大坂なおみ(23)の記者会見拒否騒動がテニス界に大きな波紋を広げている。
きっかけは、大坂が5月27日にツイッターで突如、全仏オープン選手権(30日開幕・パリ)中の記者会見には応じない意向を表明したことだった。
大坂の発言に対しては、フランステニス協会のジル・モレットン会長らも、「とんでもない間違い」と厳しく非難している。
「大会前会見では大物選手たちも、みんなこの発言について聞かれていましたね。選手たちの答えの多くは『会見には出たくないときもあるけど、メディアに答えるのも選手の仕事の一つ』という大坂選手とは逆の意見が多かったように思います」
そう話すのは、大坂の試合と会見を見続けてきたテニスライターの山口奈緒美さん。
大坂の“ボイコット騒動”は今回が初めてではない。‘20年に「ブラック・ライブズ・マター」と呼ばれる人種差別抗議運動が高まりを見せると、大坂はいち早く運動に賛同し、行動に移した。
山口さんが続ける。
「全米オープンの前哨戦である『ウエスタン・アンド・サザン・オープン』準決勝の前日、今回のようにSNSで突然、明日の試合はしないと表明しました。すると大会側も人種差別に抗議する形ですべての試合開催を1日延期したのですが、翌日の試合のスケジュールが発表されると、そこに棄権したはずの大坂選手の名前があって驚きました。
この時、大坂選手が言った言葉が『明日試合をしないと言ったけれども、棄権するとは言ってない』というトーナメント制のテニスではかなり無理のある発言でした。
この話には裏があって、実は大坂選手に賛同して大会側が試合を1日取りやめることを事前に彼女は知っていたのです。でも、あえて大会側より先にボイコットを表明することによって、よりインパクトのあるかたちで世間の関心を人種差別に集めようとしたのです」
超一流のアスリートである大坂だが、実は情報戦にも長けており、選手としての知名度を活用して、社会貢献活動へ世間の関心を向けさせるクレバーさも持ち合わせているというのだ。
「今回も、周囲はいま裏でいろいろと働きかけていると思いますよ。大坂選手が何か条件付きでそれに応えるのか、それとも全仏期間中はやはり意志を通すのか。いずれにしても、期間を限定しているわけですし、BLM運動のときのように、今度はアスリートの心の健康について世の中の人に考えてもらうきっかけを作りたいのかもしれません」(スポーツ紙記者)
実は山口さんによれば、「大きな騒動を起こしたときの彼女は強い」という。
一転して出場することになった昨年の試合は勝利し、決勝戦こそ怪我で棄権したが、その後全米オープンで優勝を飾っている。全仏オープンでは過去に良い成績を残せていない大坂だが、今回のボイコット騒動も大躍進の前兆なのかもしれない。