【今週の悩めるマダム】

 

昔から整理整頓が苦手です。自分ではきっちりしてるつもりですが、東京で働く娘が帰ってくるたびに「また物が増えてる!」と怒られます。主人の大事な物をなくしてしまうこともあり、そのたびに怒鳴られて悲しい気持ちになります。でも私は物を捨てられず、どうやって片付ければいいかわかりません。(兵庫県在住・50代女性)

 

奥様のお気持ちよくわかります。私も一緒で物が捨てられません。あらゆる物をとっておく癖があるんですよ。息子に「なんでそんなどうでもいい物を捨てられないの」とよく笑われます。

 

とくに私は箱が好きでして、我が家にはいろいろなサイズの箱がたくさん転がっております。なかにはその時の気持ちや思い出なんかを表面に筆で殴り書きした、ちょっとした創作品などもあります。辻家は今、“箱博物館”といった状態です(笑)。でも、この箱、思わぬ時に役に立ちます。誰かにプレゼントを贈る時とか、パリでは珍しい日本の木箱の存在意義は大きいのです。ともかく、物を捨てられたらもっと部屋が片付くのにと息子に叱られる日々ではあります。なので、奥様にいいアドバイスをすることができません。

 

ただ5年前、離婚の直後にはものすごくたくさんの物を捨てました。思い出のある物も容赦なく捨てたのです。息子がそれを見て号泣してしまう物はすべて、僕の判断で処分しました。当時10歳だった息子の精神状態が心配だったからです。

 

それでも捨てられない物、いくら父親でも勝手に処分できない物もありました。なので、20年後、30年後、彼が両親の離婚というつらい過去を受け止めた時に自分の意志で開けることのできる箱を「息子の思い出ボックス」と名付けて2つ作りました。そこには家族が幸せだったころの写真や小物、思い出の品々が眠っています。タイムマシンのようなものですね。箱の上には「お前がもう大丈夫と思った時に自分の意志でいつでも開封しなさい、父」と書いてあります。それは地下室のいちばん奥にしまわれています。息子が抱えた幼少期のトラウマは、現在の彼の心にもなんらかの影響を残しています。でも、その影響が年々薄まっているのもたしかです。私も一緒です。時間が人の心のいちばんの良薬だからなのでしょうね。

 

奥様が物を捨てられないのは、ご家族との生活に愛が溢れているからだと思いますよ。娘さん息子さんがくれたプレゼントの箱でさえ大事にしていたいという思い、別にそのままでいいんじゃないですか? ご主人やお子さんに文句を言われても大事にずっと持っておけばいいと思います。

 

断捨離が流行っていますが、そんなに素晴らしいことでしょうか? 私が経験した離婚のようなもうどうすることもできない事態にぶつかった時には仕方のないことだと思いますが、まだとっておくことのできる心のスペースがあるのなら無理して捨てないで持ち続けてください。物自体が大事なのではありません。奥様がご家族を思う気持ちこそが大事です。ご主人に怒られたら、だって、「私はあなたを捨てられないのよ」と甘えてみてください。悪い気持ちになる人なんていませんから。

 

【JINSEIの格言】

 

断捨離ブームって、どうもよく理解できません。思い出を捨てられないのは、奥様が幸せな証拠。心にスペースがあるのなら、無理して捨てようとしなくてもいいんじゃないでしょうか。

 

 

この連載では辻さんが恋愛から家事・育児、夫への愚痴まで、みなさんの日ごろの悩みにお答えします! お悩みは、メール(jinseinospice@gmail.com)、Twitter(女性自身連載「JINSEIのスパイス!」お悩み募集係【公式】@jinseinospice)、またはお便り(〒112-0811 東京都文京区音羽1-16-6「女性自身」編集部宛)にて絶賛募集中。 ※性別と年齢を明記のうえ、お送りください。

 

以前の連載「ムスコ飯」はこちらで写真付きレシピを毎週火曜日に更新中!

関連タグ: