[E:note]同じ“沖縄のDNA”を感じるというモンゴル800。彼らの楽曲の中でも『小さな恋のうた』を選んだのには何か理由があったのでしょうか?
普天間:『小さな恋のうた』というのは、広い宇宙、青い地球の中にあって、沖縄は小さい島だけれど、小さいながらも一人の愛する者を思う気持ちは遥か彼方へ届くほど……。そして、音楽にその一途な思いを託すというところにものすごく打たれましたね。音楽もたくさんジャンルがありますから、ふだんモンゴル800のような若い方の曲、ロックは聴かないという方もいらっしゃるかもしれません。だけど、それで彼らのこんなすばらしい曲に出会えないとしたら、それは本当にもったいない! まだ出会っていない人でも、私なりのアプローチの仕方で歌ったこの曲を聴く機会がつくれたら、きっと良さを感じてくれるはず! そう思ったんです。
[E:note]テンポの速い曲調の歌が、とてもゆったりとしたものに出来上がっていますよね。
普天間:私としては、彼らの『小さな恋のうた』はそれほど装飾しないでも十分に成立する、力を持つ歌だと信じていましたから、とにかく、もともとのすばらしい歌詞とメロディを聴かせようという方針でアレンジをしました。そのために、テンポをゆっくりとして言葉がより聞き取りやすく、よりメロディラインが際立つような形にしてレコーディングをしました。
[E:note]聴いた方の反応はいかがでしたか?
普天間:とても興味深いのは、私の歌う『小さな恋のうた』を聴いた方で「モンゴル800は好きでこの曲も知っていたけど、この歌がこんなにいい歌だったなんて知らなかった。本当にいい歌ですね」と、改めてこの楽曲のよさを再発見して下さる方が多かったんですよね。そんなふうに彼らの歌とは違う聴き方をして下さる方がとても多いことを知って、歌ってよかったなぁと思います。それと、私自身、作る側でもありますが、もともとは唄うことが大好きでスタートしていますから、数ある楽曲の中でも、歌い手として、すごく歌いたい! と思わせてくれたものの一つだったと深く感じています。
[E:note]歌い手という意味では、唄うということを始めたのは小さいころからなのですよね。
普天間:3歳のころからです。
[E:note]さすが芸能の島ですね。
普天間:そうですね、これだけたくさん沖縄出身の歌手が出てくるというのも、沖縄の環境でしょうね。私も3歳から歌を唄い始めた当初は、あちらこちらののど自慢大会に出て賞をもらっていました。けれど、小さい島なのでそのうち出尽くしてしまって(笑)。
[E:note]それはすごい(笑)。
普天間:そうこうしているうちに、「番組にゲストで出ませんか?」、「うちの祭りで唄ってください」、「結婚式で唄ってくれないか」と依頼のお声がかかるようになり、だんだん沖縄の芸能界、音楽界の中でちびっこ歌手のような形で歌を唄うようになっていったのです。小学生でありながら歌手活動もやる、そんな子供がいるの? と思われるかもしれませんが、沖縄ではあまりめずらしいことではないのです。みんな子供のころから民謡や踊り、なんらかの芸事をやっている人が多いので、今活躍されている音楽家の方を見ても、早くから芸能に触れてやっていた方がたくさんいらっしゃいますよね。本土の子供が、「歌手になりたい!」なんて言ったら、たぶん「勉強しなさい!」と叱られるのかもしれませんが、沖縄は芸事を才能だと認めて、みんなが応援してくれるんですよ。だから、私も仕事で学校を早退するとき、先生に話すと、「あ~いいよ、頑張って行っておいで」と、生徒も「いってらっしゃ~い!」みたいな感じでふつうに送りだしてくれたんですよね(笑)。何か、そういうところが沖縄の音楽、芸能、文化を昔から支えているような気がしますね。