北海道ロングトレイル編④~北海道 大自然のロングトレイル71.4kmをついに完歩!

投稿日: 2016年09月16日 19:00 JST

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最終日 花の名山を経て摩周湖へ

7月25日。さあ、KIRAWAY歩きもいよいよ最終日。外は小雨が降っている。毎日こんな感じだ。宿泊した西別岳山小屋は清潔で、快適な睡眠をとることができた。あまりに静かなので、つい寝過ぎた。目覚めたらすでに6時を回っていた。ま、いいか。急ぐ旅でもない。コッヘルの残りご飯を温め、缶詰のシーチキンときゅうり、味噌汁の朝飯をいただく。

 

ここまでの歩行距離は50km超。さすがに脚の筋肉が張っている。朝食後に脚をもみほぐし、ストレッチを行う。部屋の中を片付け、荷物をまとめていたら出発が8時になってしまった。

 

【第5ステージ】西別岳山小屋―摩周湖第一展望台(11.3km)

■がまん坂の急登をこなし、霧の山頂に到達

山小屋の脇にある登山口で登山者名簿に記入する。小雨の月曜日ということもあり、誰も登っていない。歩き始めはなだらかな道が続く。霧がかかった白樺林が幻想的で美しい。体力を消耗しないよう、歩幅は小さく、のんびりと登る。傾斜が急になってきた。「がまん坂」の標識があらわれた。登山口から0.9km。西別岳山頂まで2.3kmの地点だ。

小屋にあったパンフレットには「西別岳一番の難所。我慢する時間約20分」と書かれていた。息を整えて“我慢タイム”に突入だ。まっすぐな急傾斜が続く。前方の枝や岩など目印を決めて、そこまでは立ち止まらないように歩くことにする。その繰り返し。ザックが肩に食い込み、ネを上げそうになる。振り返って下を見るが、ガスで何も見えない。道端に咲く高山植物の可憐な姿に元気をもらう。

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ゆっくり歩いたから、がまん坂を登りきるのに30分ほどかかった。やや傾斜が緩やかになった林の中を進むと、黄色い花が咲く向こうに、空に続く丸い円があらわれた。天上の世界に導かれているような光景だ。道央のオロフレ山を登ったときも似たような光景に出くわしたが、今回の方が丸い。白樺の枝が重なってトンネル状になっているのだが、自然の造形は面白い。

 

道沿いにいろんな高山植物が咲いている。第一お花畑、第ニお花畑、第三お花畑と、花畑が続く。ハクサンチドリ、トウゲブキ、エゾトリカブト、ヨツバシオガマ、コケモモ…。花好きにはたまらない山だ。

 

リスケ山への分岐を左に折れ、ごくらく平の平坦な道を快適に進む。最後にひと登りして山頂に到着。パンフには山頂まで約1時間30分とあったが、登り始めて2時間20分が経っていた。B級のんびり山歩きである。

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■摩周岳分岐を経て展望台に向かう道は夢心地の散策路

西別岳山頂は標高799.5m。緯度が高いので、本州の山でいえば1800mから2000mクラスの山に匹敵するのではないか。高山植物の多彩な分布からもそんな感じがする。晴れていれば目の前に摩周岳と摩周湖、雄阿寒岳、斜里岳などの姿を楽しめるというが、ガスで眺望はゼロ。残念だ。ザックを下ろして、熱いコーヒーを入れ一服する。

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休憩後、前方の斜面を降り、摩周岳分岐への道を進む。白樺林の中に延びる細い道。静かで快適な山歩き。野鳥の鳴き声に口笛で応え、戯れながら進む。天上の小径を歩いているかのようだ。夢の中にいるような世界が続き、なんだか詩人になれそうな気さえしてくる。

 

摩周岳への分岐点にベンチとテーブルがあり、休憩する。一服していると前方から「****」と聞き取れない話し声が聞こえてきた。姿を見せたのは30代前半の外国人カップル。小型のザックを背負い、楽しそうに歩いて来る。

