北海道ロングトレイル編②~北海道 大自然のロングトレイルへいざ出発

投稿日: 2016年08月23日 00:00 JST

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北の大地71.4kmをマイペースで歩くロングトレイル

7月下旬、羽田空港を12時15分に飛び立ったANA377便は、三陸海岸沿いを北上し、北海道の根室中標津空港を目指してフライトを続けていた。機窓から三陸の青い海が見える。海岸線に長い、長い防潮堤が続いているのがわかる。高台では整地作業が続いているようだ。本当に1日も早い復興が望まれる。

 

根室中標津空港に近づき、飛行機が高度を下げる。窓の外を見ると、一面の緑の中に格子状の防風林が展開する道東特有の風景が目に飛び込んできた。14時に到着後、空港の女性スタッフの取材を行い、徒歩で中標津町の緑ヶ丘森林公園に向かう。今回は、とことん歩く。そしてアウトドアの日々を過ごすことに決めた。

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キャンプ場のテント生活から始まった道東の旅

■第1ステージ 中標津交通センター―開陽台(14.8km)
飛行機の到着が午前中であれば、すぐに第1ステージに取り掛かり、2泊3日のスルーハイク行程を組むことができるのだが、到着が午後なので初日は中標津滞在となる。ロングトレイルのスタートは翌朝だ。

 

キャンプ場に着いて、テントを張ったらすでに夕方5時を回っている。電池や食料品の補充が必要なので、2km近く離れた市街地まで歩いて買い出しに行く。これで出発点の交通センターから公園までのトレイルを済ませてしまおう。途中、標津川にかかる橋から水面を眺めると釣り人がフライフィッシングを楽しんでいる。夕まずめのひと時を狙っているのだろう。市街地のすぐ近くでフライフィッシングが楽しめるとは。北海道の自然環境がうらやましい。

 

交通センターまで歩き、その足でコンビニに立ち寄って買い出しを行う。今晩の食事用にジンギスカンのパックとカット野菜を選ぶ。念のために2リットルサイズの水とインスタント麺、チーズなどを購入。キャンプ場に戻ると日が暮れかけてきた。あわてて米を炊き、蒸らしている間にコッヘルにジンギスカン肉と野菜を投入して煮込む。30分後にはアツアツの食事にありつけた。

 

キャンプ場は炊事場、バーベキューコーナー、トイレなどが完備され、テント持ち込みなら料金は216円。破格の安さである。10mほど離れた所に、道内を車で周遊しているという40代の自称“失業者”の男性がテントを張っているだけ。静かな夜だ。スキットルのウイスキーを飲み、早めに寝袋に潜り込む。

 

翌朝、5時過ぎに鳥のさえずりで目覚めた。あいにくの曇り空だ。気温は10度ほど。肌寒い。コッヘルに残っているご飯に缶詰のタイカレーと野菜を入れて温める。きょう1日で20km以上歩くから、しっかりと食べておかないと。朝食後、テントを畳み荷物をまとめ、7時過ぎに出発。仙台の男性が「その荷物で歩くの?ひゃあ、大変だあ」と驚きながら見送ってくれる。そりゃそうだ。ザックにはテント、寝袋から食糧、水、着替えなどがあるから重さは15kg以上あるだろう。若いころはこの重さのザックを背負って北岳に登ったこともある。なあに、たいしたことないさ。

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防風林の中の道でエゾシカがこちらをジッと見つめていた

キャンプ場から隣の道立ゆめの公園を抜けていく。小さな沢が流れ、樹木の間を進む快適な道が続く。やがて車道を超えて中標津空港に立ち寄り、最初の牧場「桜井牧場」の敷地を通らせていただく。入口には消毒用の小屋があり、靴を消毒用の粉につけ、通行ノートに記帳する。これは、この先どこの牧場でも一緒のルールだ。

 

牧草地の脇を抜け、防風林の中の一本道を進んでいるときだった。100mほど先に何か物体がいる。少し近づいて目を凝らすとエゾシカがこちらを凝視している。スマホで撮影するには距離があり過ぎる。警戒させないよう、じりじりと静かに近寄っていく。50mを切ったところで撮影。さらに歩を進めると、シカは踵を翻し、お尻をこちらに向けてピョンピョンと林の中に走り去って行った。

