頂からの景色は絶景だ。期待に胸を膨らませて登り口に向かう。

平戸大橋を渡り、国道338号線を志々伎方面に南下する。海岸沿いの蒲鉾屋さんで、ストローの束にくるまれた蒲鉾を2本買い、ランチ代わりに。素材の旨みが詰まったシンプルな味だ。志々伎漁港を過ぎ野子の集落に入る。漁港の近くにクルマを停め、これから目指す志々伎山を仰ぎ見る。山頂部が槍のように尖った美しいシルエットに目を見張る。

「志々伎神社」の標識に沿って折れ、クルマを走らせると阿弥陀寺の駐車場に着く。その先の林道をなおも進むと、片側が切り立った崖となっている狭い道。慎重に運転する。10分ほどで広い駐車場に。さあ、山歩きスタートである。車道から志々伎神社の中宮跡に向かう参道に入る。石段を登ると左手に中宮跡。ここで手を合わせて無事登山を祈願する。ここから登山道らしくなる。ロープ場をいくつかこなしていくと、やがて「腰掛け岩」の説明板があらわれた。

「或る時 命が軍状を見るため志々伎山に上る途中 賊の流れ矢に当り路傍の石に腰をかけ矢を抜きとり大地につき立て落命されたという 鮮血流れて苔となったと伝えられる」  いつの時代から伝わっているのだろうか。

樹林を抜けると正面に尖った岩峰が見えてくる。右側は波がさざめく海。あまりの見晴らしの良さに一服。眺望を楽しんだ後は再び樹林帯の道だ。しばらく行くと明治時代の石の道標があらわれた。なおも進むと岩場に差しかかる手前の湿った斜面にギンリョウソウが咲いていた。ロープのかかった岩場を超えると、今度はマムシグサ。花を楽しんでいると、前方から中年男性が下りてきた。

「いい山ですねえ」と声を掛けると「そうでしょ。山頂の眺めは最高だよ」と嬉しそうな笑顔で答えてくれた。

眺望を楽しみに歩きだすと「草履置場」というポイントに着く。説明板には「志々伎山は古くから女人禁制の霊山で成人女子の登山はできませんでした。男子もここで草履を脱ぎ頂上迄素足で上る掟がありました」とある。霊山の掟は厳しい。

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見渡す限り青い海の絶景を堪能 五島列島の島影もクッキリと

ここからハイライトの岩場が続く。ロープを頼りに慎重にこなしていく。岩場を越えると山頂直下の岩尾根に出る。海からの風がモロに吹きあたる。雨の日は滑って嫌な場所だろう。眼下の東シナ海に吸いこまれそうだ。岩尾根を突き進み、石の祠が置かれた山頂に到達。中宮跡から40分ほどの行程だった。ザックをおろして360度の絶景を独り占めだ。海が本当に近い。東シナ海に浮かぶ五島列島、小値賀島の島影、志々岐湾をはさんだ屏風岳。大海原を漁船が白い航跡を残してゆっくりと進む。見とれていると鳶が「ピーヒョロー」と鳴きながら滑空している。のどかな光景だ。日本最西端の山頂で過ごすなんともぜいたくな時間である。

“事件”はその直後に起きた。山頂直下の岩尾根で10分ほど撮影をして祠の前に戻るとき、鳶が飛び去っていた。嫌な予感。風のあたらない岩の上に置いておいた取材メモを記した小さなノートがない。ボールペンは残っている。ノートの表紙は茶系だ。油揚げと勘違いしたのか、鳶がさらっていってしまったに違いない。まったく油断も隙もない。

帰りは登ってきた道をゆっくりと下りる。すばらしい景色に魅了された満足の山歩き。はるばる西の果てまで来た甲斐があった。

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【お酒】「長崎美人 大吟醸」の蔵元で酒造りの秘訣に迫る

志々伎山に向かう途中、志々伎漁港の近くにある「福田酒造」を訪ねた。創業元禄元年(1688年)。平戸藩ご用達の「福鶴」で知られる老舗で、日本本土最西端の蔵元である。「長崎美人 大吟醸」は1998年以降、全国新酒鑑評会で4回金賞を受賞し、2011年にはANA国際線ファーストクラスに搭載された名酒。専務の福田竜也氏に酒造りの秘訣をうかがった。

 

―― 「長崎美人 大吟醸」の特徴を教えてください。

福田  華やかなフルーティーな吟醸香と米の旨み、甘みが調和した味わいが特徴です。

―― 原料の米と水はいかがでしょうか。

福田 米は県内の契約農家で栽培された山田錦を100%使用し、38%まで磨き上げています。水は近くの屏風岳の麓の原生林の湧水です。

―― 海に面した南平戸(志々伎)は酒造りの土地としてはどうなのですか。

福田 このあたりはミネラルをたっぷり含んだ海風が吹き、冬場は気温が0度から10度という冷涼な気候の土地柄です。酒造りには最適の場所ですね。

―― 数々の受賞歴がありますが、まだまだ東京では知られていません。

福田 いまは県内の販売が中心ですが、関東や関西圏からも要望が出てきています。今後は首都圏のみなさまにも味わっていただけるようにしていきたいですね。

 

福田専務は、福田詮社長の長男で東京農大醸造学科の卒業生。自ら現場に飛び込んで酒造りにかかわっている。志々伎の風土とこだわりの原材料、そして造り手の熱意が名酒を生み出している。

問い合わせ 福田酒造 平戸市志々伎町1475

☎ 0950-27-1111

 

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【宿・グルメ】鮮度抜群の地魚料理を堪能し、オーナー夫妻と客のほんわかトークに和む

