誰がトランプを支持しているのか?大ベストセラーで読み解く(7)

投稿日: 2017年03月08日 17:00 JST

トランプ大統領の主要な支持層と言われる、白人貧困層。「ヒルビリー」とも言われる彼らの実態について書かれた本が、アメリカで売れ続けています。その邦訳版の刊行にさきがけ、本文の一部を少しずつ紹介していきます。

 

 

子どもは勉強しない。親も子どもに勉強をさせない。だから、子どもの成績は悪い。親が子どもを叱りつけることもあるが、平和で静かな環境を整えることで、成績が上がるよう協力することはまずありえない。成績がトップクラスの一番賢い子たちですら、仮に家庭内の戦場で生き残ることができたとしても、進学するのはせいぜいが自宅近くのカレッジだ。

 

「ノートルダム大学に行こうが、どこに行こうが、かまいやしない」というのが親の考えだ。「コミュニティカレッジで、立派な教育が安く受けられるんだから」。皮肉なのは、私たちのような貧困層にとっては、実際には奨学金が受けられるノートルダム大学に行ったほうが、安あがりで立派な教育が受けられるということだ。

 

本来ならば仕事をしていなければならない年齢なのに、働かない。仕事に就くこともあるが、長くは続かない。遅刻したり、商品を盗んでeBay(オンライン・マーケットプレイス)で売り飛ばしたり、息がアルコール臭いと客からクレームをつけられたり、勤務時間中に30分のトイレ休憩を5回もとったりして、クビになる。一生懸命働くことの大切さは口にするのに、実際には仕事に就かず、それをフェアでないと考える何かのせいにする。オバマが炭鉱を閉鎖したせいだとか、仕事をすべて中国に奪われたせいだとか。自分自身に嘘をついて、きちんと働いていない気まずさをごかまそうとしているのだ。そうやって、いま見ている現実世界と、自分たちが信じる価値とのあいだの断絶を埋めようとする。

 

子どもには責任を持てと言っているくせに、自分たちはやるべきことをやらない。たとえばこんな感じだ。私はずっと、ジャーマンシェパードの子犬を飼うのが夢だった。それを知った母が、どこからか1匹見つけてきた。うちで飼う4匹目の犬だった。にもかかわらず、私は犬のしつけのことを何も知らなかった。

 

結局どの犬も、数年で警察や家族の友だちに譲りわたされ、家には1匹も残らなかった。私は4匹目の犬にさよならをすると、心を閉ざすようになった。何に対してもあまり愛着を感じないほうがいい、と思うようになったのだ。

 

 

 

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単行本『ヒルビリー・エレジー』

著者:J.D.ヴァンス

邦訳:関根光宏・山田文

価格:1,800円+税

出版社:光文社

発売日:2017年3月14日(火)予定

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