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第2弾は世界遺産勧告で注目の長崎!

新緑がまぶしい4月、ANA661便で長崎に向かった。窓越しに見る高度12000mの上空は、真っ白な雲の絨毯が広がり、その彼方に真っ青な空が浮かび上がる。鮮やかなコントラストに心奪われる。

「空飛ぶB級山歩き!」第2弾は「長崎の麗らか春山めぐり」
歴史ロマンと異国情緒あふれる長崎には、「軍艦島」(端島炭鉱)、旧グラバー住宅など、先ごろ世界遺産への登録が勧告された「明治日本の産業革命遺産」の構成施設が8カ所もある。長崎が誇るのは、遺産だけではない。じつは美女も多い! 3月に行われたミス・ユニバース日本代表コンテストで、長崎出身の女性が2年連続で日本代表に選ばれている。

夏の旅行シーズンに向けても注目のスポット・長崎。その山々を歩いてみると、新しい魅力がたくさん見つかりました――。

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「平成新山」の威容に圧倒されながら「妙見岳」・「国見岳」・「普賢岳」をめぐる

最初に歩いたのは、長崎の山でもっとも有名な山といえる雲仙普賢岳。’90年11月の大噴火で火砕流が麓の集落を襲い、住民や取材中の報道陣など、多くの犠牲者を出した。あれから25年。大噴火で誕生した溶岩ドームは普賢岳より127mも隆起。標高1483㍍の平成新山(長崎県の最高峰)となって、普賢岳の背後にどっしりと聳えている。山頂付近から噴煙を上げ続けている威容に圧倒されてしまう。

登り口は妙見岳登山道。仁田峠にある雲仙ロープウェイ駅の近くからのスタートだ。取材当日は薄曇りで風が強く肌寒い。観光客もハイカーもまばら。空を見上げるとロープウェイが進み、客の歓声が聞こえてくる。5月になれば一帯を鮮やかなピンクに染め上げるミヤマキリシマは、蕾は膨らんでいるが開花まではもう少しのようだ。30分ほどで妙見岳展望台に到着。その先に妙見神社があり、ベンチで親子連れがお弁当を食べている。こちらもひと休み。黒糖で糖分を補い、温かい紅茶を飲む。

一服したら出発だ。ここからは、なだらかな尾根道が続く。鳥のさえずりをBGMに快適な散策が続く。およそ30分で国見岳分岐点(国見分かれ)。正面にドーム状の国見岳、右手に普賢岳と平成新山を臨む眺望スポットである。せっかくだから、国見岳のピークに立ってみようと登り始める。いきなり10mほどの鎖場があらわれた。岩の合間を慎重に足場を確保しながら上り詰めて行く。その後もロープや鎖場が続く。慎重な足取りが要求されるが、岩場をこなすときの緊張感が刺激的だ。

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国見岳山頂から正面に普賢岳、眼下に海原の景色を楽しむ

25分ほどの登りでピークに到達。山頂碑に備え付けられた温度計を見ると気温は4度。風が強く体感温度はそれ以下だ。空は霞み気味だが、眺望はいい。目の前に普賢岳、その背後に薄い噴煙を上げる荒涼とした平成新山がどっしりと聳える。有明海、橘湾、天草灘と島原半島を取り囲む海原が広がり、海のかなたに山並みが一望できる。真っ青な空だったら最高の景色だろう。

再び国見岳分岐に戻り、普賢岳をめざす。ここから紅葉茶屋と呼ばれる鞍部まで数百m下りる。「せっかく1300m超まで登ったのに」と気力が萎える行程だ。紅葉茶屋のベンチで中高年の3人連れが休憩していた。地元からハイキングを楽しみに来たという。「今日は風が強いから、このままあざみ谷を下ります」とのこと。山歩きは冷静な自己判断が必要だ。

