image

突然ですが、みなさんはどの金融機関でおカネをためていますか?
メガバンク?ゆうちょ?地方銀行?信用金庫?労働金庫?
口座開設するときのポイントはなんですか?
利子の高さ?ATMの数?最寄駅に支店があるかないか?

わが家はメガバンクにおカネは預けていません。ゆうちょもしかり。
貯蓄のための口座は、脱原発宣言をしている城南信用金庫と、地元の信用金庫のふたつです。NPOバンクも少し利用しています。

第一灯でもお話しましたが、原発のない社会にしていくには、おカネの預け先から変えていくことが大切です。
このことを知ったのは、3.11の原発事故後に読んだ田中優さんの「地宝論」がきっかけ。

image

ゆうちょ銀行に貯金した場合、郵便貯金・簡易保険・年金これらは財政投融資というところに集められ、原子力発電所、再処理工場、ダム、リゾート開発などに使われます。
つまり、どんなに脱原発を掲げていても、おカネの預け先を間違えてしまうと、原発推進や環境破壊に関わる事業の資金源となってしまうのです。
わたしはこのことを知って郵便局に駆け込み、一年間払っていた簡易保険を急いで解約!
保険料は1円も戻ってきませんでしたが、きもちは清々しかったことをいまでも覚えています♪

映画『日本と原発』と『日本と原発 4年後』を観ると分かりますが、メガバンクは原発に融資しているお財布的存在です。

image

原子力ムラを支え続けているのが電氣料金と税金であることはよく知られていますが、実はメガバンクに預けられているおカネも大きいのです。

ヨーロッパ諸国では、環境や社会に貢献する企業・事業・NPOのみに融資する経営方針を掲げる社会的銀行(ソーシャル・バンク) が多数設立されている

もうひとつメガバンクで知っておきたいことは、兵器産業へ融資していること。日本の大手メガバンク三行(三井住友銀行、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行)は、それぞれ100億円単位で海外のクラスター爆弾製造関連企業に融資していましたことは有名です。これは世界トップの融資額。
この爆弾は、無差別殺傷兵器として悪名高く、被害者は98%が罪のない一般人で、その4割が子どもたちでした。わたしたちが老後のためにせっせとためているおカネは、実は恐ろしい兵器となって、知らないあいだにたくさんの人々の命を奪っていることを、もっと知っていかなくてはいけないと思います。
地球とそこに住まう者たちを苦しめるものとはオフグリッドして生きるサトウ家は、このような理由からメガバンクや日本郵政におカネを渡さないように徹底しています。

おカネの預け先である金融機関は、社会や未来を変えられる大きな可能性を秘めた存在!
環境破壊や人権侵害等の社会問題を引き起こしている企業に融資している金融機関にNOと言っていくことで、彼らはエシカル(環境や社会を配慮した倫理的で道徳的な考え)な投融資の在り方を検討することになります。
そんな最先端な活動をしているのが、国際青年環境NGOのA SEED JAPANらが率いる『フェア・ファイナンス・ガイド』。
昨年12月にスタートしたプロジェクトで、大手銀行の「社会性」を、気候変動、自然環境、兵器産業、発電事業など13項目に渡ってスコアリングして格付けします。

image

オランダなどのヨーロッパ諸国ではこのような取り組みがすでに広まっていて、軍需・兵器産業には融資せず、環境や社会に貢献する企業・事業・NPOのみに融資する経営方針を掲げる社会的銀行(ソーシャル・バンク) が多数設立され、市民による口座の移し替えが活発になってきています。
日本ではまだまだ新しい考え方ですが、このフェア・ファイナンス・ガイドの一周年記念セミナーが先日都内で開かれたので、参加してきました♪

image

これからは破壊産業から平和産業の時代へ

興味深かったのは、1985年にアメリカで設立されたNGO団体『レインフォレスト・アクション・ネットワーク』の事例。
シティグループなどの大手銀行に働きかけて、石炭産業への投融資回避に向かわせてきた団体です。
新しい石炭鉱山を一旦採掘されてしまったら、今後何十年ものあいだCO2を排出し続けることになり、地球に大きな影響を与えてしまいます。
だからこそ、今すぐに行動する必要があり、着手される前に止めることが大事だそうです。
〝今日の融資の決定は、明日の未来の決定〟という言葉が印象的でした。

最初のターゲットはシティグループだったそうで、シティバンクのビルの前にこのような横断幕を掲げたことも!
〝おい、シティバンク!おれたちのおカネをそんなことに使うんじゃない!〟

image

アメリカは市民が大胆なデモなどをして意志表示ができる寛容な社会だそうです。これは日本の弱いところですね。
また、メディアの力も大きく、ある銀行が環境に配慮した投融資に方針を変えたことが報道されることで、他の銀行も方針転換し始めるような波及効果があるそうです。
実際、石炭分野から銀行を撤退させるのに果たした新聞などのメディアの役割は非常に大きかったとのこと。
このような取り組みの結果、今年はシティバンクやバンク・オブ・アメリカなどの5社が、石炭産業への投融資を削減する表明をしたそうです!

日本のフェア・ファイナンス・ガイドは生まれてまだ一年ですが、このような働きかけの結果、りそなグループは人権方針を改定して、投融資先に世界人権宣言などの国際規範の順守を求めていくことにしたそうです。
早くもよい動きが生まれ始めていることに希望を感じます!

こうして世界で成就し始めた「悪いおカネの流れを止める」ムーブメントと、「よいおカネの流れを創る」ムーブメント。
わたしたちはいままで金融機関を選ぶ際のポイントとして、〝どんなことに投融資しているか〟という視点がなかったように思います。
それぞれがこの新しいモノサシをしっかり持って、凛とした態度で金融機関を選べるようになれたら、世界は平和になっていきます。
これからは破壊産業から平和産業の時代へ。
みんなでその時代の幕を開けていきたいです!

関連カテゴリー: