東芝 不正会計事件で赤字転落も「依然として高給与」

投稿日: 2015年11月19日 06:00 JST

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カメラの前で深々と頭を下げる経営陣……。今年は日本を代表する大企業の不祥事が続発した。際立ったのは、創業140年の名門・東芝の2千億円にのぼる不正会計事件だった。7日、東芝は幹部社員26人を9日付で懲戒処分にすると明らかにした。また、12日に子会社の原発大手ウェスチングハウスが1千600億円の損失を出していたことも発覚。東芝の凋落は止まりそうにない。

 

「社長からの直接の指示だから従うしかなかった。言いたいこともあるが、このあたりは東芝社員が多く住んでいる“東芝村”です。取材は勘弁してください」

 

処分を受けた幹部社員の一人は、自宅前での本誌の取材にそう答えて扉を固く閉ざした。処分は出社停止や減給などとされているが、元の仕事に復帰するのはまず不可能だという。

 

「すでに大分工場の半導体部門の一部がソニーに売却され、今後も、巨額損失の穴埋めのために事業売却は避けられない。そのぶん幹部ポストも減ります。しかも、関連会社も整理統合されるため、処分された幹部社員の出向や転籍も難しい。多くは処分が明けたら依願退職するでしょう」(経済ジャーナリスト・松崎隆司氏)

 

別の東芝社員が声を潜めて語る。

 

「幹部社員が『業績評価制度』によって、報酬の約半分が部門の業績に応じて0倍(支給なし)から2倍で評価されています。つまり、経営陣の要求を満たさなければ報酬が半減する可能性もあった。不正会計の手口の多くは、期末在庫を増やすことで帳簿上の製造コストを抑える会計操作でしたから、財務・経理部門の出身者が就く事業部長らが“実行犯”になるしかなかった。報酬を盾に取られては、断われるはずがない」

 

事件の影響は、粉砕には関係のない一般社員にも及んだ。社員からは本音がこぼれる。

 

「リーマン・ショック以降、東芝のよさが薄れている。会社は実力主義の導入や事業改革を進め、社員の立場も安定していない」

 

40代社員は、かつて東芝マンにはプライドがあったと訴えながらも、肩を落とす。

 

「上司からのプレッシャーは想像を絶するものがあった。売り上げや利益にこだわりすぎる。そのせいで無茶な仕事をする者が必ず現われる。精神的に参ってしまう者も多い」

 

本誌は東芝社員の給与明細を入手した。人事ジャーナリストの溝上憲文氏が解説する。

 

「30歳の営業職で年収570万円、48歳の技術職で年収807万円は妥当な金額です。製造業の給料は商社などに比べて低いですが、東芝は比較的高い」

 

だが、今回の事件は社員の給料にも確実に影響を与える。東芝はリーマン・ショック以来、6年ぶりに赤字に転落したのだ。

 

「影響は、最初に冬のボーナスに出てくるでしょう。人件費を総額で1〜2割減らし、成果によって、社員に明確な格差をつけるのです。給料自体は急に減らされないでしょうが、パナソニック、日立方式と呼ばれる成果主義の人事評価制度を導入すると考えられます。これは、課長に昇進しても成果を出さないと係長に降格することもある制度で、降格すれば当然、給料も下がります」(同前)

 

トップの不祥事のツケを社員が払わされる。その理不尽は東芝だけに限ったことではない。

 

(週刊FLASH12月1日号)

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