心療内科医が警鐘鳴らす「福島で自殺が急増している!」

投稿日: 2014年05月29日 07:00 JST

東日本大震災で被災した地域のなか、震災関連の自殺者が毎年増えつづけているのが福島県だ。内閣府のまとめによると、昨年の県内の自殺者は23人。前年と比べて、その数は10人も増加。また、避難生活での体調悪化などによる、震災関連死として認定された死者数は、昨年末、1600人を越えた。これは地震や津波による直接死を上回っている。

 

「やはり福島県では原発事故が大きく影を落としている。抜本的対策を講じないと、福島県では今後も自殺者は増え続ける」

 

と語るのは、南相馬市にあるメンタルクリニックなごみの蟻塚亮二院長(67)。沖縄県の病院で心療内科部長を長く務め、昨年4月に現職についた。去年6月に初めて診察した女性のカルテを見ながら振り返る。

 

「『なんもしたくない』『朝は悲しくならない』『日中、余分な考えが頭に侵入してくる』『時間があると死にたくなる』……そんなふうに話しました。典型的なうつ病は、朝がとにかくつらい。それに、彼女のように余分な考えが頭に侵入してくることもありえない。これは、おそらくフラッシュバックです。過去のつらい記憶が突如よみがえる症状。そこで私は、彼女は非定型うつ病、トラウマ反応型のうつ病と診断しました。いわゆるPTSD(心的外傷後ストレス障害)だと思われます」

 

この女性をはじめ、現在、多くの患者を見ている蟻塚さんは「『曖昧な喪失』という言葉が思い浮かぶ」という。アメリカの心理学者、ポーリン・ボス博士が提唱した理論だ。

 

「津波で家族を亡くした、地震で家がつぶれたなどはっきりと自覚できる喪失感と違い、自分の家はあるのに住むことができないとか、町はそのままなのに、かつてのにぎわいは消えてしまったとか。そういった中途半端な、解決することも決着をつけることもできない喪失感。そんなものを、原発事故の避難者たちは抱えていると思います」

 

そして、収束の見えない福島原発こそが、「曖昧さの象徴」と蟻塚さんは言葉に力を込める。「曖昧な喪失を抱え続けると、人は神経が参ってしまう」とも。

 

些細なことで落胆し、死にたいと思い、ストレスにも弱くなるという。蟻塚さんが憂慮するのが、福島の人たちの、トラウマを抑え込むふたのもろさだ。

 

「ふたというのは日々の生活です。収束のめどすら立たない原発事故で住民が家に戻るどころか、役場すら戻れない町も多い。もろいどころかふたなんてないような状況。些細な刺激でトラウマが暴れだしかねない」

 

PTSDの発症を防ぐためにも、「彼らを仮設から出してあげて」と蟻塚さんは訴える。

 

「仮設住宅は、とりあえずのすみかでしかない。そこでは、とりあえずの人間関係しか築けない。そんな、万事がとりあえずの暮らしでは、大人も子供もどんどん刹那的になり、将来の展望なんてますます描けない」

 

彼らの心の傷をふさぐ――そのためにも、原発事故の収束を急がなくてはならない。

【関連記事】

カート・コバーンが自殺時に残していた直筆メモ、20年の時を経て公開

体の不調を感じたら気にしたい「自律神経」ってどんなもの?
5年生存率0パーセントの医師を救った「がんに勝つ食事法」

この記事が気に入ったら
いいね!/ フォロ− しよう

WEB女性自身の最新の情報をお届けします。

あなたにオススメ

【注目アイテム】
「メスを使わない美容整形」コルギのパワーを自宅で!!
ジェニファー・ロペス、カイリー・ミノーグが「約20歳年下彼氏」を手に入れたワケ!
45歳、奇跡の美乳・原志保さんのボディを作るヒミツのグッズ公開!!
着るだけで、エステの効果がインナーに!!
可愛い47歳! 元CA佐藤亮子さんの大人気トラベルブランド

コラム・連載

もっと見る

女性自身チャンネル

もっと見る

スヒョン入隊前の心境を吐露!U-KISSみんなで乗り越える新曲2017.10.17

U-KISSが14枚目のシングル『FLY』をリリース! 4月にケビンが卒業して以降、5人体制で挑むはじめてのシングルは苦しいことを乗り越えて前に進もうというメッセージが込められている。楽曲、そしてリ...


ランキング