 

「Hello」とあいさつ。立ち止まってほほ笑んだので、どこから来たのか尋ねるとオーストラリアだという。摩周岳に向かうそうだ。「Take Care」と見送る。今回のロングトレイルで初めてすれ違ったハイカーだ。人と話をしたのも昨日の朝以来。遭遇するのは牛とシカ、キツネ、そして野鳥だけだったからなあ。

 

再び歩き始めると、またしても欧米系のカップルとすれ違う。元気よく摩周岳を目指して進んでいった。しばらくして摩周湖の標識がある場所に差し掛かったが、ガスで何も見えない。布施明の「霧の摩周湖」を口ずさみ、眺望は諦めて歩き続ける。この時点でスマホの充電が切れてしまった。予備の電池も使い果たしてしまったから、紙の地図を頼りに歩く。

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■一帯を覆っていたガスが晴れ、ついに神秘の湖が姿をあらわした

黙々と歩いていく。するとどうだろう。あれだけ重く立ち込めていたガスが晴れてきたではないか。目を凝らすと前方の白樺の木の向こうに青い湖面が見えてきた。摩周湖が見えた!カムイシュ島もクッキリだ。にわかに元気が出てきた。ザックからハンディカムを取り出し、撮影ポイントを探しながら歩く。神秘的なブルーの湖面を一望できる場所に立ち止まり、飽きることなく眺め続けた。

 

余談だが、摩周湖にはこんな伝説があるそうだ。

「晴れた日の摩周湖を見ると女性は婚期が3年遅れ、男性は出世が3年遅れる」

「霧の摩周湖から、晴れた摩周湖になる瞬間を見た人にはよい縁談がある」

 

筆者のケースは後者があてはまりそうだが、縁談は関係ないからなあ。とはいえ、諦めかけていた摩周湖の姿を見ることができたのだから、運が巡って来たのは間違いない。いいぞ。

 

撮影後、小石の多い坂道を下ったり、小さな丘を登り返したりとしながらトレイルを進み、13時半ごろ、第5ステージのゴール地点である摩周湖第一展望台に到着した。

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【第6ステージ】摩周湖第一展望台-JR美留和駅(6.2km)

■静かな山道を下り、広々とした畑を見ながら駅に向かう

展望台は賑やかだ。レンタカーで訪れるカップルや親子連れ、さらに観光バスから降り立ってくる中国人の団体客。観光客の行動パターンは一緒だ。展望台に上がって摩周湖を眺め記念撮影。その後は土産物を購入しておしまいである。ほんの少し歩けばすばらしいトレイルがあるのに、誰も向かおうともしない。もったいないなあ。もっとゆっくりとした旅をしたくないのだろうか。

 

ひと休みした後、最後の下りにかかる。ここはトレイルの入り口がわかりにくい。駐車場の係の方に尋ねると「あそこのヒグマ出没注意の看板があるところ」と教えてくれた。いやはや。最初からヒグマ注意か。クマイザサが生い茂る道を下りていく。やがて里山のトレイルといった雰囲気になる。この道はかつて美留和小学校の生徒たちが摩周湖ハイクで使用していた登山道とのこと。谷には小さな沢が流れ、1匹のカエルが水辺にジッとたたずんでいた。お互い独り者。仲間意識が芽生え、しばらく観察する。やがてカエルは茂みの中に姿を消してしまった。

 

「ホー、ホー」と熊よけの声をかけながら進む。やがて道は林道に変わる。名も知らぬ白い花が一面に咲いている。日が傾き始めてきた。寂寥感が漂う。ガサガサッと音がした。シカがこちらに気が付いてあわてて林の中に身を潜めようとしているところだった。

