今から1,500万年前と言ったら、どんな世界を想像されますか? 紀元前3,000年の古代エジプトでもずっとずっと昔という感じですが、1,500万年前と言うのは紀元前3,000年より3,000倍も古い時代のことです。ちょっと計算してみましょう。3,000年というのは現在が西暦2,000年と少しですから、実際には2,000年+3,000年=5,000年前のことですね。ですから、1,500万年前までに5,000年が何回あるかと言えば、15,000,000年÷5,000年=3,000回という答えが出てきます。

何故このようなお話からはじめるのかと言えば、今回お話しする「モルダバイト(Moldavite)」という石の起源は今から1,500万年前と言われているからです。では、1,500万年前とはどういう世界なのかと言えば、ヒトがこの地球上に誕生したのが500万年前ごろとされていますから、その3倍も古い昔のことです。実はこのころに、宇宙から大きな隕石が地球に落下し、大きなクレーターをつくっています。「モルダバイト」はこの隕石と関係があるのです。

「モルダバイト」は、以前は隕石そのものだと言われてきました。でも、今日では次のようなプロセスによって誕生した鉱物であることが分かっています。まず、大きな隕石が地球に衝突すると、そのすさまじい衝撃のエネルギーによって地表の岩石は溶解し、その破片が空気中に吹き飛ばされます。破片は急激に冷却され、ガラス質の鉱物を形成します。これを「テクタイト(Tektite)」と言います。「モルダバイト」はこの「テクタイト」の一種なのです。

Stone_080204では「モルダバイト」が「モルダバイト」である条件はと言うと、それは産地が旧チェコスロバキアであることです。これは「モルダバイト」の名称の由来を知ればその理由が明らかになります。旧チェコスロバキアにはヴルタヴァという川があるのですが、その川のドイツ語名はあのスメタナの交響詩「わが祖国」の第2曲として有名な「モルダウ川」のことです。「モルダバイト」はまさにこの川の付近で産出されたものなのです。でも、肝心のクレーターはどこかと言うと、産出地から数百キロも離れたドイツ国内のライスクレーターとのこと。このことから、隕石衝突の規模の大きさと、なんと言っても気の遠くなるような歳月の流れを感じますね。

しかも、「モルダバイト」は世界各地の「テクタイト」の中でも最も美しく、その透明感のある緑色には何とも言えない魅力があります。それゆえに、ジュエリーに仕立てて、リングやペンダントとして愛用する人が多いのです。一方、パワーストーンとしてもこの石を常に持ち歩く人がいます。次回は、「モルダバイト」のパワーストーンとしての魅力をお話しましょう。