八百長問題で絶体絶命のアギーレ監督(56)。14日には、バレンシア裁判所が告発を受理したことが明らかになった。また、一部スポーツ紙は、大仁邦彌会長(70)が、「起訴されたら解任」と発言したと報じた。まさに解任前夜という趣きだが、じつはここにきてアギーレの“名将”ぶりが見直されている。

 

八百長疑惑に揺れるなかでおこなわれた昨年末の代表合宿。報道陣の質問に対し、主力選手たちは、打ち合わせしたかのように、「ピッチで結果を出すだけ」と口を揃えた。練習には笑顔が多く、報道陣の見方は「騒動を払拭するために明るく振る舞っている」というのが大半だった。

 

ところが、その笑顔は豪州入り後も消えていない。ついには「練習が楽しい」と多くの選手が声を揃えるように。要するに、選手たちの笑顔は作られたものではなく、心から練習を楽しんでのものだったのだ。

 

アギーレによって日本代表に導入されたのが「インテグラル(統合的)トレーニング」。これまでの技術や戦術を反復する一般的な練習とは真逆のもので、スペインフットサル界を発信源とする実戦形式のトレーニング法だ。フィジカル、技術、戦術、メンタルの4つの柱に加えて、認知、注意力、感情も同時に刺激していくという特徴がある。

 

5人の代表監督のもとでプレー経験のある遠藤保仁(34)はアギーレのことを次のように絶賛する。

 

「メリハリのあるトレーニングで、選手がきびきびしている。同じ練習を長くやらずにどんどん変わるし、テンポがいい。いままでいちばん素晴らしい監督ではないか」

 

アギーレが手腕を発揮したのは、練習だけではない。16日のイラク戦では采配が冴えた。高温多湿のなか、日本は前半から飛ばす。得点こそ1点だったが、多くの決定機を作り、イラクを圧倒する。だが飛ばしすぎの影響か、後半はイラクのペースに。ここでアギーレが動く。

 

後半19分に遠藤と乾貴士(26)を下げ、今野泰幸(31)、清武弘嗣(25)を投入。パレスチナ戦では遠藤を下げたあとにペースダウンしたが、今回もあえて交代に踏み切った。結果、新たに入った2人が中盤を活性化し、流れを奪い返す。ザックジャパン時代にはなかった2枚代えを含め、大胆采配は見事と言うしかない。

 

「ザッケローニ前代表監督は、自分の戦術を貫き通す、いわばクラブの監督という印象。アギーレは相手によって戦い方を変えるなど、柔軟性がある。代表選手は頻繁に集まれないから、こういう戦い方をしているのだろう。代表監督という仕事をよくわかっている」(サッカーライター)

 

アギーレは豪州入り後に定番となってしまった険しい表情から一転、イラク戦後は柔和な表情を取り戻した。その笑顔が続くことを願うのは、選手だけだろうか。

 

(週刊FLASH 2月3日号)

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