球団創設9年めにして、初優勝を決めた東北楽天イーグルス。’05年に広報担当として楽天に参画した岩越亮さん(34)の前職は、スポーツ選手のマネジメントだった。当初は報道陣から「取材ルールはどうなっているんだ!」、と詰め寄られても意味がわからなかったという。

 

「広報部門に関しては、担当記者の皆さんに育ててもらいました。新しい球団を一緒に作り上げていくんだという気持ちを持って取材してくれましたね」

 

多くの球団が年間20億〜30億円の赤字を出すなか、“素人集団”が集まった楽天は、初年度に黒字を計上した。

 

「職員は30人ほどでしたが、百貨店や遊園地出身だったりと、球界を知る者はほとんどいませんでした。でも、そういう人材がいないことで、逆に球界の既成概念とか常識を疑ってかかった。ファンのために“特別な日常”を演出すべく、ほかのビジネスで経験してきたことをプロ野球に応用した。だからこそ1億5千万円もの黒字になったのだと思います」

 

集まった30人は1万人の公募の中から選ばれた、いわばその職種のプロ。能力が高く、しかも気概溢れる熱血漢ばかり。それだけに衝突は日常茶飯事だった。

 

「当時の職員の95%が25〜35歳と、僕も含め若くて生意気な人間が多かった(笑)。たとえば、スポンサー担当が『お得意様がこういうことをしたい』と言っていると。で、現場のイベント担当は『メディアにこういうことを発信してほしい』という。するとスポンサー担当が『なぜ、俺らがそんなことをしなきゃいけないんだ』と怒る。スポンサーは大事な収入源じゃないですか。怒鳴り合い、掴み合い、殴り合いはしょっちゅうでした。そういった“裏方”たちの切磋琢磨の礎が、9年めの初優勝に繋がったのだと思います」

 

(週刊FLASH10月15日号)