整形した有村藍里はコンプレックス時代の象徴になれるのか?
(イラスト:おおしまりえ)

「キレイになりたい」

 

女性なら誰しも思っていることでしょうし、顔のコンプレックスを持たない女性の方が、世の中には多いと思います。そんな中、1本のテレビ番組が話題を呼んでいます。

 

先日放送の『ザ・ノンフィクション』では『あなたの顔、治します』と題し、都内の人気美容整形外科医に密着。その中でグラビアタレントとして活躍する有村藍里さん(28)の輪郭形成手術が放送され、ネットでは「可愛くなった!」「心の闇が深い」と話題を呼んでいます。

 

■顔が嫌なのか、自分の存在が嫌なのか……

 

有村藍里さんと言えば、言わずもがな若手人気女優の筆頭である有村架純さん(26)の姉として一躍有名になった人物です。それをチャンスと捉え、彼女の知名度も急上昇。しかし「妹より顔が(主に口元が)残念」と誹謗中傷されたことで、深く傷つき、そして今も悩みの中にいるようです。

 

そんな彼女の手術は見た目には大成功。ラストでは涙を流して「もっとオシャレやメイクも楽しみたい」と喜んでおり、ハッピーエンドで番組は幕を閉じました。

 

コンプレックスを克服した藍里さんの今後の活躍が楽しみですが、ふと彼女の立ち位置というのは、難しくも時代にマッチした存在ではないかと思えてきます。それは、“コンプレックスの象徴”とでも言いましょうか。承認欲求がダダ漏れる今の時代において、それに悩み、そして抗おうとする等身大の共感型タレントになれるのではと思ったのです。

 

■“自信がない”が唯一無二の魅力になる

 

番組内で印象的だったのは、彼女がコンプレックスを語る一幕です。「(有村架純の)姉であると言われることで、自分が自分でなくなったような気がした」と彼女は語り、涙していました。この“本当の自分が分からない”という感覚は、現在多くの10代20代の中に存在する、焦燥感と似ていると思うのです。

 

しかし普通は、彼女のように“顎の骨を削って、自分を変える”といった行動力は持ち合わせていません。せいぜい加工アプリの技術を高め、本当の自分とのコンプレックスに悩みながらSNSで偽りの称賛を集めるのが関の山です。だからこそ藍里さんが悩み、そして行動しようとする姿は、共感と応援を集めるように思うのです。

 

美容整形や写真加工などといったコンプレックス克服の技を極め、自信がないながらも語り立ち向かうことで人気になるかもしれない。もちろんその姿は、妹の架純さんとはまったく違う能力。彼女だけの存在価値といえます。

 

■あらがい続ける選択が彼女にできるか

 

ただこのコンプレックスを売りポイントにするという方法は、危険もはらんでいます。それはコンプレックスと常に戦い続けることでしか、価値を担保できないという点です。

 

20代の若いころは共感というコンテンツで多くの人がついてきます。ただ30代40代と年齢が上がると、人は見た目以外のことに関心度が移行していきます。いつまでも見た目の問題にとらわれてしまうと、彼女は逆に“痛い”と言われるリスクがあるのです。

 

とはいえ“コンプレックスをバネに頑張るけど、まだまだコンプレックスに縛られている”ように見える彼女。その“頑張っているけど突き抜けきれない彼女”というのも、また今の時代っぽくていいなと思います。

 

人は必ずと言っていいほど他者との比較の中で育ち、そして苦悩することがあります。見た目のコンプレックスと合わせて、比較される苦しさを分かっている。それも大きな存在(妹)との比較……という立ち位置はものすごく苦しそうな反面、彼女を唯一無二の存在にしてくれます。

 

だからこそ筆者は「大きくブレイクするまであと少し頑張って!」と応援したくなるのですが、この応援したくなるほどの儚さもきっと本人は気づいていない価値なのかもしれません。

 

自分の価値って大体が無自覚なものの事が多いのですが、どんな“らしさ”も気づいて受け入れることが輝く一歩だと思うのです。

 

(文・イラスト:おおしまりえ)

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