冠動脈バイパス手術を受け、ご退院からわずか1週間後の3月11日、国立劇場での東日本大震災一周年追悼式に出席された天皇皇后両陛下。もともとこの追悼式ご出席のために逆算してバイパス手術の日程を決められたのだが、退院後の1週間、御所でのご療養は難航していた。

「陛下は御所内を歩かれるだけでも息切れされるほどで、機械を使った歩行リハビリは一時休止となりなした」と宮内庁担当記者は言う。6日の検査では胸水がたまっていることが判明し、翌日、宮内庁病院で注射器を使い胸水を抜く治療も行われた。

リハビリもままならぬ陛下のために、美智子さまが、まず取り組まれたのは食欲のご回復だったという。ある宮内庁関係者は言う。

「陛下の食欲不振は東大病院入院中から続いていました。退院後の会見で、金澤一郎皇室医務主管は『(皇后陛下は)陛下のお口に合うものを、手を替え品を替え作ってお持ちになった』と明らかにしています。御所に戻られてからも自らお料理されていたと聞いています。スープ類のことが多いようですね」

かつて長年の交流があり’10年に亡くなった歌人・河野裕子さんにも、生前お見舞いにスープが贈られていた。美智子さまの知人によると

「中身は澄んだコンソメスープで”食欲がなくても飲めるように”というご配慮なのでしょう、具材はほとんど入っていません。あっさりとした薄味なのですが、滋味にあふれていました。時間をかけて煮込んで下さったのだと感激しましたね」

さらにさかのぼること40年、すでにお手製スープは存在していたようだ。皇太子さまのご学友の1人は言う。

「小学生のころ飲ませていただきました。鶏肉と野菜を煮込んだものだそうで、具はほとんど入っていませんでした。殿下(皇太子さま)が風邪をひかれたときなどに、作られていたものだそうです。とても優しい味だった記憶があります」

悲願だった2人揃っての追悼式ご出席。陛下を支えたのは、リハビリのときに寄り添う美智子さまと「秘伝のスープ」だった。

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