5月25日、母親の生活保護費受給をめぐり記者会見を開いた次長課長・河本準一(37)。28日にはキングコング・梶原雄太(31)も、母親が生活保護費を受給していたことを明かすなど、なにかと話題になっている生活保護費。だがその使われ方に、本誌はずっと以前から疑問を呈していた。女性自身2008年10月28日号によると、元ホームレスの生活保護費を詐取する会社の存在が明らかに。そして、そのピンハネの瞬間を目撃していた――。

2008年10月上旬、東京近郊にある区役所前には、始業前からから約30人が長い列を作っていた。彼らは月に1度の生活保護費を受け取るため、並んでいるのだ。窓口が開くと彼らは書類に押印し次々と封筒を受け取っていく。午後1時過ぎ、5人の男性が受け取りにやってきた。彼らは封筒を受け取ると、窓口の向かい側にある長椅子に座る。彼らに近づく30代の男性。5人は、生活保護費の入った封筒をそのまま男性に差し出していた。

元ホームレスのAさんは「もらったばかりの生活保護費を、身を寄せている会社の監視役に渡しているんです」と話す。金属加工を営むこの会社は、路上で生活している人たちを見つけ、「雨露をしのげる場所とお金を稼ぐ仕事を提供する」と勧誘。”住み込みで働く契約”を結ばせると、生活保護を申請させるという。「戸籍の附票を取り寄せるように言われました。書面上の最後の自分の住所(現在は住所不定)がわかると、次に『これがあなたの住所だ』と市内の住所が与えられるわけです」(Aさん)

Aさんはその後、住み込みの作業所に連れて行かれた。だがそこは、申請した住所とはまったく別の場所だった。「作業場には4畳半に2段ベッドが置かれ、10人ほどが住んでいました。6時起床で簡単な朝食。9時から作業が始まりますが、午前中で終わり。昼はざるそば、夜はカレーライスとコロッケが2個ついていました。1日が終わると、500円がもらえました」(Aさん)

生活保護費は、初回に30万円、以降は毎月11万円を受給されるが、元ホームレスたちは全額をそのまま会社側に提出。うち約95%の10万5千円を会社に差し引かれ、残りの5千円をもらうという。生活保護費は税金から支払われるもので、当然、受給の権利を他人へ譲渡することは禁止されている。

区の福祉課責任者に確認したところ、「ある組織がホームレスを支援して、生活保護費受給の手伝いをしているというのは事実です。県内に20団体はあるでしょうか」と、平然と話す。生活に困窮した人の自立支援のため税金から支払われているものを、他人が、しかも約95%も取ってしまうことはおかしいのではないかともぶつけたが、「個人が団体の力添えを受け、しかも提供された居宅に満足しているのであれば、合法だと考えます」と答えた。

今回の件は、隣県から受け取りに来ている。住民は自分たちとはまったく関係のない人のために税金を支払っていることになるが、それでも担当者は「もし事実であれば大きな違反です。ただ、市内の申請した住居に住んでいて他県へ出稼ぎに行っているとも考えられますからね。その場合、違法とは言えないんですよ」と調査に乗り出す気配はなかった。

では、会社側はどう考えているのだろうか。Aさんが働いていたという団体の代表者に問い合わせたが、「私は世直しをしたいんだ。私の考えに勝手にみんなが集まっているだけさ。取材には応じられない」と電話を切ってしまった。私たちの税金のこんな使われ方が、日常化しているのだ――。

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