遺族の思い踏みにじる 石巻市「大川小校舎解体のシナリオ」

投稿日: 2014年12月11日 09:00 JST

11年3月11日、東日本大震災による大津波が、宮城県石巻市立大川小学校を襲った。全校児童108人中74人が死亡・行方不明となった痛ましい事故は、多くの人が記憶していることだろう。その大川小で、遺族の声を無視した計画が、水面下で進行しているというのだ――。

 

大川小学校は、現在も鉄骨がむき出しになっており、津波の脅威を伝えている。

「ご遺族は、あの校舎を見て子供たちを思い出すんですよ。何度もくじけそうになりながら、あそこに行くと子供たちに励まされ『明日も頑張ろう』と思える、心のよりどころだと言うんです」

 

匿名を条件に情報提供してくれた大川地区の住民のAさんが語る。

 

「じつは、石巻市役所の下部組織である『河北総合支所』が、大川小の校舎を取り壊す計画を立てているんです。遺族や地域住民のアンケートでも、『校舎を残したい』、『見るのがつらいから取り壊して欲しい』、『どちらの思いもある』と、意見はほぼ3等分に割れており、まだ気持ちの整理をする時間が必要だというのに……」

 

怒気を込めたAさんは、11月7日の大川地区復興協議会で配付された『河北地域 釜谷地区(鎮魂の森)計画図(案1)~(案3)』という冊子を、震える手で広げた。

 

案1は敷地に芝生や桜の木々を植えたり、慰霊碑を立て、校舎はすべて取り壊し、跡地には特殊タイルを敷き詰めて、スマートフォンやタブレットをかざすと、震災前の大川小の写真が浮かび上がるという事業計画。きれいな完成イメージ図も付いている。案2も基本は同じだが、低学年棟など校舎の一部のみを保存する計画で、案3はすべての校舎を保存するというものだ。

 

「スマホやタブレットを、校舎を壊して敷き詰めた特殊タイルにかざして画像を見る……これでは鎮魂の場というよりテーマパークでしょう」

さらにAさんが許せないのは、この計画書が最初から「校舎の解体ありき」で作成されたことだという。大川小5年だった千聖ちゃん(享年11)を失った、父親の紫桃隆洋さん(50)が本誌の取材にとまどいながら語る。

 

「案3で校舎を残す選択肢が残されていますが、この資料が配付される2週間前まで案3はなかったんです。計画書を見た遺族の1人が『校舎を全部残すという選択肢も入れてください』とお願いして、あわてて付け足されました。しかも反対を恐れてか、資料が配付された協議会では、遺族の立場として呼ばれた人はいませんでした。私はたまたま福地地区役員として協議会に出席できましたが……」

 

 

なぜ遺族の感情を無視したかたちで、強引に計画を推し進めようとしていたのか。地元メディア関係者が、大川小の抱えている“ある事情”について語る。

 

「約20の遺族が、時効ギリギリの今年3月、《学校は津波を予見できたのに、子供たちを安全な場所に避難させなかった》と、県や石巻市を相手取り、23億円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしたんです。裁判で争っている以上、校舎は重要な証拠。それを、石巻市の下部組織が復興協議会に潜り込み、取り壊す計画を進めているように見えます。しかも事業が決まれば市に復興予算が入ります。残り1兆円ほどの国の復興予算が重点配分される特例が、16年3月で切れるので、急いで計画を進めているのでしょう。予算も取れれば証拠も消せる。実現すれば、石巻市にとっては一石二鳥でしょうね」

 

さらに、計画を知った別の大川地区の住民は、こんな見方をしている。

「あの計画書通りに、校舎から三角地帯に向かう傾斜地を最大3メートルもかさ上げしてしまったら、将来、あの場所を訪れた人が見れば、『3月11日、学校の指示で三角地帯に避難したのも理解できる』と錯覚するかもしれない。いわばこれは”歴史”を変えてしまうことになるんです」

 

これら住民や遺族の不安に、河北総合支所はどのように答えるのか。「大川地区のテーマパーク化について説明してほしい」と問うと、同支所の相澤清也主幹は「どこで聞いたの? まだ内々のアイデアの段階なんだよ」と言い、「金の計算も、何もしていない」と強調した。

さらに市役所にもコメントを求めると、同市復興政策課の岡道夫課長は「大川小の保存・解体に関しては、市として把握していない。お答えもできないし、わかりません。地域の方々の話し合いのなかに、河北総合支所がお手伝いで入っているという認識です」と回答。

 

しかし、完璧な事業計画書といい、遺族を介さず協議会で話し合う方法といい、いささか「お手伝い」の範疇を越えているのではないか。

 

前出の紫桃さんはこう語る。

「計画自体に反対するわけではないんです。事実を曲げずに、残せる部分は残してほしいと――。今のまま校舎を残さなければ、将来『子供たちが学校で犠牲になる悲劇を繰り返してはいけない』という教訓にならない。もちろん、遺族の中にも、私と違う意見もあります。だからこそ話し合いが必要なんです」

 

遺族の思いを無視し、計画だけが独り歩きすることを許してはならない。

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