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人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ…!

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痩せ型至上主義社会日本。
「ダイエット」「痩身」を推進する広告はどこでも見られ、「豆腐ダイエット」や「りんごダイエット」など様々なダイエット方法が巷を賑わせる。
軽い気持ちの「ヤセたい☆」から、死に物狂いの「痩せなければならない」まで、女の子という生き物は常に体重という悩みに直面している…といっても過言ではないかもしれない。
十分細い子まで何らかの強迫観念に駆られ「痩せなきゃ」と口走る…そんな厳しい社会だが、正反対の存在「ぽっちゃり」の勢いが増しつつあるのをご存知だろうか?
「ぽっちゃり」とは、ふくよかで、柔らかそうな体型のこと。
最近では秋葉原にぽっちゃり専用メイドカフェができたり、ぽっちゃりを集めたアイドルグループができたり、どうやらぽっちゃりの需要が上がっている模様。
ぽっちゃりの現状と魅力を確かめるべく、うさこは大阪・千日前にあるぽっちゃりBar「ぷにゅにゅ」へと向かった!

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わたしを出迎えてくれたのはマミーとななこちゃん、ありさちゃんの3人。

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ふっくらしたほっぺ!ぷにぷにした体!看板に間違いなしのぽっちゃりである。
早速話を聞こうとすると、お店に電子音が響いた。
ご飯が炊けた音だ…!
この写真の背景を見て頂ければ分かると思うが、店内に貼ってあるメニューは「ぷにゅ飯」「にゅにゅ飯」「フライドポテト」とフードばかり。
そのためのご飯のようだが、音を聞いてみんなの目が輝く。これぞぽっちゃりだ。
「ここいると食べたらアカンって言う人がいないから、どんどん太るんですよね」とスタッフは語る。
その結果、何と現在所属する女の子たちは平均80キロ以上だそう。
は、80キロ…。軽く女子2人分の力を秘めている…!
「半端が一番あかんと思うから、体重落ちたらクビにする。厳しいとも言われるけど、逆に考えてキャバクラで太ったらクビになるやろ?それと一緒や」とマミー。

女の子たちはぽっちゃりに対してどんな思いを抱いているのか。
スタッフの子に聞いてみた。

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「お腹空いたとかお腹いっぱいとか食欲じゃなくて、食べたいと思ったら食べたい!」と語るのはお店の中でも食いしん坊なななこちゃん。

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(※写真は本人たちのアツい希望によりアプリ「Camera360」を使用しております)

「お寿司やったら100皿食べますね。お米が大好きなんですっ!! 農家の人来たら“嫁に行く!”って思ってしまう(笑)」
他にもチャーハンだったら2合作るや、友達の家泊まりに行くと速攻で米が底をつくなど大食い列伝が止まらない。
あまりにも楽しそうに語るので、“ご飯を食べるのが大好きなんだな…”とほっこりした気持ちになる。
こんなに幸せそうにしてくれるならご飯を食べさせたい!と思う男性も少なくないだろう。
「ぽっちゃりでもかわいくしたい」がモットーのようでメイク直しの時間も長いんだそう。
「ぽっちゃり生活は本当に楽しいです!食べ物を食べれるっていうのが…」
人が忘れがちなご飯を食べることの幸福さを思い出させてくれる。
ダイエットしたがる全女子に捧げたい。“食べる”=“幸せ”=“かわいい”ということを。
わたしが男ならダイエットしてて量を気にしながらご飯を食べる女子よりも、絶対彼女を選ぶ。

ありさちゃんは「気付いたときから太かったんです。昔は嫌でした」と語る。

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この店に来て、「ぽっちゃり好き」の存在を知り、自信が持てるようになったそうだ。
「気ままに生きれるようになりました。今の悩みは急に太ってることによる腰痛しかありません(笑)」とのこと。
それに対し、マミーから「急に太ったらアカンねん!徐々に太らな!」と野次が飛ぶ。
太り方への指導が入る店なんて、日本広しと言えどここくらいだろう。
ただ楽しくキャッキャしている世にも明るいぽっちゃりを見ているとこちらまで幸福な気持ちになる。

このバーは今年で8年になるという「ぽっちゃり界の老舗」だ。
ぽっちゃりがここまで普及する前からある「ぷにゅにゅ」。
なぜ先駆けてぽっちゃりbarを作ったのか?店長であるマミーに話を聞いてみた。

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もともと昼間の仕事だけしていたマミー。
リーマンショックを迎えたときに、「うちの会社もいつ潰れるかわからん!」という気持ちから新しく商売を始めようと思い、バーを設立したと言う。
「私も昔は細かってんけど、その頃人生で初めて太ってて。痩せてた頃に比べて何十キロも太ってた。そんな時、ぽっちゃり好きの男子×ぽっちゃりの飲み会が開かれることになったんやけど。ぽっちゃりの友人は、居酒屋しか飲みに行くところを知らないの。わたしやったら絶対飲み屋に行くけど、何で行かへんの?って聞いたら、“何来てんねんデブって思われたくない…”って。そこでぽっちゃり好きの男子がいるっていうのも分かったし、ぽっちゃりの子の悩みにも触れた。その頃はぽっちゃりっていうと“キャバクラ”と“スナック”みたいな男向けのものしかなかったから、女の子も気軽に来れて、ひとりでも話ができるバーを作ってん。不況だからこそ、人が探してきてくれることが大事。はじめはめっちゃ狭い世界やったけど、思った通り口コミでその世界の子たちが来てくれた」
お客さんは、ぽっちゃりな女の子たちとぽっちゃり好きの男性の半々くらいだという。
「太ってるって言うと、太ってる子が好きっていう界隈でもすぐデブとか豚とか名前つけたがるやろ。でもうちはちゃうねん、ぽっちゃりを商売にしてるねん」
確かにどんなに需要があったとしてもそこでの呼ばれ方がデブや豚だったとしたら、女の子は決して自分を肯定できないだろう。
「ぽっちゃり」という言葉にある、丸くてかわいいイメージ。
「ぽっちゃり」を通じて、コンプレックスだったお肉を武器に変えることができる店なのである。
「痩せてるときは痩せてる時なりの楽しさがあったし、太ったら太った時なりの楽しさがある。太ったらいけないと世の中では思われてるけど、今の時代服だっていろいろあるし、太ってもいいねん!! 太ったからって彼氏ができないってこともないしな。太っててかわいくない子は、痩せたってかわいくないねん!痩せたらかわいくなるは幻想や!!
大事なのは痩せることではないと語るマミー。
「体重なんて関係ないねん。人生、明るく楽しく。そう思ってたら男は寄ってくる」
ここのぽっちゃりたちは本当に明るくて楽しい。
彼女たちのカラッとした粋のいい笑い声を聞いていたら、どんどん魅了されていく。
ついつい見た目や数値に捕らわれがちな日本において、本質的な幸せを教えてくれるのは食べるのが大好きなぽっちゃりたちかもしれない。
もし自分の見た目に自信がない人がいたら、「家で飲んでるみたいや~」と初めて来たお客さんにも言われるアットホームなこのバーで
ご飯を食べながら悩み事も笑い飛ばしてみては?

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ぽっちゃりBar「ぷにゅにゅ」
大阪市中央区千日前1-8-5-2F
もちろんフードメニューも充実。詳しくはHPで!
http://pochapunyu.jp/

米原千賀子

ライター兼イラストレーター。へっぽこな見た目とは裏腹にシビれる鋭いツッコミで世の中を分析する。人呼んでうさこ。常に今日の夜ごはんのことを考えている食いしん坊健康オタクな一面も。webマガジンNeoLなどで連載中。

公式サイト http://yonusa.wix.com/4bunno1
ツイッター http://twitter.com/yonusa1