デジタルが普及したとはいえ、まだまだ肝心なところで登場してくれる「紙」。

プレゼントの包装、お祝い、おめでたいときや気持ちを飾る機会に使われることが多い「紙」の良さを紙専門店で確かめてきた。

 

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間は、広い世界のほんの一部で生きている。

全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!

 

今回わたしが訪れたのは大阪・船場にある紙のギャラリー「紙音(しおん)」。

 

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様々なショップが軒を連ねる船場センタービルの中にそのお店はある。

まず目に入るのは、棚いっぱいののし袋だ。

 

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かわいいイラストのものから、10万円以上を入れるための豪勢なものまで、バリエーションは50 種近く、用途や関係性に合わせてのし袋が選べる。

わたし自身のし袋は「結婚式で渡さなきゃいけないもの」という重たいイメージしかなかったが、ここからは「おめでたいことへの慶び」が伝わってきた。

中身に気合をいれるのももちろん大事だが、喜ばしい気持ちの表れとしてのし袋が存在するのだ。

祝いたくておめでたくて仕方ない時、人はきっと一番上の段の大きな鶴がドーン!と鎮座する金ぴかの「寿」が光るのし袋を買うのだろう。

もしもらったら、わたしは捨てるのがもったいなくてずっと袋を取っておいて、きっと見る度に「あの人がこれをくれたんだ」と思い出す。

そう思ったら、のし袋が幸せなものに思えた。

 

店内に入ると、和紙が壁一面に並ぶ。

 

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一口に和紙と言えど、その種類は様々だ。

 

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日本の伝統的な友禅模様で装飾された「友禅紙」は華やかで、見るものを引き付ける。

花鳥や山水など極めて雅な図柄が描かれる「友禅模様」。これだけで30を超える柄があるほど、種類も豊富だ。

 

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和紙を作る時の漉きの技術で独特の透かし模様を作った「落水紙」は、色こそ落ち着いているけれど、静かに訴えかける美しさがある。和製レースといっても過言ではない。

 

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触り心地もサラサラだったりシワシワだったりでこぼこだったり、和紙によってそれぞれ。

紙は平面に見えて実は立体的なもので、膨らみがあったり、透かして向こうを見せることで「空間」を作りあげる力があることを知る。

この店は友禅紙ならお試しの四ツ切りサイズから購入できるので、ちょっとだけ使ってみたいときにもうれしい。

 

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手に取って、カタログのようにも見ることもできる。友禅模様に気軽に触れられる贅沢さでもあった。

 

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紙質だけで30種類を超える和紙が揃う。色や柄でも分けるなら、100種類近くだ。

「水に強い」や「光を透かしやすい」「ペンで絵を描きやすい」などそれぞれに特性があるものの、プレゼントの包装に使うも雑貨づくりに使うも絵を描くも自由。

それでもどう使うか悩ましい時、店内に並ぶ紙雑貨が道しるべになる……!

 

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和紙を貼って作られたはりこーシカ招き猫(3780円)。

張子は竹や粘土で作った枠に和紙を貼っていく技法で、和紙らしいあたたかみのある雑貨が作れる。

 

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和紙おりがみを使用した作品は、やさしい色味がかわいい。アクセントにすると、パッと華やかになる。

 

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和紙をちぎって貼って絵を描く「ちぎり絵」。和紙を重ねていくからこそ立体感が生まれる。

和紙を使った作品を飾る掛軸も和紙。主役になることもできれば、脇役に徹することもできる和紙の奥深さを感じる。

 

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店内の雑貨を見ていると端切れを詰め合わせたお得パックや、同じ色を合わせたセットが目立った。

今風の柄の和紙おりがみもある。

それは「かわいい」を取り込む今らしい和紙の姿だった。伝統的な和紙も、今の時代にあわせて変わっているのだ。

 

安い紙だっていくらでもあるこの時代。

でも、あえて良い紙にこだわってみたい時がある。

そんな時は「紙専門店」で自分の目と手で色や触り心地を確かめて、素敵な1枚を選びたい。

ちょっとだけでも良い紙に変えたら、自分の気持ちや他人の気持ちを動かすことができるかもしれない。

 

 

紙のギャラリー「紙音(しおん)」

http://www.shion-senba.com/

大阪市中央区船場中央4-1 船場センタービル10号館1階

営業時間:<月~金>10:00~18:00/<土>10:00~17:00

定休日:日・祝

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