NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(月〜土曜8時〜ほか)の第10週(6月6日〜11日)は、タイピストとして確かな収入を得られるようになった常子(高畑充希)は、父・竹蔵(西島秀俊)が作った家訓、『月に一度皆でお出かけする』を再開する。しかし、鞠子(相楽樹)も美子(杉咲花)も忙しく、乗り気ではなくて……。

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タイピストとして働くようになって2年が過ぎ、常子は、名実ともに小橋家の大黒柱になっていた。かつて竹蔵が作った家訓、『月に一度お出かけをする』を再開しようと、母・君子(木村多江)たちに提案する。しかし、年頃の鞠子も美子も忙しく、お出かけの場所や日程を家族で決めようと常子が提案しても、イマイチ乗り気でない。一方、常子と星野(坂口健太郎)は、週に一度、おしるこ屋さんで会い、週にあった出来事を報告することを続けていた。「なぜ、そんなに家訓を大切にしているんですか?」と問う星野に、常子は、亡くなった父が大切にしているもので、妹たちを守ると約束したからだと話す。さらに、そんな父の雰囲気と星野が似ている気がすると話す常子。星野は、あることを常子に告げようと決心していたが、口に出せずにいる。そんな折、美子は、滝子(大地真央)から奉公人たちのお仕着せの仕立てを手伝って欲しいと頼りにされていた。裁縫ばかりしていないで勉強しろと口やかましく言う常子に叱られたくないと、思わず、友達との勉強会があると嘘をついてしまう。お出かけ当日。寒空の下で待つ常子と君子に、大学の詩の朗読会に参加していた鞠子が遅れて合流する。しかし、美子はいつまでたっても現れない。心配になって森田屋に戻ってみても、まだ見てないと言われる。宗吉(ピエール瀧)たちも探しに行こうと表に出ると、美子が帰ってくる。嘘がバレ、駄賃が欲しさに家訓を破ったのかと詰め寄る常子に、「家訓なんて止めればいいのに」と反論する美子。竹蔵が亡くなったときにまだ5歳と幼かった美子は、今では父のことを思い出せず、たとえ父が生きていたとしても、家訓を続けていたかはわかないと主張する。逆上する常子は、「家訓をやめるなんて絶対に認めない」と言い放つ。

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それから数日が過ぎ、新年を迎えた小橋家。常子と美子、家訓をめぐり対立する2人の溝は埋まらずにいた。ある日、職場に見知らぬ女性が現れる。タイピストたちが詰める部屋に向かったその女性は、タイピストの諸橋(野村麻純)に「泥棒猫!」と掴みかかると、自分の夫と不貞を働いたと言って暴れ出す。この一件で、諸星が一人責任を取らされ、会社をクビになる。山岸課長(田口浩正)は、戦争で人手が足りないこの時世で、男性社員は辞めさせられないと、男女の処遇の差を肯定。早乙女(真野恵里菜)は、諸橋だけに責任を取らせるのは解さないと意見する。「責任は双方にある」と。対して、「書類を清書するだけのタイピストなんて履いて捨てるほどいる。女の本分は、お国のために子を生み、増やすことだ!」と暴言を吐く山岸。常子は、心の中で男女の差などないと強く思うのだった。

 

ある日、美子は滝子に誘われ、洋服店で働くことになる。鞠子に相談し、常子の許可を得ようとするも、忙しいからと取り合ってもらえない。一方で、常子は大量の仕事を抱える余り寝過ごし、朝食を皆で食べるという家訓を破ってしまう。仕事なら許されるのかと嫌味を言う美子に、「私が誰のために働いていると思っているの?」と常子。美子は「そういうのが息苦しい。いつも家族のためっていうけど、言われるほうの身になって。私ももっと自由にやりたい」と反論する。そこへ君子の手が出て……。美子だけでなく鞠子も同じ気持ちだと知って愕然とする常子。鞠子は、自分の給料や時間を妹たちのために使う常子を、美子はいつも心配しているとかばう。「とと姉が本当にしたいようにして欲しい」と鞠子。常子は「家族の幸せとは?と悩み始める。そんな折、星野から急遽、大阪に行くことになったと告げられる常子。大阪の大学の教授の元で植物の研究を続けられることになったという。喜ぶ常子だったが、もう東京には戻らないと聞き、動揺する。宗吉(ピエール瀧)らに話し、送別会を開いてもらおうと、明るく振舞おうする常子の目に涙が光る。「僕は寂しくない!」と思うように自分に言い聞かせてきたが、耐えられそうにないと告白する星野。「常子さん、僕と結婚してくださいませんか?」という言葉に、常子は「結婚!?……」と動揺する。

