「世界の山ちゃん」女社長が明かす亡夫=元会長の突然死

投稿日: 2017年12月02日 11:00 JST

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夕方5時。開店を待ちわびていた客がどっと詰めかけ、9月末にオープンしたばかりの「世界の山ちゃん」岐阜長住店の店内は一気に騒がしくなった。その喧騒に負けず劣らず賑々しく、壁一面に描かれた“鳥男”のユーモラスな表情を見つめながら、山本久美さん(50)が、ぽつりとこうつぶやいた。

 

「いまごろ、なに考えてるのかなぁ……」

 

名古屋発祥の人気居酒屋チェーン「世界の山ちゃん」。体が鳥で頭が人の鳥男は、同チェーンのイメージキャラクター。モデルは創業者の山本重雄さん(享年59)、その人だ。久美さんは、重雄さんの妻。その目に、うっすらと涙が浮かんで見えた。

 

「会長(重雄さん)の、長年の夢だったんですよね。ずーっと言ってたの。『いつかは岐阜に、いつかは故郷に錦を飾りたいんだ』って」(久美さん・以下同)

 

国内12都道府県、さらには台湾、香港、タイ、マレーシアと、まさに世界を股にかけて店舗網を広げてきた「世界の山ちゃん」。創業は'81年。岐阜県武儀郡洞戸村(現・関市)出身の重雄さんが、名古屋市中区新栄にオープンした4坪13席の居酒屋「串かつ・やきとり 山ちゃん」がスタートだった。

 

以来、ピリ辛味の手羽先の唐揚げ「幻の手羽先」を名物に店舗を増やし、いまや国内外に75店舗を有する一大チェーンだが、岐阜県内にはいまだ出店できていなかった。その道半ばの59歳の若さで突如、重雄さんは帰らぬ人となってしまう。

 

昨年8月21日朝、別れは突然やってきた。前夜、重雄さんは知り合いの宴会に顔を出し、9時すぎに、機嫌よく帰ってきた。たまたま、その時間まで起きていた長男と、「いっしょに寝るか」と、床についた。翌朝5時ごろ、重雄さんは、目覚めて、ひとり1階のリビングに降りたようだった。

「でも……そこで、主人は倒れちゃったみたいなんです」

 

久美さんは、そのとき2階の寝室でまだ眠っていた。6時半に起きて、階下のリビングに下りてくると、重雄さんが横たわっている。久美さんは明るく声をかけた。

 

「お父さん、自分で二度寝はダメって言ってたくせに、ダメじゃーん」

 

久美さんは、重雄さんが冗談で、寝たふりをしていると思っていたのだ。しかし、返事がない。近づいて、もう一度、声をかけ、「あれ?」と思った。長年見慣れてきた夫の寝顔と、どこか違って見えた。

 

「え、え? お父さん、お父さん!」

 

母の絶叫に、子どもたちが起きてきた。救急車を呼び、心臓マッサージも続けたが、夫はピクリとも反応しない。

 

「病院に着いて、機械につながれても、死んでしまったとは思えなくて……」

 

午前7時54分。医師がおごそかに、「機械を外します。残念ですが……」と言った。死因は解離性大動脈瘤と診断された。

 

「そんなふうに言われても、私にはまだ信じられなくて」

 

前夜に飲みすぎたわけでもない。長居が嫌いで、二次会には行かない。飲んでも生ビールを中ジョッキで2杯まで。たばこは嫌い。定期的に健康診断を受け、持病もなかった。

 

「健康には本当に気をつかっていたのにね……。ごめんなさい。最近は泣かずに話せるようになってたんですけど、……私、泣き虫で……」

 

それから1年余り――。夫を失った悲しみも癒えぬまま、専業主婦だった久美さんは「世界の山ちゃん」を展開する株式会社エスワイフードの代表取締役社長に就任。約150人の社員と1500人弱のアルバイトスタッフを抱える企業のトップに立ち、社業とともに、夫の見果てぬ夢を引き継いできた。

 

「新体制になってからの国内1店舗目は、会長の生まれ故郷・岐阜にしたいと、残された社員、皆でそう決めていたんです」

 

涙をぬぐった久美さんは、気を取り直すように看板メニューの幻の手羽先をパクリと頬張り、おどけてみせた。そしてもう一度、鳥男を見つめる。

 

「会長、なんて言ってるのかな。きっと『まだまだ、まだまだ』って言ってるんじゃないですかね」

 

山盛りの手羽先を前に、ピースサインを決める壁画の鳥男が、一瞬、久美さんにほほ笑みかけたように見えた。

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