普賢岳山頂への登りは火山岩が点在、その合間を縫うように歩く。急峻ではあるが、それまでの登りと下りで足が慣れてきたのか、快調に進む。高山植物のような小さな白い花が一面に咲き、春を謳歌している。30分あまりの登りでゴツゴツした岩場の山頂に着いた。正面にそびえ立つ平成新山の威容に圧倒される。普賢岳を従え島原半島を俯瞰する「支配者」のような存在感がある。

山頂を後にして紅葉茶屋に下り、あざみ谷から仁田峠(ロープウェイ駅)までの道をのんびりと下っていく。この道はよく整備されているので歩きやすい。野鳥がさえずる快適なトレッキングコースである。火山というと赤茶けた岩ばかりの山というイメージを描きがちだが、雲仙天草国立公園に指定されている普賢岳一帯は「普賢岳植物群落保護林」として手入れが行き届いているため、豊かな植生が守られている。

森には落葉広葉樹のイタヤカエデ、ニシキウツギ、ブナ、モミなどが混在し、ミヤマキリシマ、ナナカマド、ヤマボウシなどが彩りを添える。野鳥も多種多彩でバードウォッチングにも最適だ。あざみ谷から仁田峠への道の途中には、野鳥たちの水飲み場があり、綺麗な鳴き声を披露してくれる。ウグイス、センダイムシクイ、ヤブサメ、ヤマガラ、シジュウから、キビタキ、オオルリなど。ブナの新緑を眺めながら、鳥たちのハーモニーを聴いていると、それまでの山歩きの疲れが吹き飛んでしまう。

道をまたぐように建っている普賢神社の小さな鳥居を超えると、やがてロープウェイ駅に戻って来る。スタートから4時間半あまりの山めぐり。ダイナミックな景色と豊かな自然に魅了された充実の山歩きだった。

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【温泉】せせらぎの音を聴きながら白濁した露天湯で疲れを癒す♪

雲仙といえば温泉。「温泉」と書いて「うんぜん」と読まれていた歴史もあるというほど。普賢岳のふもとに広がる雲仙温泉郷にはクラシカルのホテルや旅館が立ち並ぶ。まずは雲仙地獄を散策。ここには「大叫喚」「お糸」「清七」など30余りの地獄がある。音を立てながら、真っ白な水蒸気を噴き上げる地獄の数々。あたり一帯を硫黄臭が立ち込める。売店では名物の温泉卵を販売中だ。

近くの温泉宿の立ち寄り湯に向かう。入ったのは「雲仙福田屋」の露天風呂。白濁した湯は源泉掛け流しの濁り湯だ。泉質は酸性硫黄泉で、皮膚病や糖尿病、疲労回復のほか、メタケイ酸を豊富に含むので美肌効果もあるというから女性にはうれしい。ほどよい温度の温泉に浸かり、ゆっくりとくつろぐ。時折、響き渡るししおどしの音が情緒的だ。

 

「雲仙福田屋」 雲仙市小浜町雲仙380
TEL:0957-73-2151
立ち寄り入浴 1,000円

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【グルメ・宿】日本一長い足湯を楽しみ、宿では「温泉蒸し」自炊に挑戦!

この日の宿は、雲仙温泉郷から車で30分ほど下りた海沿いの小浜温泉へ。橘湾に臨む風光明媚な温泉地で、「夕日百選」にも選ばれている。約25カ所ある源泉からは100度にも達する温泉が1日15000リットルも湧き出し、放熱量は日本一。海岸沿いには日本一の長さを誇る足湯「ほっとふっと105」があり、無料で楽しめる。

さっそく足湯を体験。海風に当たりながら、透明の足湯で疲れた足を癒す。いい~気持ち♪ 足湯の上に藤棚があり、薄紫の藤が風に揺れている。足湯の隣には蒸し釜があり、白い蒸気を噴き出している。海の幸や野菜などの食材をカゴに入れて「温泉蒸し」料理を味わうことができるようになっている。ちょっと離れた所には海に面した「海上露天風呂」があり、こちらは入浴料300円。

