“ライブで泣かせるオンナ”
彼女のライブに聴きにきた人間は、半数以上、涙を流すという。
「歌手になりたい」と故郷・神津島から上京。高校に通いながら、東京の四ツ谷や吉祥寺の駅前でストリートライブをおこなう制服姿の彼女は、当時、メディアで注目を浴び、翌年メジャーデビューを果たすも、メジャー時代は約2年で終了。2007年に自主レーベルを立ち上げ再出発を切った。
そんなさまざまな苦難!? を乗り越えてきた石野田奈津代だからこそ、彼女から生まれる作品は聴く者たちの胸を打つのか……。ライブに来た人たちは、笑顔になり、元気な姿で帰っていく。
そして2009年、再びメジャー入りが決定した石野田!! 11月発売のアルバム『きみのうた』はインディーズ最後の作品となる。今回は、“オンナ版 リストラの星”となるか?!
トレードマークの724ギターケースを見つけたら、きっと可愛い歌姫の優しい笑顔に出会えるはず…。(撮影/徐 美姫)
[E:note] 10月は個展『カキカキらららポロン』と題して、石野田さんがギターやピアノに絵を描いて、その楽器で演奏をおこなったんですよね。ふだんからいろいろ変わった催しを企画されたり、ユニークな場所でライブをおこなったりしているのは理由があるのですか?
石野田: 歌って聴く場所や状況で、同じ作品でも違って聴こえてくると思うんですね。プラネタリウムコンサートや星空コンサートは、自分の曲のなかで、星がテーマになっているものがすごく多いこともあって、星を見てもらいながら曲を聴くと、より歌の世界に入ってもらえるんじゃないかと思って、場所にこだわりましたね。また、サンセットビーチで、夕日をバックに海の歌や自然の歌を唄うと、ライブハウスというところで唄うよりも、より歌が伝わりやすいと思うんですよね。ライブハウスでしかライブができないとみんな勝手なイメージがあるけど、もっといい場所を探したい、自由なんだ!と。
[E:note] 銭湯がありましたよね(笑)。
石野田: 銭湯は湯船で唄うとキモチいい~って(笑)。ライブをやらしてくれる銭湯を探して、交 渉しました。脱衣所を貸してくれるところはあるんですけど、浴室の中までは貸してもらえるところがなかなかなくて。観客席は、脱衣所と浴室の洗い場にイスを置いて席を作って、お湯を抜いた浴槽に私が入って唄ったんですよ。声が響きましたね~。お風呂場で唄った感じがなんてキモチいいんだろっ! 「銭湯で唄ってみたい」というところから始まったんですよ。
[E:note] 銭湯のほかにはどこで?
石野田: いちばん驚かれるのは銭湯ですけど、あとは学校の教室を借りたり、庭がある一軒家を借りて、四季の宴を、桜の時期にはサクラご飯を作ったり、自分で手もみ茶を作りに行ってそれを出したり、とらわれず、基本的に自由にできると思いますね……。