北海道ロングトレイル編③~トレイル2日目 熊よけを鳴らし、牛の行列を横目に…

投稿日: 2016年09月05日 20:00 JST

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26km超の長丁場は搾りたての極上牛乳を飲んでスタート

ロングトレイル2日目。朝4時に、佐伯農場のマンサードホールという牛舎を改造した宿舎で目覚める。道東の夏の朝は早い。空が白々と明けていく。農場内を流れる荒川という小さな川の畔を散策する。サクラマスが遡上し始めている。いい光景だ。

 

6時前、佐伯さんが「牛乳持ってきたよ」と搾りたてのミルクを大きな鍋に入れて運んでくれた。

 

「温めて飲むとおいしいから」とおっしゃるので、60度ぐらいに温め、大きめのマグカップに注いで飲む。うまい! 56年の人生で体験した最高の味だ。ほのかな上品な甘み、まろやかな口当たり。牛乳の概念を打ち破る傑作である。極上のソフトクリームを溶かしたような感じ。都会暮らしでは絶対に味わえない本物である。

 

最高の味を堪能したあと、佐伯さんに見送られて7時過ぎに農場をスタート。第3ステージが始まる。

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【第3ステージ】レストラン牧舎[佐伯農場]-養老牛温泉(8.9km)

広い牧草地から林間へ。熊よけのシンバルをマーチ風に“演奏”

荒川にかかる一枚板の橋を慎重に渡り、広い牧草地のど真ん中を進む。今日も曇り空。朝露で足元が濡れる。スパッツを持ってくるのを忘れてしまった。失敗。竹下牧場を経て横田牧場の敷地内に入る。つながれた馬が餌を食べている。今回のトレイルで初めて見る馬だ。掃除をしている牧場の方に「おはようございます。通らせてもらいます」とあいさつ。「どうぞ、どうぞ」とにこやかな笑顔が返ってきた。

 

のんびりと草を食む牛たちを眺めながら、緑の大地を進む。どの牛も“巨乳”の持ち主だ。こんな広い牧草地で思う存分に草を食み、運動をするからおいしいミルクになるんだろうなあ。

 

やがて道は林の中に入り、マス川、熊川という実にわかりやすい名前の川を徒渉する。川の前後に熊よけポイントがある。今度は鐘ではなくシンバルが備え付けられている。演奏を楽しむかのようにリズミカルに打ち付ける。一応、マーチのつもりだ。さあ、元気よく進もう。

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林間部を抜けるとダート道歩きに変わる。道端にきれいな白い山アジサイのような花が咲いている。野鳥の声と山野草、高山植物の可憐な姿は、一人歩きの身に格好の癒しとなる。しばらく進むと、正体不明の動物の糞が目に留まった。シカのものではない。黒っぽいバナナ状のものと木の実がまざった茶色のものが重なっている。ひょっとしたらヒグマのものかもしれないが、それにしては大きさが中途半端だ。そんなことを考えながら念のため「ホー、ホー」と声をかけながら進む。幸い何事もなく、養老牛温泉に向かう車道にたどり着いた。後日、地元の方に写真を確認してもらったところ、「キツネか犬ではないか。熊にしては量が少ない」とのことだった。

 

車道沿いのトレイルを2km以上進む。小さなアップダウンがあり、せせらぎの畔にはクレソンが群生している。きれいな水辺だ。10時過ぎ、第3ステージゴールの養老牛温泉に到着した。

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【第4ステージ】養老牛温泉-西別岳山小屋(17.4km)

せせらぎ沿いの無料露天温泉でまったり

養老牛温泉は今年、開湯100年。標津川沿いに温泉宿が立ち並ぶ(現在は2軒が営業中)。国民的な人気を博した映画『男はつらいよ』、『釣りバカ日誌』のロケ地でもある。道路沿いの広場には記念碑が建ち、ポスターが展示されている。山田洋次監督のお気に入りの地なんだろう。『遥かなる山の呼び声』という山田監督作品(出演、高倉健、倍賞千恵子など)も中標津の酪農地帯が舞台だ。中標津のロケ地巡りも楽しそうだ。

 

