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突然涼しくなってきましたね。片岡愛之助でございます。

過ごしやすくなってきました。

僕のホームグラウンド、大阪松竹座で『もとの黙阿弥』の初日が開いて、はや1週間。やっぱり地元はいいですね。関西弁も耳に心地いいです。

ちょっとビックリするのは大阪松竹座がある道頓堀が外国の旅行者で埋め尽くされていること。関西空港までローコストキャリアの航空便で来ると、片道5千円ぐらいでソウルや台北、香港からも来られる日もあるらしいんです。おかげで、大阪のホテルはどこも大盛況です。歌舞伎のイヤホンガイドに中国語ができる日も近いんじゃないでしょうか。

 

今、京都南座では、仲よしの中村獅童ちゃんが新作歌舞伎『あらしのよるに』を上演中です。

獅童さんとは、彼が日大生時代からの知り合いですからずいぶん長いです。よくアドリブで本番の最中にいじられました。

僕は笑い上戸で、いったんツボに入ってしまうと、芝居が中断するぐらい笑っちゃう。そのときの相手は、断然彼が多いんです。

彼はわざと笑わそうと仕掛けてきますからね。

『研辰の討たれ(とぎたつのうたれ)』という真面目な仇討ものの歌舞伎のとき、僕と獅童ちゃんは平井九市郎、才次郎という兄弟役で出演しさせていただきました。

兄貴役の僕に獅童さんは犬みたいに「ハァハァハァハァ」息づかい荒く、必要以上に近づいてきて「兄上ぇん!」。最初は何とか笑いをこらえていたのですが、獅童さんは一向に「誰やお前!」という芝居をやめない。

通行人役の人も、獅童さんの変貌ぶりに気をとられて、つまずいて転んでしまったり、“副作用”まで引き起こしたものだから、もう無理と、ついに僕も大爆笑! 芝居が止まってしまいました。

客席もドッカンドッカン受けていて、もう芝居がどこまで進んだのかすらわからない。

どうにか芝居に戻そうと、僕が「どこまでいったかのう?」と獅童さんに聞くと、

「兄上、ちゃんとしましょう、これ、仇討ちなんですから」

お前が悪いんだろ(笑)! ほんまにもう、こっちは泣けてきます。

獅童ちゃんの悪ノリはこんな感じですね。獅童さんが主役を勤める『あらしのよるに』はアニメにもなった作品ですからご存じの方も多いと存じます。それを歌舞伎にしたらどうなるのか、関西に来られる方、ぜひそちらも見に行ってみてください。

 

さて、今週のテレビ番組の見どころは、まずBS日テレ『片岡愛之助の解明! 歴史捜査』(木曜日21時~)です。9月10日の放送は、織田信長に焦点を当てます。

信長は、歴史捜査の記念すべき第1回目の放送で取り上げさせていただいた人物です。天下統一を目前に“本能寺の変”に倒れた信長ですが、敵前逃亡のような大逃走をしていた事実をご存じだったでしょうか?

同盟を結んでいた浅井長政の裏切りに遭い、ほうほうの体で逃げ出すように帰還した、“金ケ崎の戦い”のことです。

“本能寺の変”でも腹心の明智光秀に裏切られた信長。人を見る目がなかったのか、脇が甘かったのか……。

番組では、「信長危機一髪! 金ヶ崎決死の撤退と謎の暗殺未遂事件」として、新たな視点で信長の隠された謎に焦点を当てます。お楽しみください。

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『片岡愛之助の解明! 歴史捜査』
「江戸城禁断の女の園!大奥重大事件の真相を追え!」より(C)BS日テレ

 

刑事7人』(水曜日21時~、テレビ朝日系)の9月9日放送は、なんと最終回です。ほんとうに、あっという間でした。撮影は東映撮影所でやっていたのですが、お隣では僕も出演させていただいたことのある仮面ライダーを撮っていたり。懐かしかったです。

最終回は、これまた仲のよい、東山紀之さん演じる天樹刑事の秘められた過去が明らかになります。彼のために、僕を含めた警視庁捜査一課12係の面々が団結して捜査に向かいます――。

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いよいよ最終回です。お見逃しなく!
テレビ朝日『刑事7人』(C)加治屋誠

 

秋ももうすぐ。みなさん、お風邪などを引かれませぬよう。

 

片岡愛之助

 

プロフィール

1972年3月4日生まれ。’81年12月、十三世片岡仁左衛門の部屋子となり、南座『勧進帳』の太刀持で片岡千代丸を名乗り初舞台。’92年1月、片岡秀太郎の養子となり、大阪・中座『勧進帳』の駿河次郎ほかで六代目片岡愛之助を襲名。’07年12月上方舞・楳茂都流の四代目家元を継承し、三代目楳茂都扇性(せんしょう)を襲名した。

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