今回の宿は志々伎町からクルマで20分ほどの平戸市早福町の漁港近くにある「早福荘」。2009年12月オープンの民宿(4部屋)で、東京での会社経営を経て故郷に戻ったご主人と平戸ウェルカムガイドの認定を受けている女将が切り盛りしている。漁港が目と鼻の先にあり、鮮度抜群の地魚と山の幸を使った料理自慢の宿だ。

早福町は約70世帯の半漁半農の町で高級魚あら(クエ)の一本釣りの町として有名。関東を始め全国から釣り好きが訪れる。早福荘も釣り客が多く、ロビーの壁には大物を釣り上げたお客さんの写真がズラッと飾られている。

この日の客は筆者を入れて3組。夜7時過ぎ、食堂に顔を出すと女将が「東京から来られたお客さん」とすでに盛り上がっている2組の客に紹介してくれる。北海道の大学教員を定年退官後、ワンボックスカーで全国を回っている先生と奥さん、山口からやって来た釣りの常連客2人組、そしてオーナー夫妻を交えて賑やかな食卓だ。目の前の料理は、獲れたてのヒラメとカンパチの刺身、地魚のお寿司が5勘、ぶり大根、鶏肉の煮物、地野菜の和え物、酢の物など10品が並んでいる。地酒を注文し、ちびりちびりとやりながら刺身をつまむ。ほどよい甘さと旨みが口の中に広がる。

ほろ酔い気分の釣り師が「きょうはヒラマサを釣りたかったなあ」と話し始めた。「何が釣れたんですか」と聞くと「カサゴしか釣れなかった」と悔しそうだ。早福の港から遊漁船で五島列島の沖合まで行きジギングでヒラマサを狙ったとか。この会話に、先生が北海道のサケ釣りの話を持ち出してきて、座はどんどん盛り上がっていった。

女将さんが「今度はぜひ夏に来て下さい。沖合に国の天然記念物になっている阿値賀島という島があります。そこに落ちる夕日が最高だから」と客に薦める。島に落ちる夕日の写真を見ると確かにすばらしい。絶品料理にほんわかトークで和みの夜が更けていった。

問い合わせ 早福荘 平戸市早福町364-1
☎ 0950-27-1163 http://www.measure.jp/haifukusou/

 

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ANA 山ガールの長崎空港自慢

世界初の海上空港で今年40周年 空港ビルは教会を意識した建物です

長崎空港ビルディング株式会社
航空部旅客課 ステーションコントロール担当
篠田 千栄さん
 

【空港自慢】世界初の海上空港 5月に開港40周年記念祭を開催

長崎空港は 1975年5月1日、穏やかな大村湾に世界初の海上空港として開業した。

「今年40周年を迎えました。5月16日には『長崎空港開港40周年記念祭』を開催し、親子機体見学、お子様制服試着体験などさまざまなイベントで盛り上がりました。海上空港などで市街地への騒音被害がほとんどなく、見晴らしがいいので離着陸の際は海をはじめ周囲の光景を楽しむことができます」

空港ビルの建物にも長崎らしい特徴があるそうだ。

「『長崎の教会群とキリスト教関連遺産』の世界遺産登録に向けた推薦書が、今年ユネスコに提出されました。世界遺産とは直接関係ありませんが、空港の建物も教会を意識したつくりになっているのです。屋上には鐘、1階チェックインロビーのエスカレーター上部天井には『空の守り神』というステンドグラスの作品があります。ぜひ、ご覧になって下さい」

滑走路の背後にある「花見山」には約5万本のツツジやサツキがNAGASAKIの文字をかたどって植えられている。5月の開花期には文字がピンクに浮かび上がり、搭乗客を歓迎する。

 

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長崎のおすすめ空港みやげ~スイーツからおつまみまで勢ぞろい

1. 「手作りキャラメル じゃがメル」(長崎空港オリジナル)

「長崎が誇る特産品、雲仙産のじゃがいもをチップスにし、濃厚キャラメルでコーティング。最初は濃厚キャラメル、あとからザクザク食感のじゃがいもへ、味の変化が楽しめます」

2. ちゃんぽん天(まるなか本舗)

「細かく刻んだちゃんぽん麺と赤、緑のはんぺんが入った揚げかまぼこ。お酒のおつまみにどうぞ」

3. 五三焼カステラ(和泉屋 福砂屋 須崎屋など)

「『五三焼』の名の由来は、原料の割合である「卵黄と卵白の対比5:3」から。生地を膨らませる卵白と小麦粉の割合が少ない「五三焼カステラ」は、本場長崎のカステラの逸品です」

 

このほかにも、ピーナッツがちりばめられた「九十九島せんぺい 、温泉水を使った小浜温泉の「湯せんぺい」、五島列島の海産物など、おいしいものがいっぱい。

「お薦めの焼酎は『壱岐スーパーゴールド』(玄海酒造)です」

 

「空飛ぶB級山歩き」長崎編は今回で終了。テーマの「長崎に美人が多い理由」を山歩きしながら考えてみた。地元の方々の意見を参考に浮かんだキーワードがある。「坂」「異国との交流」「温泉」「スイーツ」「ミネラルたっぷりの海産物」。こうした要素が複合的に重なった結果というのが、筆者の結論である。次回からは「大分編」へ。お楽しみに!

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山田 稔

'60年生まれ。長野県出身。「日刊ゲンダイ」 編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会関連の記事を執筆中。趣味は山歩き、アジア・沖縄旅、男の気まま料理。著書に『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』(光文社・知恵の森文庫)。「分煙社会のススメ。」(光文社)
 

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