足湯を後にして宿に向かう。宿泊先は「湯宿 蒸気家」。温泉釜のある自炊ができる宿がウリで、基本はB&B(ベッド&ブレックファスト)スタイルだ。泉質はナトリウム=塩化物泉。湯は透明だ。効能は神経痛、筋肉痛、慢性婦人病など。温泉の蒸気を利用した蒸し風呂もあり、こちらは美肌効果もあるという。

小浜のグルメで有名なのは小浜ちゃんぽん。豚骨と鶏ガラをベースに特産のカタクチイワシでだしを取ったまろやかであっさりしたスープが特徴。魚や野菜などの蒸し釜料理も小浜温泉ならではだ。

今回は、自炊にチャレンジ。近くのスーパーをのぞいたら、橘湾で獲れた体調30cmほどの真鯛が1尾なんと580円で売っていた。カジキの刺身、あおさ、ちゃんぽん、かまぼこ、高菜漬け、そして日本酒を購入。宿に戻り、キッチンで鯛をさばく。半身を刺身にし、残りの半身は温泉蒸しに。別の釜でジャガイモも蒸す。15分ほどで温泉蒸しが完成。その間にちゃんぽんを作っておいた。

部屋に運んでいざ夕食。鯛が新鮮で、刺身の甘みと旨みが口の中に広がる。温泉蒸しはほんのりと塩味が効いていい香り。あおさを加えたあつあつのちゃんぽんは、あっさりスープがいい。かまぼこやキャベツ、新玉ねぎといった具と一緒に味わう。高菜漬けをちょい足しすれば、味に刺激が加わる。温泉宿の夜は、静かな雨音とともに更けていった。 

「蒸気家」 雲仙市小浜町北本町14-7
TEL:0957-74-2101
1泊素泊まり
4,000円(朝食700円)
キッチン利用300円(自炊) 

~ANAの「山ガール」に聞く、私の山歩き~ 長崎編(1)

「山は自分自身を開放し、リセットできる場所。美しい風景に癒されます 」

長崎空港ビルディング株式会社航空部旅客課 ステーションコントロール担当
篠田 千栄さん 

長崎空港の応接室でお会いした篠田さんは、航空機の離発着や運航をサポートするステーションコントロール(STC)担当。7人いるスタッフのなかで紅一点の存在だ。同僚や上司の評判は「性格はとても生真面目タイプで、人当たりがとてもやわらかい。我慢強い性格で、先輩や後輩からの信頼も厚い」という。

長崎市出身で、少女時代から家族と一緒に近郊の山を楽しんできたという篠田さんに、好きな山を聞いてみた。

「個人的に好きなのは(多良岳山系の最高峰)経ヶ岳(標高1076m)です。山道あり、沢あり、岩山あり、滝ありでハードなコースです。でも、それだけに苦労して山頂を極めたときの達成感、充実感は言葉にできないほど大きいですね。ふだんは職場の山好きの人達と多良岳や近郊の山に4、5人で行くことが多いですね。時には20人ほど集まって山歩きを楽しむこともあります」

シーズンごとに季節の表情を楽しみに山に行くという篠田さん。山が好きな理由は?

「今回の取材のお話があって、なぜ山が好きなのか、改めて考えてみました。私にとって山は、自分自身を解放できる場所であり、自分をリセットできる場所ですね。木々の緑、可憐な花、川のせせらぎ、野鳥のさえずり。大自然の豊かな表情に接していると、心身ともにリフレッシュできます。それが山に魅せられる理由でしょうか」 

 

*長崎県民、市民に愛されている山(篠田さん推薦)

・稲佐山(333m 長崎市内)
遠足で必ず訪れる山。夜景とデートの人気スポット。

・岩屋山(475m 長崎市内)
山頂から、海、街、山を同じ空間で楽しめる。

雲仙普賢岳(1359m 雲仙市)
ミヤマキリシマの群生が見事。山麓の温泉はサイコー。

多良岳(996m 長崎・佐賀県境)
信仰の山で多くの人に登られている。

 

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長崎編、次回は長崎市内を一望する「烽火山」を歩きます♪