なでしこが、決勝トーナメント進出を果たしたことでマスコミはいっせいに「連覇へ」と囃し立てる。ファンも、ますます快挙への期待を高める。だが、なでしこに4年前の強さはない。開催国・ドイツを破った当時の勢いや若さは影をひそめた。「このままでは、上にはいけない……」。選手たちの間からは「動揺」と「不服」の声が漏れ始めている−−。

 

W杯初制覇後、佐々木則夫監督(57)は積極的に若手を起用し、世代交代を図ったが、ことごとく失敗。仕方なくW杯当時のメンバーの熟成を目指したが、各国のレベルアップと比べてチーム力は後退した印象すらある。だが指揮官は、どんなに内容の乏しい試合にも「それは課題として……」と、楽観的なコメントに終始した。

 

むしろ危機感を抱いているのは選手たちだ。スイス戦終了後、ボランチの阪口夢穂(27)は、「勝ったことだけがよかった」と言葉少なに語った。

 

FW大儀見優季(27)に至っては、もっと深刻だった。「アンチ(安藤梢)がいいポジションを取ってくれたし、自分のいい形で受けられた。ただ、(安藤の)怪我で(菅澤優衣香・24に)代わってから、そのへんがうまく作れなくなった。自分の役割が変わり、(守備など)やることが多くなったことで前へボールを運べなくなった。いろいろな点を改善しないと、上へはいけない」と危機感を募らせる。事実、カメルーン戦でも連携不足から、見せ場は作れなかった。

 

「監督と選手で危機感に温度差がありすぎ。自分らが優勝候補だと思っている選手は一人もいない。じつは解説者もそう。テレビでは厳しいことが言いづらいから、『なでしこは強い』みたいなことを言うが本心は違う。海外の見方も同様だし、なによりもブックメーカーの優勝オッズが、それを物語っている。米国が3.75倍で1位に対し、日本は10倍で5位。前回女王は、いまや第三グループだ」(専門誌記者)

 

また、前回大会の救世主・川澄奈穂美(29)の不調も心配の種。W杯直前の強化マッチでも、2試合とも前半で代えられている。表情も冴えない。

 

「彼女は『なぜか、わからない』と不満を漏らしたが、不調なのは明らか。チーム一のタフネスなのに試合になると動けない。最大の武器は運動量だが、本人が“代えられる理由がわからない”では浮上の兆しはない」(前出・記者)

 

現在のなでしこは、左足首骨折のために初戦で離脱した「アンチの思いを胸に戦う」が合言葉になっている。前回も東日本大震災後で、一致団結した結果の優勝といわれている。そうなったときのなでしこは強い。だが、そんなアクシデントに頼らなければならないほど、追い込まれていることもまた事実である。

 

(週刊FLASH6月30日号)