雑誌記者から外務省入り「安倍演説」スピーチライターの正体

投稿日: 2015年05月09日 07:00 JST

4月29日(現地時間)、安倍晋三首相(60)の米議会演説。そのカギは、スピーチライターを務める谷口智彦内閣官房参与(57)が握っていた。第一次安倍内閣で国際広報を担当する外務副報道官を務めたのち、慶大大学院教授に。’13年には安倍首相に請われて内閣審議官。そして昨年4月からは内閣官房参与を務める。もともとは経済誌「日経ビジネス」の記者だ。

 

「谷口氏は国際金融畑で取材していましたね。記者時代のネタ元の一人が、国際金融局課長時代の黒田東彦・現日銀総裁。プリンストン大学にフルブライト奨学生として留学し、英国の外国特派員協会では、アジア人初の会長に就任しています」(日経新聞関係者)

 

オバマ大統領が27歳のスピーチライターを登用し、大統領選を勝ち抜いたのは有名な話。ただ、日本では常勤のスピーチライターを外部から登用するのは初めてのことだった。

 

「外交とは言葉」が谷口氏の持論。彼の登用以降、安倍首相の演説は国内外メディアから注目を集めてきた。一方で、’13年9月、東京五輪誘致プレゼンでの福島原発は「アンダーコントロール」演説。さらに、今年1月の中東訪問での「ISIL(イスラム国)と戦う周辺各国に2億ドルを支援する」と踏み込んだ演説は物議を醸した。

 

’06年、谷口氏がジャーナリスト時代を振り返って語った言葉は痛烈だ。

 

〈「日本の発信力」とかナントカ言うけれど、ジャーナリストだって世界へ出るとろくすっぽプレゼンスが見えやしないじゃないか、なんて盛んに内心憤っていた……(中略)どこか自分の中で、「日本として言うべきことはきちんと言わなければならないし、そのためには自分で発信することを躊躇していては何も始まらない」という思いは、やがて確信になりました〉(外務省HP「谷口智彦外務副報道官 日本の発信力とブランディング」より)

 

’09年に、谷口氏らとともに『オバマのアメリカ・どうする日本』を上梓した中林美恵子早稲田大准教授は次のように語る。

 

「私が一人で編集の役割を担ったのですが、谷口さんの文章は一文字も直す必要がなく、流れも非常に上手。ほかの人はけっこう直したんですけど(笑)。英語ではウイットに富んだ言い回しがとても上手。内閣審議官になってから一度会ったのですが、“あのスピーチは私が書いた”なんて絶対に言わない。裏方に徹するプロフェッショナルな人です」

 

「安倍演説」の裏には、黒衣に徹する男の姿があった。

 

(週刊FLASH5月12・19日号)

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