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(写真・神奈川新聞社)

 

研究機関の立地が急ピッチで進む川崎市臨海部の殿町国際戦略拠点キングスカイフロント(川崎区殿町3丁目)で就業人口の急増に伴い、“ランチ難民”への対応が課題となっている。研究棟内の社員食堂や近隣の飲食店がないからだ。6月から始まった仕出し業者による弁当販売は好評で、市は「調理設備搭載のキッチンカーの導入やカフェの整備も検討したい」(臨海部国際戦略本部)としている。

 

自動車工場跡地を開発した約40ヘクタールの殿町地区では研究棟の建設が相次ぎ、2017年度末には街がほぼ完成する。最終的に約50機関(入居事業者含む)が進出し、就業人口は約6千人に上る見込みだ。

 

11年に実験動物中央研究所が第1号として進出して以来、立地機関が急速に増えた。現在約3千人が働く状況で、市に寄せられている要望がランチや食事の場所である。今年1月に地区西端近くのコンビニエンスストアの出店が「明るいニュースとして伝わった」(関係者)ほど切実だ。

 

こうした要望に応え、地区東側にあるライフイノベーションセンター1階で6月から仕出し弁当の販売が始まった。市から相談を受けた横浜銀行が同センターを運営する大和ハウス工業と調整し業者を見つけた。

 

昼時になると、業者が洋食や中華、タイ料理など十数種類の弁当70~80食を並べ、500円前後で販売。午前11時から2時間の販売を予定するが、正午すぎに売り切れる日も少なくない。同僚と来ていた男性研究者は「これまで川崎駅でコンビニ弁当を買ってから出勤していた。ここは安くておいしく、助かります」と喜んでいた。

 

ただ、今後も就業人口が右肩上がりで増える。地区西側で来年春にホテルが完成すればカフェやレストランも入り改善が見込まれるものの、地区東側からはやや遠い。約500人規模で本年度中に段階的に移ってくる国立医薬品食品衛生研究所内も建物内に食堂はない。市も「食事は地区の課題として受け止めている」(臨海部国際戦略本部)と検討を急ぐ構えだ。

 

東京・丸の内や大手町のオフィス街で人気のキッチンカー導入の可能性も探る。市の担当者は「20年度に(多摩川対岸の羽田空港と橋で結ぶ)連絡道路が完成した後に活用できる工事ヤードの区画にもカフェや飲食店を誘導できないか検討していきたい」としている。

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