 

防風林を過ぎると、今度はダート道(砂利道)が延々と続く。地図で確認すると7km以上もある。まっすぐの道をのんびり歩く。道の脇に咲く花々が潤いを与えてくれる。ジャガイモ畑も花が満開だ。短い夏の間に土の中で大きく育ち、収穫の時を迎えるのだろう。

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地球が丸くみえる展望台から道東の光景を満喫

歩き始めてから3時間半、丘を登りきるとようやく第1ステージのゴール、開陽台に到着。ここは標高270mの台地で「地球が丸くみえる」というキャッチフレーズで知られる観光スポットだ。展望台からは丘陵地帯、牧草地、格子状防風林といった道東の光景を満喫できる。この日はあいにくの曇り空で見えなかったが、晴れていれば国後島や知床連山も一望できるそうだ。

 

展望台の館内にある展示コーナーで地元のアマチュアカメラマンが撮影した道東の自然の写真を眺める。力作ぞろいだ。住んでいる地域がすばらしい被写体になる。なんて恵まれた環境なんだろう。カフェカイヨウダイの「しあわせのはちみつソフト」は一番の人気商品だ。

 

展望台の下には町営の開陽台牧場があり、遊歩道が整備されている。第2ステージはここからスタートだ。その前にベンチで大休憩。

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広大な牧草地を越え、林の中ではクマよけの鐘を鳴らして進む

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■第2ステージ 開陽台―レストラン牧舎(佐伯農場・9.9km)
軽めのランチを済ませ、出発。遊歩道を下り、今度は広大な牧草地の緩やかなスロープを登っていく。遠くで牛たちがのんびりと草を食んでいる。振り返ると開陽台の展望台から続くトレイルが見える。広い大地を実感する。やがて道は林の中に入っていく。「コンパス」というサイトに登録しておいたので、スマホに表示されるマップで現在地を確認できる。小さな沢の石づたいに板が一枚かかっている。「飛び石橋」だ。慎重に渡る。しばらく進むと今度は「北根室RANCHWAY」の道標の横にクマよけの小さな鐘が設置してある。

 

「熊にあなたが来たことを教えるために鐘を鳴らしましょう」と書かれている。ヒグマには会いたくないからなあ。気を引き締め、鐘を乱打する。さらに歩きながら「ホー、ホー」と声を発する。秋田の山奥に渓流釣りに行ったとき、地元の人に「ホー、ホー」と声をかけながら歩くと熊が寄ってこないと聞き、山奥を歩くときはそれを実践している。動物たちは、変なおっさんがやってきたと思っていることだろう。

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いくつか小さな沢を越え、野鳥の鳴き声を聞きながら快適なトレイルを進むと、再び牧草地があらわれ、多くの牛たちの姿が見えてくる。ヒグマエリアからは脱出したようだ。牧草地を進むと「マンパス」という小さな出入り口があらわれる。人は通れるけれど、牛は通れないゲートのようなもので、さまざまなデザイン、形状があり、これを見るだけでも楽しい。乗り越えたり、門を開けたり、知恵の輪のような鍵をあけたりといろんなパターンがある。いくつものマンパスを通過し、ひたすら前に進む。前方に赤い建物と広い農場が見えてきた。きょうのゴール、佐伯農場だ。

 

農場に着いたのは夕方の4時。道草を食ったり、撮影したりでずいぶんとのんびり歩いたものだ。出発が朝の7時過ぎだったから、9時間。よく歩いたなあ。これでやっと3分の1の行程が終了だ。

 

*このトレイルでヒグマに遭遇したとの報告はこれまでないとのこと。

 

