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「おんせん県」の山で楽しむ、プチスリリング体験!

大分の山歩き、最終回は神仏習合の地・国東半島にある「田原山」へ。ギザギザの岩尾根が続く山容から、地元では鋸山の愛称で親しまれている山だ。別府方面から国道10号線を杵築市山香町方面に向かうと、「世界農業遺産」と書かれた看板が目に付いた。そう、国東半島の宇佐地域(4市1町1村)は、「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」として2013年に世界農業遺産に選定された土地なのである。

山香温泉・風の郷を過ぎて数キロ、右手に案内板のある駐車場が見えてきた。この向かい側が登山口だ。駐車場には大分ナンバーの車が3台。地元の登山者だろう。長湯温泉からやってきたので、すでに11時近い。道を渡って登り口に向かう。スギ林を抜けると林道整備中らしき道と並行して山道が続く。足元に赤い実が目に付く。野イチゴだ。一粒つまんで口に入れてみる。甘酸っぱい。

最初の分岐をそのまま直進し、次の囲観音との分岐も直進する。やがて道は林道とおぼしき道と合流するが、その直前、何かが動いた。にょろっ。蛇だ。やや肌色がかっているが「白蛇」である。すかさず撮影しようとカメラを構えるが、ひと足早く藪の中に逃げ込まれてしまった。白蛇は弁財天の使いとして富をもたらすという。山から帰ったら、何かいいことがあるのだろうか。

そんなことをしているうちに、アプローチは終了。南尾根の取り付きにたどり着いた。ここから岩山歩きが始まる。木の根が張り出した狭い道をロープにつかみながら登る。大観峰の頂からは、これから進むルートが目に入ってくる。岩のやせ尾根づたいにミニ縦走する感じだ。鎖が垂れ下がった15mほどの岩場を乗り越え八方岳に進む。岩を登ったり降りたり。九十九折りの斜面をダラダラ登るよりも、はるかに刺激的である。

三角点のある八方岳に着く。名前の通り四方八方が見渡せるビューポイントだ。はるか前方の尾根に数人のパーティーがいる。話し声が風に乗って伝わってくる。何やら楽しそうだ。こちらはザックを置いてひと休み。登り始めて1時間が経っていた。頬に当たる風が心地いい。冷たい水でのどを潤す。西南の方向に由布岳の双耳峰が見える。いい天気だ。この日は月曜日。デスクに向かって仕事をしている人たちには申し訳ないが、見晴らしのいい岩場でひとりのんびりと景色を眺める。贅沢な時間である。

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岩陰に貴重なイワギリソウが咲いていた

まだまだ岩場との格闘は続く。だが、好天なので、大して苦にもならない。隠し岩、股のぞき岩、小松岩、語らい岩とワケあり気味の名前の岩が続く。その途中、岩陰に気になる花を見つけた。薄紫の下向きに咲いている花だ。こんなところにひっそりと咲いているのか。あとで、聞いたら絶滅危惧ⅠB類に指定されているイワギリソウだった。そういえば火山エリアの由布岳や久住山と違い、蝶の姿も多かった。生物分布が違ってくるのも当然か。

岩尾根歩きを終え、囲観音を経て、登りの途中にあった分岐に下る。登山口への道を下りていくと、先行していた登山者が野イチゴ摘みの最中だ。駐車場に戻ってきたのは13時前。ベンチに座っていたふたりのご婦人ハイカーにあいさつ。

「仲間がイチゴ摘みに夢中でなかなか帰ってこないのよ」と隣の婦人と大笑い。別府から4人でやってきたそうだ。

「紫の花見た?」

「岩陰に咲いていましたね。これでしょう」とデジカメの画像を見てもらう。

「そうそう、イワギリソウよ。このあたりによく咲くんだけど、貴重な花ですってよ」

しばらく花談義、山談義をしてお先に失礼する。

帰りに山香温泉・風の郷の向かいにある野菜直売所に立ち寄る。あった。お目当ては原木乾シイタケ。大振りのもの、カットしたものなど何種類もある。かさばるのが面倒なのでカットしたシイタケを2袋購入。1袋60グラム入りでなんと150円。(東京のスーパーで大分産の乾シイタケの値段を見たら、カット品で15グラム300円だった)。東京に帰ったら、世界農業遺産の産地で育った逸品の味をじっくり楽しもう。

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【話題スポット】命名騒動から2週間、シャーロットはすっかり人気者

今回の最後のミッションが待っていた。高崎山自然動物園のシャーロットを一目見ていかなくてはならない。14時過ぎに到着し、「さる寄り場」に急ぐ。途中の売店のおじさんに「シャーロット騒動でお客さんは増えてますか?」と尋ねると、にっこりして「ああ、増えとるよ。おばさんに大人気だね」。

肝心なことを聞かなくては。

「これからシャーロットに会えますかね?」

すると、おじさんの表情がこころなしか曇った。

「きょうは午前中に姿を見たから、午後は来んかもしれんなあ」

うっかりしていた。いつ訪れても、会える気がしていたが、そうは問屋が卸さないのだ。なにしろ、B群、C群あわせて1516頭ものサルがいるのだ。「さる寄り場」に着いたとき、一帯にいるのはシャーロットが属するC群だった。しかし、シャーロットはいない。平日にも関わらず、にぎやかだ。親子連れ、カップル、外国人などお客さんは100人近くいるだろうか。

