一緒にいながら違ったことを考えていることを「同床異夢(どうしょういむ)」と言いますね。これは日常比較的よく使われる四文字熟語ですが、これとよく似た意味合いの言葉が鉱物学の世界でもよく使われています。「同質異像(どうしついぞう)」という四文字熟語です。

Stone_080603なぜこんなお話から始めたのかと言いますと、実は「カイアナイト(Kyanite)」という石のことをお話しするには避けて通れない事情があるのです。と言いますのは、「カイアナイト」という石の化学成分は「Al2SiO5」と表記されています。ところが、他の石でも、この化学成分と全く同じものがあります。すなわち「同質異像」とは、「同じ成分でありながら違った特徴をもつ石」という意味合いで使われているのですよね。

では、「カイアナイト」とまったく同じ化学組成の石とはどんな石なのでしょうか。有名な同質意像の石として、「紅柱石(こうちゅうせき)」と「珪線石(けいせんせき)」があげられます。私は鉱物の専門家ではありませんから、詳しいことは申し上げられませんが、「カイアナイト」の場合は、他の二つの石に比べて低温・高圧という条件下で生成されるとのこと。これに対して中高温・低圧の条件下の場合は「紅柱石(こうちゅうせき)」に、また、高温、中高圧なら「珪線石(けいせんせき)」になると言われています。同じ遺伝子をもつ人間や動物の兄弟姉妹でも、顔かたちや性格が異なるわけですから、鉱物の世界においてもかくありなんですね。

ふたたび「カイアナイト」に戻りますが、この石には際だった特徴があります。結晶が「柱状結晶」といって、タテ方向に細い繊維が走るようなテクスチャーを示しています。これが面白いことに、繊維状の流れと平行方向ならナイフでキズをつけることができますが、直角方向だとキズをつけることができないのです。すなわち、方向によって、結晶の硬さが違うのですよね。そのため、「カイアナイト」の鉱物データでは「硬度」のところに「4~7.5」という幅をもたせた数値が表記されています。こうした特徴を持つことから、「カイアナイト」を「二硬石(にこうせき)」と呼ぶ場合もあります。

ところで「カイアナイト」の色に関してですが、白や緑色のものもありますが、典型的なものは藍青色です。これは「カイアナイト(Kyanite)」の語源がギリシア語で暗い青色を意味する言葉「キアノス(Kyanos)」からきていることでも察しがつきます。一方、日本名では「カイアナイト」を何と呼ぶかというと、「藍晶石(らんしょうせき)」です。ここにも「藍(青)」という字が含まれていますね。ただ、「藍」に結晶の「晶」を加えたのは、この石が結晶しやすい性質を持っているからだと説明されています。

では、次回に「カイアナイト」のパワーストーンとしての魅力をお話ししましょう。