被害総額は580億円分!仮想通貨流出から考える「生存バイアス」って知っていますか?

投稿日: 2018年02月13日 13:00 JST

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イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

 

仮想通貨の取引所「コインチェック」は先月26日、顧客の仮想通貨「ネム」が不正流出したことを発表しました。不正流出した仮想通貨は、流出時のレートにすると日本円で580億円相当。前代未聞の流出事件となりました。

 

この流出事件はワイドショーなどでも取り上げられたので、耳にした人も多いと思います。しかしながら仮想通貨の仕組みが分かりにくく、今回の事件も「よく分からない」という方も多いのではないでしょうか。

 

「私は買っていないから関係ない」と見過ごすこともできると思いますが、事件や問題の本質を抑えておくことで、今後に起こる類似のトラブルを回避できるかもしれません。

 

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

これはドイツの首相ビスマルクの言葉ですが、今回の事件も歴史として、きちんと学ぶ必要があるでしょう。

 

◇仮想通貨ってなんだ?

 

今回の事件を適切に理解するためには、まず仮想通貨を知る必要があります。

 

仮想通貨はスマホやパソコンで管理する、実態のない「お金」のことです。

実態のないお金と考えると、電子マネーの「Edy」や「WAON」をイメージするといいかもしれません。

 

実際のお金も「円」や「ドル」があるように、仮想通貨にも銘柄があります。

一番有名なのは「ビットコイン」です。一般的には「ビットコイン=仮想通貨」とイメージする方が多いかもしれません。ビットコイン以外にも「イーサリアム」「ネム」「リップル」などの仮想通貨があり、スマホやパソコンで売買することができます。

 

仮想通貨を売買するためには「取引所」を使う必要があります。今回、不正流出が発生した「コインチェック」も取引所の一つで、著名なタレントさんを使ったテレビCMで有名でした。

 

実態のない通貨になぜ、価値が生まれるのか。

それは、みんなが「欲しい」と思うからです。

 

例えば、プレミア切手と呼ばれる高額な切手があります。

これは、数円で売られていた切手が、発行された背景やデザインなどによってその何倍もの価格で取引される。

 

切手に限らずスニーカーや洋服、カードゲーム用のカードなどでも、こうした市場原理が働いていますので、何も仮想通貨だけが特殊なものではないのです。

 

◇仮想通貨の暴騰、そして流出事件

 

2017年は仮想通貨元年だったかもしれません。

例えばビットコインは2017年1月時点で「1ビットコイン=約8万円」ほどでした。

この「1ビットコイン」は最小の単位ではなく、「8,000円で0.1ビットコインを買う」といったことも可能です。

 

ビットコインはその後、どんどん価格が上がり、4月には「1ビットコイン=約13万円」、8月末には「1ビットコイン=約50万円」、11月末には「1ビットコイン=約100万円」、そして12月中旬には「1ビットコイン=約200万円」まで到達しました。

 

そのほかの銘柄もビットコインにつられて軒並み暴騰。仮想通貨フィーバーが始まりました。

 

仮想通貨は出発した時点では「世界中で手軽に決済できる通貨があると便利だよね」といった期待がありました。しかしながら、値段が高騰したことで、「決済用の通貨」ではなく、「これでお金儲けができるかもしれない」という投機としての側面が強くなってきました。

 

こうしてみんなが「儲けられる!」と盛り上がっている中で、コインチェックは顧客の仮想通貨「ネム」がハッキングによって流出、つまり盗まれたと発表しました。

 

コインチェック側は「盗まれたお金は補償します」と発表したものの、具体的な時期や方法などは未定で、今後どうなるかは分かりません。

 

また、こうしたトラブルが報じられたことで「仮想通貨は危険だ」と離れた人たちが出てきて、今度は仮想通貨が暴落する自体になっています。

12月には「1ビットコイン=約200万」だったものが、2月上旬には「1ビットコイン=約65万円」まで下がったのです。

 

今回、コインチェック側では顧客の仮想通貨が盗まれないよう、適切なセキュリティ処理が行われていないことが発覚しました。金融庁なども動き出し、他の取引所のチェックも強化していくとのことです。

 

◇期待ばかりで大丈夫?「生存バイアス」に騙されない

 

コインチェックが流出する前まで、インターネット上では「仮想通貨は儲かる」と言った情報で溢れていました。

実際バブルが到来し、ほとんどの人は儲けていたと思いますが、今回のようなトラブルからの大暴落を予想できていた人はどのくらいいたでしょうか。

 

投資・投機に限らず、「これで成功しました」といった成功体験は多く語られますが、「失敗しました」という人はあまりいませんし、失敗話は流されません。

 

そのため、実際の失敗するリスクが見えにくく「自分も成功するんだ」といった錯覚を起こしやすくなります。

 

こうして勝者の声だけが強く残り、実際に状況と印象が変わることを「生存バイアス」と呼びます。

 

言わずもがなですが、お金は大事です。

大事なお金を、安易な書き込みや「生存バイアス」に乱され、失うことになったら目もあてられません。

 

人々が熱狂し、絶賛されている意見が並んでいる時にこそ、冷静に判断する必要があります。

 


琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」2月11日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 

親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。



【プロフィル】

モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/

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