農場主の佐伯さんらと焼き肉をつつきながら地域文化論を

佐伯農場は北根室ランチウェイを創設したメンバーの一人で、事務局の代表を務める佐伯雅視さんが農場主(経営は息子さん)。広大な敷地内にはランチウェイを歩く人のために牛舎を改造したマンサードホールという宿泊施設(キッチン、シャワー、トイレ完備)や版画美術館などの文化施設、農家レストランの草分けとして1987年から営業している「レストラン牧舎」などが備わっている。

 

マンサードホールにチェックインし、部屋でくつろいでいると佐伯さんがやって来た。

 

「夜、宮島さん(芸大出身の現代美術彫刻家)と焼き肉をやるんだけど、よかったら一緒にどうですか」

 

ありがたいお誘いだ。喜んでお受けし、シャワーを浴びてすっきりする。農場内の施設を一通り見学し、7時から宮島さんのアトリエ内にある「秘密の小部屋」で“七輪焼き肉会”が始まった。ランチウェイ創設のいきさつ、中高年だけでなく若い女性が増えてきたという最近の傾向、そして農場を文化の拠点としてランチウェイとともに地方から情報発信をしていきたいという佐伯さんの思いを聞く。

 

ビールを飲みながら北の大地で育った牛、鶏の肉をいただき、地域文化論を語り合う。途中から、ランチウェイ運営仲間の長正路さんも加わり、牧場の夜はにぎやかに更けていった。

問合せ先
中標津町緑ヶ丘森林公園管理事務所(キャンプ場)
Tel:0153-73-2191
佐伯農場
Tel:0153-73-7107

 

ANA 根室中標津空港 道産子スタッフの中標津自慢

ジンギスカンから海の幸まで北の食材を存分にお楽しみください

根室中標津空港ビル株式会社 空港営業所
和田 さやかさん(左)
森崎 沙也香さん(中央)
三ツ木 麻有さん(右)

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日本有数の酪農地帯で知床をはじめとする海にも近い中標津は食の宝庫だ。まずは北海道を代表する料理、ジンギスカンの名店を。

 

「中標津から計根別に向かう国道272号線沿いに『知床ジンギスカン そら』というお店があります。別海町産の貴重なサフォーク(羊の種類)を知床塩でいただくジンギスカンはクセがなくあっさりしていいます。ぜひ、一度味わっていただきたいですね。鹿のジンギスカンもありますよ。海の幸も充実していて羅臼産のウニ、いくらをのせたウニ丼やいくら丼もおいしいですね」

 

海が近いので回転寿司も質が高い。

 

「根室が発祥の『回転寿司 根室花まる』がオススメですね。なんといっても鮮度が抜群です。歯舞昆布で〆た熟成ひらめ昆布〆や味わいたらこなど、このお店ならではの逸品があります。今年、銀座にもお店がオープンしたので、東京でもこのお店の味を楽しめます」

 

珍しい食べ物も教えていただいた。新鮮な牛乳を使った一品だ。

 

「牛乳豆腐、おいしいですよ。農家さんは初乳を使ってお作りになっていますが、中標津では家庭でも普通の牛乳で作っています。作り方は、鍋に牛乳1㍑を入れて火にかけます。60度になったら弱火にし、お酢(またはレモン汁)を少しずつ入れて混ぜていきます。やがて分離して固まってきますので、ザルで水分を切って完成です。中標津の牛乳、隣の別海町の牛乳を使ったり、みなさんお好みがあるみたいです」

 

カッテージチーズである。ちなみに作り方を伝授してくれた森崎さんは、別海町産の牛乳を使うそうだ。

 

「あとは国道、道道沿いにある農家レストランも道東ならではの味を楽しめます。ランチウェイのルート上にある佐伯農場のレストラン牧舎のカッテージカレーは、人気の牧舎カレーに牛乳豆腐のフライが付いた逸品です」

 

道東の大地を歩き、おいしいものをたらふくいただく。根室中標津空港を起点とした楽しい旅が待っています。

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山田 稔

'60年生まれ。長野県出身。「日刊ゲンダイ」 編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会関連の記事を執筆中。趣味は山歩き、アジア・沖縄旅、男の気まま料理。著書に『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』(光文社・知恵の森文庫)。「分煙社会のススメ。」(光文社)
 

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