著名人が語る“私の70年談話”高橋源一郎編

投稿日: 2015年08月10日 06:00 JST

安倍首相の「戦後70年談話」が話題だが、国民一人一人に“私だけの70年談話”があるはず。そこで著名人に語ってもらった「この人生を歩んできた私だからおくるメッセージ」。

 

新刊『ぼくらの民主主義なんだぜ』が話題の作家、高橋源一郎さん(64)。安保法制に揺れる日本をどう見るのか−−。

 

戦後70年の今年、実は日本には「民主主義」がなかったという事実に僕は気づきました。安倍首相が安保法制は「国民の理解が進んでいない」と認めたうえで、強行採決したのが7月15日です。55年前のちょうどこの日に、祖父の岸信介元首相が総辞職しました。もしかしたら、同じ日に合わせたのでしょうか。

 

この安保法制の根本的な問題は違憲の法案だからです。しかし、それ以上に恐ろしいのが、反対する国民の声に首相がまったく耳を傾けなかったことです。「オレが決めたんだから言うことを聞け!」とばかりに、反対する人たちを説得したり、対話したりしませんでした。これでは中国や北朝鮮となんら変わりません。

 

そんな中、長い間「社会を変える」運動から姿を消していた若者たちが、政治活動の現場に戻りつつあります。そのきっかけのひとつは、日本人がこれまで体験したことがなかった3・11の大震災、そして原発事故だったのでしょう。社会に対してもっとも繊細なセンサーを持っている若者たちは、震災ボランティア活動、脱原発デモを通じて、「何かおかしい」と気がついたのです。

 

特に国会前や渋谷で、安保法制に反対するデモを続けている「SEALDs」(自由と民主主義のための学生緊急講堂)の若者たちは、既存の政党や政治団体とは一線を画し、自分たちの言葉とスタイルを作り出しました。

 

いつの間にか後期高齢者がやるものとなっていた政治活動に、若者のファッションで、ふだん使っているSNSを使い、参加してきたのです。彼らは「民主主義」に気づいたのだと思っています。つまり「民主主義」は自分で作るしかなく、自分で探すほかないということを。

 

僕たちは、たとえ忙しくとも、この社会で起こっていることに、一人一人が責任を持って、考えたり話し合ったりしなければいけません。それが「議会制民主主義」の欠陥を補い「民主主義」の社会に近づく一歩だからです。

 

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