第2回 「うつ」を病気なのだと認めるまで

投稿日: 2009年07月30日 00:00 JST

夫の舞台を手伝ったことで、症状を悪化させたまゆみさんだが、同時に気づいたことがあったようだ。

image「私ふと感じたんです。夏目漱石『こころ』ってありますよね? なぜ漱石は漢字の『心』ではなく『こころ』ってしたかに・・・・。漱石はロンドンに行き、人間関係もなく孤独の淵を味わいましたよね。うつの人の感じる孤独や傷って、気持ち、心、思い、意志、心理とかでは言い現せない。もっともっと奥にあるもの。魂の奥底にあるものにナイフがつきささって傷ついていく。そんな痛みをその時味わったんです。私の場合は、人生でこれまで心に穴があいたことが3回ありました。一つ目は高校時代に薬の副作用で、合唱で歌っていたのに声が出なくなり、目標がなくなった時。
そして二つ目は母の死です。
三つ目が、夫のこころから私が消え去り必要とされていないのを認識した時です。穴は小さくなったけれど今でもちっちゃな棘となって刺さっています。でも穴はあかなかったけれど、この芝居のことで、私は一番しんどくて辛い経験をしました。世間の波に飲まれてしまって。悲しくて悲しくて。
『私はダメだ』『私には何もできない』って自分を責めて。こころの奥底にナイフがささって。どうしようもなかった。
その時です。義理の兄が、「お前さんは何も悪くないよ」と私の側で一緒に怒ってくれて、理解してくれて受け止めてくれたんです。それがどれだけの救いになったことか。
一番の理解者である夫にはその問題は相談したくても出来ませんでした。もし舞台の裏で起きていることを知ったら、キレて『俺は降りる!』と言い出すことが目に見えていたので。けれど、このことでうつの状態がひどくなっても、周囲に理解してくれる人、愛してくれる人がいれば元に戻せないほどに心が壊れたり、自ら命を絶つようなことにはならない。
調子が落ちているときは厳しく自分を律することはやめよう。自分を救わないと相手のことも大切にできない。そう思えるようになったんです」

萩原もこう続けた。

「50代になってもまだまだカミさんの世話になりっぱなしです。主治医の先生からは『役者やめないとうつは治らないです』と言われています。でも役者をやめる気はないし。僕がうつを患いながらドラマや舞台に出ていると、同じうつの人から『勇気づけられます』って言われて驚いてます(笑)」

うつを売り物にする気はないという。だが、夫婦でうつを患い、子供もなく、そして離婚もしない役者は皆無ではと語る。

「うつになり生きることが辛いこともあるけれど、夫婦でお互いを支えあってるし、良かったこともあるんです。僕は人前で泣いたことがなかった。でもマネジャーに電話してなぜかいきなり涙が止まらなくなったりして。カミサンの影響からか、信頼できる人に弱味を見せたり助けを求めたりを覚え初めているのかもしれないですね」

と、はにかんだ。

二人には、うつの人やその家族に伝えたいことがあるという。

image「いろんな症状もあるけれど、本人が自分でうつだという病気なのだと認めるまでは強制的に病院に連れていくことはないと思うんです」と萩原。

「お子さんが学校に行かなくなってしまったとしても、ご両親にはあせらずに見守ってあげてほしいんです。幾つまでに卒業しなければいけないという規則はないし。
生きるペースって一人一人あると思うんです。世の中に乗り遅れることは決して悪いことじゃない! 家族の人は、思い込まずにいてほしい。もちろん見ているのは辛いものです。でも待ってあげてほしい。本人が一番辛いのだから。無理強いだけはしないでほしい」

一方、まゆ美さんは

「うつの人はうつの本を読まないものです。でもぜひ家族の人に読んでほしい。私は周りの人に助けられて今があります。友人や義理の兄、ペットの猫ちゃんたち。そんな周りの優しさが最良の薬になりました。その人や猫の存在がなければ、私はきっと生きてなかったと思います。夫がイライラをぶつけられるのは私。そして私も他の人に助けを求められる。いざとなったら泣きついちゃう(笑)。そんな自分の存在を丸ごと受け止めてくれる人の優しさが本当に助けになっています。そういう意味では私は恵まれているんでしょうね」

今ではカラダや心の危険信号にも気づくようになったという、まゆ美さん。

「私の場合は、寝不足気味になってきたな、睡眠障害だ! って。だからもし最近よく眠れない、部屋に引きこもりがち。話をしなくなるなどの症状が出たら、無理せずに軽い気持ちで病院へ行ってほしいと思いますし、家族も気づいてあげて欲しいですね」

20年の長きにわたり、夫婦で「うつ」を歩んできた人生。

「私たちは20代で“夫婦”になった。30代は同じうつ病になり“戦友”になりました。40代はいいバランスで“双子”のように。そして50代になってお互いの心がつながり、私たちは打たなくても響きあう太鼓のようになった気がします。子供のいない私たちだからなにか二人で生み出せるものを創りたかった」

と、まゆ美さん。05年には二人でCDを制作した。

そして、今回の著書も二人にとってはかけがえのない、生み出した“子供”にちがいない。Wうつになり手にいれた愛によって――。

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