万全のコンディションで迎えたはずが、後半、“足が止まり声も出ず”、W杯初戦は後味の悪い完敗となった日本。大久保嘉人(32)と本田圭佑(28)。チーム内に「亀裂の核」ができ上がるのに、時間はかからなかった。

 

直前のテストマッチで4連勝と、これまでにない好成績で本番を迎えていた日本。「指宿合宿からザックジャパンの面々は明るかった。その中心となっているのがザンビア戦のロスタイム、決勝ゴールを挙げた大久保嘉人であることは間違いない」(専門紙記者)

 

だが、大久保は勢いを与えただけでなく、チーム内の勢力図、雰囲気を変えていったという。

 

「これまでの代表は、よくも悪くもビッグマウスの本田圭佑が中心。いわゆる“王様”に君臨していた。彼より年長のフィールドプレイヤーは、性格的に“俺様”タイプではなく、むしろ本田をサポートする側に回ることで、チーム内の力関係は保たれていた。ところが、強い言葉を発し、態度でも引っ張る大久保が代表復帰したことでチームに2つの核ができ、結果、微妙なズレが生じてしまった」(前出・専門紙記者)

 

香川真司(25)はこれまで本田とつるむことが多かったが、大久保が代表復帰すると一変。いまでは完全に大久保と共にする時間が増えている。大久保と香川は、ともに若手育成に定評のあるC大阪出身。同クラブの若手は元祖“ミスターセレッソ”森島寛晃(42)の背中を見て育っていった。それは尊敬の念に近かったという。森島が引退すると、その立場には大久保が就き、まだ現役ということもあって尊敬よりも憧れの存在になった。柿谷曜一朗(24)、山口蛍(23)はC大阪の先輩でもある大久保の代表復帰をことのほか喜んでいた。

 

「柿谷は本田を頼ることが多かったが、大久保が復帰するや、まるで金魚のフンのように彼について回っている。また、これまで香川と柿谷はどこか関係がギクシャクしていたが、大久保が仲を取り持ち。いまでは普通に会話できるまでになっている。この“C大阪派閥”には、若手の酒井宏樹、齋藤学らも加わり、急激に勢力は拡大しつつある。これまでは“権力者”本田によってザックジャパンはうまく回ってきたが、ここにきてもう1人の“権力者”が生まれたことで、チームがまっぷたつに割れてしまった」(現地記者)

 

元「サッカーダイジェスト」編集長で、現地ブラジルで取材を続ける六川享氏は、直前の大久保加入に、コミュニケーション不足を心配していた。

 

「長く代表を外れていた大久保が、最後に入って何をもたらせるか。試合時には雨も降り、湿度は90%を超えた。蒸し暑さなら日本有利と見られたが、足が先に止まってしまったのは日本。そこでリードされてから大久保を投入し、本田はしばらくやっていない1トップへ。“共演”が期待されたが、2人は何もできなかった」

 

痛すぎる初戦の敗北。2人の“キング”を抱えた日本は大ピンチ、奇跡を願うしかない。

 

(週刊FLASH7月1日号)