先に進もう。温泉街の先を山の中に入り、一山越える感じで歩いていくと、「からまつの湯」という無料の露天温泉があらわれる。80度の源泉をバウシベツ川の水で湯温を調整している。地元の有志の方が管理されているそうで、女性用の着替え室もある。水着は禁止となっていた。

 

まだまだ先は長いが、温泉の誘惑には勝てない。重いザックを下ろして服を脱ぎ始めると、温泉に入っていた2人の先客が相次いで上がったため、露天風呂を独占することに。いやあ、気持ちいい。せせらぎの音を聞きながら熱めの湯に浸かるひととき。疲労が体内から抜け出していくようだ。いつまでも浸かっていたい秘湯である。

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数十頭の牛が駆け出し、目の前に迫ってきた

まったりした後は、再びロングトレイルの世界に。しばらく林道、車道を歩き、モアン山の麓をめぐるトレイルに入る。エアーズロックのような形をした緑の小山・モアン山はCMでも使われた絶景ポイント。地元の農家らが山の斜面の草を刈り取り「牛」の文字が山肌に刻まれているように見える。道道150線沿いにあるので、この一帯をドライブすれば見かけるはずだ。

 

牧草地のバラセン(有刺鉄線)沿いにしばらく進んでいくと眺めのいいポイントに着いたので、ランチにする。農場でつくってきたおむすび3個に味噌汁という簡単なものだが、広々とした緑の丘陵を眺めながらの食事は最高だ。食べ終わったら、その場に大の字になって一休み。相変わらず曇り空だが、だーれもいない空間を独り占め。贅沢なひとときである。

 

30分ほどの休憩の後、ザックを背負って歩き始める。いつのまにか、50mほど先の丘の斜面に数十頭の牛があらわれ、草を食んでいるではないか。写真を撮り、前に進む。すると、突然、1頭の牛が駆け始めた。

 

「元気がいいなあ」

 

ほほ笑ましく眺めていた。が、余裕はここまでだった。先頭の牛につられるかのように他の牛たちも一斉に駆け始めたのだ。しかも、こちらへ向かって一直線にやって来る。

 

「ドドドドッ、ドドドドッ」

 

地響きを立てながら数十頭の牛の集団が丘を駆け降りてくる。物凄い迫力だ。ついには先頭集団がバラセンのところに到達。気のせいかもしれないが、こちらを睨むように見つめている。遅れて後ろの集団が到達。バラセン沿いに20m以上の牛の列ができてしまった。中にはバラセンから顔を出して草をむさぼる牛も。

 

いやあ、参った。遮るのはバラセンのみ。すぐそこに数十頭の牛がいるのだ。鳴き声は挙げないが、こちらを威嚇しているように思えて仕方がない。正直言って、このときばかりはビビった。

 

「あのさあ、何もしないから先に行かせてくれよ」

 

牛たちをなだめながら、刺激しないようにゆっくりと進む。最先端の牛の前を通りすぎ、しばらく進むとちょうど道が右に折れ、牧草地から離れていった。はあ、なんとか難を逃れた。

 

足早にその場を去り、牧草地が見えなくなる頃、「モーッ」という鳴き声が何度も聞こえた。

 

この一件も後日、地元の方に尋ねてみた。すると「この牧場の牛は各農家から集まった牛が多く、人に慣れていません。物珍しくて1頭がついてきたところ、ほかの牛もつられて後を追ったのでしょう。バラセンの外には絶対に出てこないので安心してください」とのことだった。今回のロングトレイルで最大のハプニング。忘れられない思い出である。

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長い、長いダート道歩きの末にようやくたどり着いた山小屋

牧草地帯から樹林帯に入り、小さなアップダウンを繰り返して進むと、やがてケネカ湿原にさしかかる。長正路沼のまわりは湿地なので、靴が濡れないように板の置いてあるところを歩く。湿地のせいか蒸し暑い。ユリのような花が咲いている。静かだ。

 

小さな川に設けられた給水ポイントを過ぎ、なおも進むとダート道になる。この道が思いのほか長く、単調で飽き飽きとしてくる。そんなとき、前方に動くものが。シカだ。またしてもこちらを凝視している、そして踵を返して林の中に去っていった。

 

ダート道と一口で言ってもタイプがいくつかある。きちんと整地され、砂が固められたような道は歩きやすい。逆に砂利というより小石がばらばらと展開している道は、靴底に石があたり、歩くにくいし消耗度も大きい。なるべく石の少ないところを選んで歩く。ほぼ一直線の道が延々と3㌔以上続く。ザックの重さが肩に食い込んでくる。

 

16時過ぎになって、ようやく西別林道に入る。あと4kmほどだ。最後の気力を振り絞って歩く。スマホのマップをチェックすると、残りの距離が分かってしまう。まだ3kmもあるのか。気力が萎える。草が生えている場所に腰を下ろし、一服。気分転換が必要だ。黒糖をなめ、水分を補給する。少し気力が復活した。さあ、進もう。水戸黄門のテーマ曲が浮かんできた。♪人生楽ありゃ苦もあるさ。

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最後の曲がり角を過ぎ、17時過ぎにやっとのことで西別岳山小屋にたどり着いた。ログハウス風の立派な山小屋である。管理人さんがいると聞いていたが、無人だ。ノートに住所と名前を記入し、お邪魔する。リビングルーム(?)には薪ストーブがあり、天井からはランプのシャンデリアが。2階にマットレスと毛布が用意されている。寝袋は使わなくても済みそうだ。

 

ノートを見ると前日(土曜日)は10人ほどの団体と3人のパーティーが泊まったらしい。3人パーティーは高齢のご夫婦と30代の息子さん。牧場のノートにも名前があったからKIRAWAYをスルーハイクしたのだろう。疲れ果てて何もする気がしないが、寝具だけはセットしておく。外に出てベンチに腰を下ろし、夕暮れ時の野鳥の鳴き声を聞きながらスキットルのウイスキーを飲む。ふぅ。胃袋に沁みわたる。今夜はこの広い山小屋で独り寝か。たまには、こんな夜があってもいい。

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ANA 根室中標津空港 道産子スタッフの中標津自慢

ソフトクリームは絶品揃い!ぜひ食べ比べてみてください

根室中標津空港ビル株式会社 空港営業所
和田 さやかさん(右)
森崎 沙也香さん(中央)
三ツ木 麻有さん(左)

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中標津は日本でも有数の酪農地帯。牛乳の美味しさはもちろん、女性が大好きなソフトクリームも絶品揃いだ。

 

「空港の近くにあるカフェ『ラ・レトリ』は中標津の新鮮な生乳を使ったミルクのコクがあるソフトクリームをはじめ、低脂肪でヘルシーなミルクジェラート、飲むヨーグルトなどが人気です。開陽台にあるカフェ『カイヨウダイ』の“しあわせのはちみつソフト”もオススメです。はちみつはスタッフが開陽台の麓で採取したものを使用しています。“シレトコ・ドーナツ”もおいしいですよ。“養老牛放牧牛乳”を生産している『山本牧場』も人気が高いですね。ここの牛乳は表面に生クリームの薄い層が浮かんでくるのです。それほど濃厚な牛乳なので、ソフトクリームの味は最高です。コンビニのソフトクリームのレベルを1とすればここは8ぐらい。ソフトクリームの食べ歩きも楽しいですよ」

 

スイーツ情報で挙げていただいたのは、中標津の隣にある別海町のカフェ。

 

「『トランク』というお店のパンケーキをぜひ召し上がっていただきたいですね。シフォンケーキのようなふんわりとした食感が最高です。ミルクジェラートも一緒に味わいたいお店です。ANAのウェブサイト2015/2016冬春号の道東・中標津エリアのページにも紹介されています。」

 

さすが酪農王国だ。KIRAWAYを歩き、ソフトクリームを食べ比べる。道東の新しい旅スタイルを楽しんではいかがか。

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山田 稔

'60年生まれ。長野県出身。「日刊ゲンダイ」 編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会関連の記事を執筆中。趣味は山歩き、アジア・沖縄旅、男の気まま料理。著書に『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』(光文社・知恵の森文庫)。「分煙社会のススメ。」(光文社)
 

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