20分ほどサルたちの様子を見物していたところ、鐘突き場の近くの飼育係の方が指を1本立ててガイド役の人に合図を送り始めた。

「いま、ボスザルのゾロメがあらわれましたよ」

ガイドさんの声に、客が一斉にその方向を向く。そして、次の一言。

「シャーロットもお母さんに抱かれていますねえ」

一目散に駈け出した。いた。愛くるしい顔をして母ザル・オフセにくっついて離れようとしない。他のお客さんたちもカメラ、スマホ片手に集まってきた。さすが人気者。クリクリした瞳をこちらに向けていたが、やがて向こうをむいてしまった。

「あらやだ。私の顔が怖かったのかしら」と近くのご婦人がつぶやく。思わずまわりの人が噴き出す。和やかな光景だ。シャーロットのピュアな表情を見たら、命名騒動があったことなど忘れてしまう。すくすくと育ってほしい。

問い合わせ 高崎山自然動物園 大分市神埼3098-1
TEL:097-532-5010

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 空港に向かう途中、今回の旅の仕上げに別府の明礬温泉「湯の里」に立ち寄った。別府一の高台にあるコバルトブルーの露天風呂を楽しむ。青空の下、旅の疲れを癒す。浸かっているうちに硫黄泉が肌になじんでくる。山歩きの筋肉痛にはちょうどいい。3泊4日の山巡りを思い返しながら、「また来たいな、おんせん県」の思いを強くした。

帰りに、ここで製造している「薬用 湯の花」を購入。自宅に帰ってからもしばらくは温泉気分を楽しめそうだ。

 

ANA 山ガールの大分自慢3

大分航空ターミナル株式会社 航空部旅客課
城戸 恵子さん(左)
野田 由香理さん(中)
阿部 弥生さん(右)

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潮の引いた砂地を掘り、小さな穴に塩をまくと貝がニョキニョキ!

釣りが大好きだという野田さんが、一風変わった“潮干狩り”をお薦めしてくれた。

「日本夕日百選に選ばれた真玉海岸で楽しめるマテ貝獲りです。小さな鍬で砂をちょっと掘り返し、小さな穴に塩をまきます。すると塩分に反応して貝が飛び出してくるのですよ」

楽しそうだなあ。本来は山歩きツアーだけど、貝獲りもいいなあ。そう思っていると、野田さんが「準備しますから行きましょう」とおっしゃる。ありがたい。まだ仕事がある阿部さんを残し、野田さん、城戸さんと3人で初のマテ貝獲りに挑戦だ。

空港から1時間ほどで真玉海岸(豊後高田市)に着いた。準備を整え海に入る。だいぶ潮が引いている。おふたりはジーンズに長靴姿。小さな鍬にペットボトルを改良した塩まき器まで用意している。さすがだ。野田師匠が砂を掘り、旅人が塩をまく。少々待つ。すると、どうだ。棒状のマテ貝の先端がニョキニョキと飛び出してくるではないか。「すごーい!」と声を上げながら、城戸姫が指でつかむ。「あれ、潜っていくー」。貝も必死である。負けじと姫も頑張る。なんとか引き抜くことに成功。

師匠が掘る。旅人が塩をまく。姫がつかむ。この繰り返しで次々と真玉海岸のマテ貝をゲット。途中で役割を交代しながら2時間で、バケツに8分目ほどの大漁だった。

「師匠、これどうやって食べるんですか」と尋ねる。

師いわく。

「塩分は効いているので、蒸すだけでいいですよ。ビールのおつまみにピッタリです」

いやあ、この貝獲りは面白い。病みつきになりうそうだ。師匠、姫、貴重な体験をありがとうございました。

問い合わせ 豊後高田市観光協会
TEL:0978-22-3100

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【空港自慢】到着ロビーの天井を覆い尽くす207点の魚拓 南こうせつの作品も

大分空港には、到着した時から楽しい旅が始まる仕掛けがいくつもある。

その代表が到着ロビー手荷物引き渡し所のアートワークだ。

「豊後水道の海流を表現した青のストライプになっている床面と、県民のみなさんから募集した207点の原寸大の魚拓が覆い尽くす天井にご注目ください。大分の豊かな海をイメージした空間で、ランドスケープデザイナー団塚栄喜氏がデザインを担当されました。この中には南こうせつさんの黒鯛とスズキの2点の魚拓もあるんですよ」

思わず笑ってしまうのが、手荷物を待っているとき、ターンテーブルに乗って流れてくる「回転すし」。「姫島のエビ」「佐伯のうに」「津久見のマグロと佐伯のエビ」の3種類がある。(ウニはお休み中)。

「『海鮮王国おおいた』をPRするために平成18年に始まりました。お子さんたちは大喜びですね。若い方たちもスマホで撮影しています。ラジオで紹介されたこともあり、今ではすっかり名物になりました」

空港ビル3階のビューレストランもオススメ。

「ご当地グルメを味わいながら、飛行機の離発着を間近で見ることができ、最高のスポットです。天気のいい日には四国の風力発電の風車までご覧いただけますよ」

 

大分の二度泣き

「『大分の二度泣き』という言葉があります。最初の転勤辞令のとき、大分に飛ばされたと泣き、次の転勤のとき、こんないいところを離れたくないと再び泣くというものです。そんな大分にみなさん、ぜひお越しください」