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林道のゲートを越えると、今度は道の両側に広い畑が続く。ジャガイモ、小麦、そば、とうもろこし。いろんな農作物が育っている。大きなトラクターが両側に細長い管を伸ばし、肥料の溶液だろうか、何かを散布している。農業の規模が大きい。これぐらいの大規模農業でないと日本の農業は立ち行かないだろうな。あとは生産する作物。いかに付加価値のあるものを育てるか。そんなことを考えながら農作業を撮影し、ダート道を進む。そのうち人家があらわれ、飼い犬が見知らぬ旅人に吠えまくる。里に戻ってきた。

 

車道に出て、JR釧網線の踏切を渡る。道が国道391号線にぶつかる所に「摩周の伏流水」という湧き水スポットがあった。冷たい摩周湖の湧き水で喉を潤す。うまい。国道沿いに進み、左に折れたところが青いコンテナ駅舎の美留和駅、KIRAWAYの終点だ。17時半になっていた。「The End of Kiraway」の標柱を撮影。71.4kmの長い、長い道のりをなんとか歩き抜いた。釧路行きの列車は30分後だ。ザックを下ろし、スキットルのウイスキーを空にする。心が少し軽くなったような気がする。

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■格安の花咲ガニを購入、宿で「完歩祝い」

学校帰りの高校生と一緒になった列車が釧路駅に着いたのは19時を回っていた。バスに乗り、列車の中で予約した民宿に向かう。1泊朝食付きで4,000円とリーズナブル。宿の前にスーパーがあったので立ち寄る。鮮魚コーナーで旬の花咲ガニをみつけた。茹でたカニが1杯なんと513円である。安い!469gあるから量は十分だ。ほかにツブ貝の酢味噌あえ、海老天、カボチャコロッケと白飯、サッポロクラシック(ビール)を購入。

 

宿にチェックインしてシャワーを浴び、部屋で「KIRAWAY完歩祝い」。北の海の幸を思う存分に堪能しながら、71kmの行程を思い返した。よく歩いたなあ。今度来るときは、テントは持たず荷物をもっと軽くしよう。佐伯農場の宿泊施設を拠点にして、近隣の山々を巡ってみるのも楽しいかもしれない。せっかくならマス釣りもやりたい。冷えたビールを飲みながら、次の夢を思い描いているうちに夜が更けていった。

 

ANA 根室中標津空港 道産子スタッフの中標津自慢

4種類の木材がふんだんに使われた温もりのある空港ビル

根室中標津空港ビル株式会社 空港営業所
和田 さやかさん(右)
森崎 沙也香さん(中央)
三ツ木 麻有さん(左)

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空港の歴史は古い。1944年に旧海軍の飛行場として新設されたのが発端だ。ターミナルは、「国内初の木造空港ビル」として建設され、89年から供用が始まった。08年にリニューアルオープンした。北海道最東端の空港である。

 

「空港ターミナルは桜、楢、カラマツ、トドマツの4種類の木が使われています。木の温もりが感じられる空港は、日本ではここだけです。お客様にも好評ですね。空港で働いていると、木のしなる音が聞こえることがあります。道東の大自然とマッチした建物だと思いますね」

 

3階にあるある展望デッキからの眺望は最高だ。

 

「お天気のいい日には知床連山や北方領土の島がくっきりと見えます。お時間が許せば、ぜひ足を運んで景色をお楽しみいただきたいですね」

 

 

根室中標津空港へは羽田からANA便が1日1往復。片道1時間40分のフライトだ。新千歳空港からは1日3往復で所要時間は約50分。根室中標津空港を拠点に、道東の大酪農地帯をとことん歩き、文化に触れ、おいしいものを食べる。そんな旅に出かけませんか。

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山田 稔

'60年生まれ。長野県出身。「日刊ゲンダイ」 編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会関連の記事を執筆中。趣味は山歩き、アジア・沖縄旅、男の気まま料理。著書に『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』(光文社・知恵の森文庫)。「分煙社会のススメ。」(光文社)
 

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