image

息子が修学旅行に出かけている間のこの1週間、ほんとうに退屈でなりませんでした。毎朝6時に起き息子の朝弁を拵えておりましたから、気が抜けて仕方なかったです。自分のために料理なんか致しません。手持ち無沙汰というのでしょうか、本当にやることがないのです。息子がいないせいで部屋も散らかりませんし、脱ぎ散らかした服をかき集める必要もない。きれいに片付いている家の中を眺めては、心に穴が開いたような寂しさを覚える毎日でした。馴染みのカフェに顔を出しビールを飲んだり、『女性自身』の原稿を書いたり、本を読んだりしましたが、何をやっても調子が出ません。こりゃ、息子が巣立ったあとが大変だ、と思い知らされてしまいました。

 

しかし、改めて気づかされたこともあります。大変な子育てや過酷な家事が実は私の人生を豊かに彩ってくれていたということを……。掃除が大変だとか、料理が大変だとか、普段は愚痴しか出ませんが、それを失った後の喪失感に比べれば、大変のほうがよっぽどマシだということです。このことに今さらながら気づかせていただきました。人生には目的が必要です。子育てや家事というのは私たちの人生にハリを与えてくれる大切な目標でもあります。毎日やることがあるすばらしさを、人はその大変の最中にはなかなか気がつかないものです。主夫は人生における終わりのない立派な仕事です。大変さに追いかけられているほうが人間という生き物は孤独にならなくてすむのです。日々に感謝を致します。

 

さて、今夜の献立は決まりましたか? まだなら、ピザの日にしませんか? 材料費がほとんどかからないのに、超絶美味しい、そんな自家製ピザのご紹介です。

 

材料:ピザ生地(小さめピザ2枚分) 小麦粉(強力粉と薄力粉半々にしてもいい)200g、塩小さじ半、砂糖少々、ぬるま湯130ml、ドライイースト小さじ半、オリーブオイル小さじ1。トマトソース オリーブオイル大さじ1、にんにく1片、プチトマト 250g、塩小さじ1。

 

1、小麦粉と塩をボウルに入れる。砂糖、イースト、オリーブオイル、ぬるま湯をよく混ぜ、小麦粉のボウルに入れ、こね始める。初めは手にくっつくが、こね続けると馴染んできます。生地がまとまったら台に打ち粉をし、手首に体重をかけながら生地を伸ばす。再び丸めて方向を変え同じように伸ばす。この工程を10分くらい根気よく繰り返します(グルテンを引き出しています!)。生地に弾力がつき、耳たぶくらいの硬さになったら発酵へ。生地を丸くまとめボウルに入れ、周りに分量外のオリーブオイルを薄く塗り、固く絞った濡れ布巾をかける。15分くらい生地を寝かしたら、布巾をラップに替え、1時間くらい発酵させる。生地が2倍くらいの大きさに膨らんだら、少しこねて生地のガスを抜き、2等分して麺棒などで生地を薄く伸ばします。

 

2、生地を発酵させている間にソースを作ります。フライパンを中火にかけ、オリーブオイルと潰したにんにくを入れ、じっくりにんにくの香りを出す。にんにくの香りが出たらプチトマトを加え、プチトマトが軟らかくなってきたらヘラなどで潰し、ソース状に。塩で味付け、プチトマトの水気が飛び、トロッとなったら完成。

 

3、発酵を終えたピザ生地を伸ばし、トマトソースを中央にのせ、パルメザンチーズまたはモッツァレラチーズ(分量外)をたっぷりかける。250度で予熱し、最低でも20分間は空焼きしたオーブンに入れる。焼き時間の目安は6分。生地がぷっくり膨らみ、きれいな焼き色がついたら出来上がりです。オーブンを最初に熱々の状態にしておくことがピザ作り成功の秘訣です! 家族が笑顔になる美味しい手作りピザをどうぞ。

 

ボナペティ!

 

エッセイで紹介されたレシピは、
辻仁成 子連れロッカー「希望回復大作戦」ムスコ飯<レシピ>で公開中!

関連カテゴリー: