「被ばく牧場」描きフクシマの惨状伝える 藤沢市の画家がロシアで個展へ

投稿日: 2017年08月03日 13:00 JST

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(写真・神奈川新聞社)

 

東京電力福島第1原発事故で被ばくした牧場をテーマに創作を続けている藤沢市在住の画家、山内若菜さん(40)が8~15日、ロシア極東部のハバロフスクにある極東美術館で個展を開く。山内さんは「チェルノブイリを経験したロシアの人たちだからこそ、福島の惨状を身近に感じられるのではないか」と準備を進めている。

 

2013年、山内さんは原発から14キロの場所にある「希望の牧場」(福島県浪江町)に足を運んだ。牧場主の吉沢正巳さんは、国の殺処分方針に反対し、被ばくした牛約300頭の世話を続けていた。

 

「ショックだった。絶対にこれを絵にしなくてはならないと思った」と山内さん。以来、ボランティア活動に参加しながら何度も訪問。馬の変死が続く同県飯舘村の牧場にも通った。

 

「牛の体には白い斑点ができて死んでいった。馬も脚がガクガク震えて、食べられなくなって…」

 

クラフト紙に和紙を貼り、縦2.6メートル、横15メートルに及ぶ壁画のような巨大作品「牧場」を、約1年をかけて描き上げた。じっとたたずむ牛馬の群れや精神的に追い詰められた人々など、目にしてきたさまざまな場面が墨の中に浮かび上がる。

 

当初は目に見えない放射能の怖さやもんもんとした感情で画面が黒くなった。だが描いているうちに、暗い画面を駆け抜けていく天馬ペガサスが生まれた。「無駄な命なんてないと声を上げる牧場の人々の思いが、不死の象徴でもあるペガサスになった」

 

現在取り組んでいる絵には、牧場の明るい緑も描き入れている。馬の頭から飛べない鳥が現れて、月を食べようとする姿も見える。

 

「絵は、見る人にさまざまなメッセージを伝えられる。自分なりの希望を見せてもいいのではと思うようになった」

 

そんな作品をロシアに持ち込む。07年からシベリア抑留を忘れないための文化交流に参加し、日ロ双方のギャラリーで親交を深めてきた縁で、極東美術館での個展が決まったという。

 

「ロシアの人々が福島の牧場に来ているような感覚になってくれればうれしい」と期待を寄せている。

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