ファッション通販サイト『LOCOND.jp』などを運営する株式会社ロコンドの正社員となると発表された片瀬那奈(41)。
片瀬といえば、昨年7月に当時の交際相手男性が麻薬取締法違反容疑で逮捕。同年9月には、所属事務所を退所していた。その後は地上波出演が激減していただけに、ロコンド社は彼女にとってまさに“救いの神”といえるだろう。
同社のYouTube動画で、田中裕輔社長は入社が企画などではなく正式なものであると公表。今後も週5で働くことになるという。業務内容は企画開発やマーケティング、モデルといった役割もこなす予定だ。
いっぽうで芸能活動も続けるという片瀬。昨今、芸能人のキャリアチェンジは加速している。とはいえ、芸能界活動を継続しながら正社員勤務というのはまだまだ前例が少ない。不規則な芸能活動と、勤務時間や場所に融通がききにくい正社員という働き方の相性の問題もあるだろう。
片瀬の今回の選択は話題性だけでなく、今後の芸能人の多様な働き方の1つになるのだろうか。
報道を受け、国家資格キャリアコンサルタントの資格も持つコラムニストのおおしまりえ氏は「ここ1~2年で、芸能人のキャリア選択における多様化が進んでいると思います。ただ、今回の報道はまだまだ話題先行といった感じです。正社員として働き続けるには、ポテンシャルがスキルにどう転換されるかが鍵となります」と話す。以下、詳しく話を聞いた。
■本当にPR力はあるのか? そのポテンシャルが未知数の理由
正社員として採用された片瀬さんについて、「PR力の高さ」を伝える記事もありました。今後はマーケティングや広報職といった仕事をされるようで、おそらく適正も見ながら具体的な業務を割り当てるのでしょう。
ただPR力があるとされた片瀬さんのポテンシャルですが、その能力は未知数です。そもそもPR力のある芸能人であればSNSなどですでにファンを獲得し、自分ひとりでビジネスを回せているはずです。
司会業といった場を回すスキルに長けているのは間違いありません。ただ広報といったPR系の職種は華やかな反面、裏側での社交性や交渉力、人脈作りの力などが必要になってきます。そういった特殊な職種に兼業でチャレンジするというのは、なかなかハードルが高そうです。
■今後のキャリアは“行ったり来たり”を繰り返すのが一般的に
芸能活動を継続しながら正社員として働く片瀬さん。ということは、芸能活動に勢いが戻ったら主軸を置き換えることも念頭にあるでしょう。
そうした選択肢は今どきっぽいなと感じます。
私たちの働き方も、正社員をしながら副業や複業をするかたちが増えつつあります。またフリーランスは一度独立したらずっとフリーというイメージでしたが、現在は数年単位で正社員とフリーランスの立場を行ったり来たりする人が増えています。
一昔前に当たり前だった働き方が変わり、今ではもう個々人による自由なカスタマイズが可能な時代に来ています。その流れは、今後も加速していくと考えられます。
芸能人というのはもともと“芸能一本”、といった選択肢が一般的でした。現在は実入りの厳しさもあるのでしょうが、「芸能+プロデュース」や「芸能+投資家」といったような別の顔を持つ人が増えています。その中に「芸能+正社員」という選択肢が加わっただけと思えば、これも1つの時代の流れかもしれません。
片瀬さんは動画の中で「この骨をうずめて頑張りたい」と決意を語っていました。その気合がどこまで成果につながるのか。そして兼業女優はどこまで通用するのか。そういう点では非常に気になる選択です。
(文:おおしまりえ)