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主役が輝くには、脇役の存在が欠かせない。イギリスの地で、新たな歴史を築いたラグビー日本代表。そんな猛者軍団を“戦場”に送り出すために、妻たちは陰に日なたにと支えつづけてきた。そう、日の丸を背負って闘ったのは、男たちだけではなかったのだ−−。

 

日本の攻撃の要として、自由自在なパスを繰り出す田中史朗(30)。そんな夫を支えるのは、自身も選手として活躍した智美さん(26)。彼女は三洋電機バドミントン部時代に、潮田玲子、小椋久美子らと競い合った仲。トップレベルを経験したこともあり、夫への気遣いも元選手らしさが滲み出ている。

 

「ラグビーに関しては、いっさい口を出さないです。ルールも知らないし、勉強しようとも思わない。私にできることは、疲れているときに疲労が取れるような料理を用意したり、怪我を防ぐために、考えてストレッチをしてあげることぐらい。主人はオフでもトレーニングで、365日ラグビー漬けの生活。私も現役時は、オフも心配で休めなかったから気持ちはわかる。周囲からは、旅行にでも行けばいいのに、と言われるんですが、これがうちのスタイルなんで。引退するまで続くのかな(笑)」(智美さん)

 

前回大会の日本は、3敗1分と惨敗。だからこそ、今大会は覚悟を持って臨んだ。智美さんは旅立つ直前、夫が発した言葉が印象的だったという。

 

「『命をかけて戦ってくるから、もし死んだらいい人を見つけて新しい人生を歩んで』と。じつは新婚当初、スーパーラグビーに行くときにも言われました。初めてのときは、『そんなことは言わないで』と泣いてしまいました。主人は大きな大会や強豪相手のとき、そう私に言うんです。本当にラグビーに命をかけているんです」(智美さん)

 

代表随一の突破力を誇るアマナキ・レレィ・マフィ(25)。彼を大学時代から献身的に支えているのが、あずささん(26)。マフィの日本代表入りを決断させたのも、彼女のひと言だった。

 

「ナキは、トンガ代表になることが夢でした。トンガ協会に自分のプレーを収めたDVDを送っていたほど。でも、声はかからなかった。そんなときです、エディーさんから誘いを受けたのは。予想外のことで『どうしよう』と言っていたら、今度はトンガからも代表入りを要請されたんです。でも私は、『結婚して日本に住みたいと思うんやったら、日本代表のほうがいいんじゃない?』とアドバイスしました。悩んでいたし、両親にも相談していましたが、最終的には日本代表を選んだんです」(あずささん)

 

代表入り後、大怪我を負ったマフィ。そのときも寄り添い、励ましつづけた。

 

「入院したときは、トイレにも一人で行けない状態で、できる限り付き添っていました。大きいし、重いし、おじいちゃんになって要介護になったらどうしようって(笑)。マッサージも頼まれるんですが、親指が折れるんじゃないかというくらい筋肉が硬いんです。今大会で印象に残ってること?南ア戦後に『あかんかったときも、よかったときも一緒にいてくれてありがとう。君がいなかったら僕は何もできない。君がいてくれてよかった』というメールをもらったときは、感動しました」(あずささん)

 

屈強な大男たち相手に、けっしてひるむことなく体を張りつづけたサムライ戦士。その背中を押していたのは、賢妻たちだった。

 

(週刊FLASH10月27日号)