被災地で僧侶として遺族と向き合う「『拝もうよ』と声をかけ…」

投稿日: 2015年08月28日 06:00 JST

東日本大震災から5回目の、お盆が過ぎた。宮城県石巻市の門脇地区は、16メートル以上もの大津波が襲来したとされ、大規模な火災も発生したことで被害がさらに拡大した。人々が高台に逃げる中、海側にバスを走らせたことで4人の園児が犠牲になった日和幼稚園のバスが発見されたのも、この地区である。

 

同地に1615年に建立されて以来、400年の歴史を持つ浄土宗「西光寺」。その副住職・樋口伸生さん(52)は、震災直後から、毎日のように発見される遺体と向き合い、遺族の声に耳を傾けてきた。毎月11日、つまり震災で亡くなった人たちの月命日には、西光寺では「蓮の会」という遺族の集まりを開いている。

 

「そこに、夫を失った70代の女性が来るのですが、彼女は今もお墓に毎日、新しいお弁当をこしらえて持ってきています。そして、私に『主人に会いたい。でも、夢に出てきてくれないんです』と言っては泣くんです。私は『そうだよな、会いたいよな。だから、拝もうよ』と声を掛けます。旦那さんの耳には、直接は届かないかもしれない。でも、仏さまが聞いて、ちゃんと耳打ちしてくださるから、仏さまに言いなよ、と」

 

集まりには、生きる希望を失い、犠牲者の後を追いたいと思う遺族も多い。そんな人たちに樋口さんは「寿命をまっとうしたうえでの死でなければ、次の世で、いい顔で家族と出会えないよ」と説く。

 

「遺族にとって、悲しみは減らないんです。むしろ増幅していくもの。人生とは、苦しみと悲しみの連続かもしれません。しかし、その日々を一生懸命に生き抜いたあとでしか、会いたい人と、あの世で会えないんです」

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