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「僕と一緒に大阪に行ってください。ともに植物に囲まれて暮らしましょう」。そうプロポーズをする星野。常子は、「ありがとうございます。すごく嬉しい」と答えつつ、時間が欲しいと語る。突然の告白に何も手がつかなくなった常子は柄にもなく熱を出し、寝込んでしまう。自分が家族のためにしていることは、鬱陶しいことなのか。このまま結婚もせず、自分を犠牲にする人生でよいのか、布団の中で逡巡する常子。そんな折、早乙女が森田屋を訪ねてくる。早乙女は、常子たちの部屋に飾られる家訓を気づくと、常子は自分の人生の目標を書いたものだと説明。すると「鞠子と美子を嫁に出す、順番としてはあなたが先じゃなくて?」と早乙女。自分のことよりも妹たちのことを優先する常子の生き方に感心しつつ、一人っ子の自分にはわからないと話す。がむしゃらに自分の力だけで生きてきたつもりだが、やっていることはただの清書。「女が一人で行きていけるほど甘い世の中ではない」と語る早乙女に、妹たちの面倒を見るべきだと言われ、常子の迷いはさらに深くなるのだった。

 

常子は、寝込んでいる間、鞠子や美子の様子を伺い、自分が考えているよりも成長していたことに気づく。「あなたももう少しだけ自分のことを優先してもいい時期かもしれない」と君子に助言され、職場でも身が入らない。そんな折、滝子の元を訪ねた常子は、美子が駄賃にこだわっていたのは、学費を少しでも返したいという家族を思う気持ちからだったことを聞かされる。「あの子たちが一人前みたいな顔をしてイキイキとやりたいことをやれるのは、常子がいるからだよ。鞠子も美子も、まだまだ子供なんだよ」と滝子。その言葉に、涙ぐむ常子。部屋に戻り、美子に頭を下げる。美子は常子に手編みのマフラーを渡し、私も悪かったと謝る。長いこと自分の服を買わない常子に「せめてマフラーくらいは新しいものをして欲しい」と美子。さらに、またみんなでお出かけに行きたいと申し出る。久しぶりに笑顔で楽しい会話を交わす2人。やはり自分にとっては家族が一番大切だと感じた常子は決心を固め、星野のところに向かう。

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星野の部屋は、すでに引越しの準備が進んでいた。たわいのない会話をしながら「似てるんですね、私たち、いい夫婦になれるかもしれない」という常子。その言葉に、星野は一瞬、心を踊らせる。しかし「今は結婚できません」とプロポーズを断る常子。今は家族と離れるわけにはいかないし、自分自身、まだ家族を支えたいと思ったと説明する。頭を下げる常子に「謝らないでください。僕も心のどこかでそう言われるのはわかっていた気がする」と星野。自分が常子に思いを寄せたのは、自分を後回しにして家族のために全力で走る性格だから、と。「自分の好きな常子さんであれば、結婚よりも家族を選ぶ」と伝え、星野は常子と別れる。出発当日、星野は大学の友人に見送られ、列車に乗り込む。そこに常子の姿はない。常子との数々の思い出を思い浮かべる星野。列車が鉄橋に差し掛かろうとするとき、星野は車窓から、遠くで一人佇む常子の姿を見つける……。帽子を振って「常子さん!」と何度も叫ぶ星野。常子は、静かに微笑むと一礼するのだった。

 

森田屋に帰った常子に、星野と何があったのかを聞く君子。そこで初めて、結婚を申し込まれたが断ったと聞かされ、絶句。しかし、常子は「私はまだここにいたいんです。鞠ちゃんがこれからどんな小説を書くのか、よっちゃんがどんな大人になっていくのか、もう少し見守っていないんです。とととの約束は関係ありません」と答える。しかし星野との別れは辛いものだったと言い、涙を堪える常子。君子は「こうしていれば誰にも聞かれない」と常子を抱きしめる。そして、常子は初めて声を上げて泣いた。

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第11週(6月13日〜18日)の『とと姉ちゃん』は、昭和15年10月。戦争が長期化する中で、常子たちの会社は次第に閑散としていく。青柳商店も森田屋も例外ではなく、宗吉(ピエール瀧)は給金をしばらく待って欲しいと、君子たちに頭を下げる。仕入れがままならず、注文も売上も減少の一途だという。そんな折、常子は多田(我妻三輪子)に相談にのってほしいと言われ、ビアホールに行く。そこで突然、時世を憂う男たちに不謹慎だと絡まれてしまい…。

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