ダウン症の天才書家・金澤翔子の母・泰子さんが日記を上梓

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「産後、娘がダウン症であると知らされたときは、何の希望も持てず死ぬことばかり考えて――。最近、偶然そのころの日記が見つかり、読み返すと時代背景からか、ずいぶん過激な表現もしています」

image5月に鎌倉の建長寺で開かれた作品展は1万8千人が来場。金澤翔子さん(25)はいまや日本で最も注目されるダウン症の書家として活躍中。母で師匠の泰子さん(66)は、翔子さん誕生から5年間の葛藤を綴った日記をもとに『天使がこの世に降り立てば』(かまくら春秋社刊)を上梓した。
母娘の奇蹟の物語は、テレビのドキュメンタリー番組や漫画でも紹介され感動を呼んでいる。本書は、絶望と悲しみの中で希望を見出そうと生きつ戻りつする前半に対し、後半は現在の母子の日々が書き下ろされ、折々にあらわれる翔子さんの巻き起こす奇蹟からも目が離せない。これが25年をかけて母娘が遂につかんだ至福の日々で、子育てに悩む女性へのメッセージも随所に散りばめられている。

「いまの苦しさに負けてわが子を苛め、手にかけるという悲しい事件もあります。いま私に言えることは、長い目で子どもを育ててあげてくださいということ。いま、うまく行かなくとも、苦しみもいつかは喜びになる。全ては心が決めるということです」

 

金澤泰子(蘭凰)

金澤翔子(小蘭)5歳で母に師事し書道をはじめる。10歳のとき「般若心経」を書き、20歳で銀座書廊にて初の個展を開催。その作品は、鎌倉建長寺、京都
建仁寺にも奉納される。

大学在学中に歌人馬場あき子に師事。能楽「喜多流」の喜多節世、書道「学書院」の柳田泰雲に師事。90年から東京・大田区に久が原書道
教室を主宰。著書に『天使の正体』などがある。

天使がこの世に降り立てば ダウン症の書家・金澤翔子を育てた母の日記」

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かまくら春秋社より1,260円(税込)で発売中

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