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「まぁ93歳だったから大往生だねぇ。でも(家のなかで)転ばなければ、もうちょっと長生きできたのになぁ」

 

悔しそうに語ったのは、武良幸夫さん(91)、漫画家・水木しげるさん(本名・武良茂、享年93)の実弟だ。水木さんが自宅で転倒したのは11月11日。硬膜下血腫で緊急手術を受けたが、30日未明に容態が急変し、帰らぬ人になった。‘08年の本誌インタビューに水木さんは、こう語っていた。

 

「100歳まで生きなくちゃならんからな。いま86歳だけど体は青年のときと同じです」

 

水木さんには、たった1人の孫がいる。13歳の男の子で、彼が成人式を迎えるのが、100歳のときだったのだ。54年間連れ添った夫を失った妻・布枝さん(83)は、自宅に戻ってきた遺骨を守り、弔問客の相手をする日々だという。ファンの集い『ゲゲゲ友の会』会長の今野雄二さんは言う。

 

「奥さんは通夜やお葬式のときも涙も見せず、気丈に振舞っていました。参列したのはご親族だけでしたが、近所住民の手を煩わせるのが避けたのではないでしょうか。水木先生も、そういう方でした」

 

水木さんは生前、自宅近所の寺に自身の墓を設けていた。墓石を守るのは鬼太郎やねずみ男など、水木さんが愛した妖怪キャラクターの石像だ。まだ誰も埋葬されていないその墓を、水木さんはしばしば訪れていたという。寺の住職は言う。

 

「昨年も墓地で水木さんをお見かけしました。妖怪たちが彫られた石塀の囲いのなかに、ご自分で新しい土を運び入れていて、お墓をキレイに整備していたのです。『私も92歳になったよ』とおっしゃっていましたが、何だか楽しそうで……」

 

自らの終活にも水木さんは明るく向き合っていたのだ。

 

「アニメの鬼太郎の歌に『お化けは死なない♪』という歌詞もありましたが、きっと水木先生も亡くなったのではなく、大好きだった“妖怪”になれたのだと思います」(前出・今野さん)

 

妖怪になった水木さんは鬼太郎たちといっしょに、愛する家族を見守り続けている――。

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