ある日突然、「もう必要ない」当事者が語るパワハラの実態

投稿日: 2015年07月18日 06:00 JST

「友人が海外で結婚式を挙げることになって有給休暇を取得したのですが、戻ってきたら『君が休んでも、仕事がうまく回った。もう(君は)必要ないから、明日からアルバイトになるか、別の仕事でも探して』と言われて。断ると、正社員から契約社員にされ、その日からつらい嫌がらせが始まりました」

 

A子さん(33)は中途採用で入った広告代理店で勤務中、深刻なパワハラ被害を受けた。中心人物は、50代の女性上司。

 

「『社長の指示だから』と言って、私だけ毎朝、『挨拶の練習』を命令されました。机に向かって『ありがとうございます!よろしくお願いします!失礼いたします!』と大声で頭を下げるのですが、だんだんみじめな気分になって……。涙をこらえながら声を張り上げた日もありました」

 

別の上司から「お前が有給を取ったから、職場の士気が下がった」と言われたことも。

 

「毎晩、職場を出るのは最後。先に帰るとみんなの視線が突き刺さるように感じるんです。でもそのころは、正社員時代に担当していた職を外され、資料の整理などしか仕事がない状態でした」

 

そしてある日、2人の上司から喫煙室に呼ばれたA子さんは「君の仕事はない」と、契約更新を拒否された。たばこを吸わないA子さんにとって、喫煙室で上司に詰め寄られ、断れる状況ではなかったという。差し出された「離職届」の理由欄には、あらかじめ「転職のため」と記入されていた。

 

「つまり自己都合で辞めたことになり、失業保険の額も時期も、会社都合より不利になるのです。そこで初めて怒りが湧いてきて。労働基準監督署に駆け込みました」

 

担当者にアドバイスを受け、A子さんは「個別労働紛争のあっせん」手続きを開始した。これは、労働問題の専門家である委員が個人と会社の間に入り、無料でトラブルを解決する制度だ。裁判のような強制力はないが、会社に「これはパワハラだ」という指導を与えることはできる。

 

現在、A子さんは転職したPR会社で新たなキャリアを積み始めた。

 

「相手と闘ったことで、自信にもなりました。新しい職場は天国のようです(笑)。自分にパワハラ被害の経験があるからこそ、周囲への発言や行動については、注意するようにしています」

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