劇団毛皮族のヒロイン町田マリーが体を張って演じた『美代子阿佐ヶ谷気分』

image――『美代子阿佐ヶ谷気分』なんですけれども、とてもいい映画で、本当に感動したんですが、主演をされていかがでしたか。ちょっと特殊な夫婦の話だと思うんですけれども。

町田 そうですね、元々ある、安部さんの漫画っていうのが素晴らしくて、それをとにかく、なんて言うんですかね、この映画に集まっている方々が全員その安部さんの漫画を広めたいとか、その二人のことをもっとたくさんの人に知ってもらうべきだっていう、安部さんへの思いで集まってる方々で。私は、これに出るって決まるまでは安部さんのことを知らなかったんですけど、出るって決めてから漫画を読みあさって、すごく感動して感銘を受けて。その雰囲気というか、そういう切なさとか、人の持っているというか、その二人の愛の形を伝えたいっていうことに、とにかく気持ちを込めてやってましたね。

―― 映画、すごく原作の漫画を外してないっていうか、すごく大事に作られているじゃないですか。特にオープニングの原作のままに進んでいくところなんですけど、何かご自分の中で役柄として作るというか、作りこんでいくことを考えらたんですか。

町田 そうですね。それはありますよね。美代子像を自分の中でイメージしていく時にも、『美代子阿佐ヶ谷気分』だけじゃなくて、本当にたくさんの安部さんの漫画を読みました。出てくる女性は大体は美代子さんがモデルということだったのでので、その台本とかにないような、ちょっとお茶目なかわいらしい部分だったりとか、そういうのも、美代子さんなんだなっていうのを、できるだけとりいれて。で、そういうものをちょっとでも出せる、滲ませられたらなと思いながら、役作りをしました。でも、監督はもう本当にオープニングに関しては、その通り撮りたいからと、撮る時も、「はい、これね」、「はい、これね」って漫画を見せられて、「もうちょっとこっち、はい」という感じで撮っていきました。

―― 原作の発表されたのが’71年だったので、今、’09年で、約四十年近い年月が流れていますが、あえて昭和の、あの時の気分を出すというか、何か苦労されたこととかありますか。

―― 一番、私が助けにしてたのは音楽を聴くことだったんですけど。劇中でも二曲、その当時の曲を自分で歌うっていうのがありますけど、その歌だったり。あとは、自分で’70年、’71年、’72年、’73年、’80年とか、撮影するシーン毎によって当時のヒット曲を、雰囲気作りと思って聴いて、その時代に浸っているような気分を作りました。

―― 「毛皮族」で演じられた、“オマリーちゃん”が大好きで。

町田 (笑)。

image―― あのイメージで町田さんをずっと思っていたので、今回の美代子の役って、ある意味、抑えた女性らしさっというか、女性としての内に秘めた気持ちで演じられるたと思うんですけれど、その辺はどうでしたか。

町田 でも今回の役の方が、普段の自分に近いです。毛皮族の舞台での役柄のほうが作りこんでいる感じで。衣装とかメイクとか、外見から埋めてる部分も多々ありますが、この役はできるだけ内面のほうを作っていこうと、揺れ動きだったり、その深層心理で何を感じてるかっていうことを、とにかく突き詰めて、見た目がどうというよりは、できるだけリアルにしたかったので、今、自分が綺麗に映っているかとか、そういうこと本当に置いといて、演技に集中するようにしてましたね。

―― 安倍さんも美代子さんも、どちらもご存命じゃないですか。ご存命の方を演じるっていうことに苦労というか、もしかすると、美代子さんに実際お会いされたんですか

町田 いえ、実際にお会いはしなかったんですけれども、監督が九州のほうまでお二人に会いに行って、インタビューして撮ってきてくださった映像はありました。今の美代子さんと安部さんなんです。でも、それはあんまり見ずに、漫画から得たイメージのほうをまず大事にしたかったのと、自分の想像を膨らませるほうを優先して。でも、ちょっとヒントになることも安部さんがおっしゃっていたり、「美代子はあの当時」とかっておっしゃっていたりするんで、そういうのはやっぱり聞き逃したくなかったんです。美代子さんのは物真似になりたくなかったっていうのはあったんで、薄目にしながら(笑)、とりあえず遠目では見ましたね。でも、やっぱり佇まいは参考にした部分もあります。でも、本当に監督も一番気にしていたのは、安部さんを傷つけたくないっていうことを言ってらして。私も本当に漫画を好きと思えたので、そこのよさっていうか、そういうものが映画から出たらいいなとは思いながら演じました。

―― その二人の関係性がすごく移ろい行くじゃないですか。最初の出会い、阿佐ヶ谷での生活、田舎に戻って結婚をする。で、だんだん安部さんの精神状態が壊れていって、やがてそうなっていったからこそ美代子さんの愛、妻としての立場としての愛が深くなっていく。なかなか演じづらいというか、演じる中で、演技者として心境の変化というかそういうのは。

町田 難しいとは思いませんでした。それは、女性だったらみんな持ってるものというか、理解できる感覚の中で、そういう母性的な部分だったり、それでもやっぱり男の人に責められたり、ひどいことされたりとかして傷つく自分だったり、そういうのを本当にリアルに感じながらやれるような感覚だったんです。そんなに無理して役を作ったっていう感じよりは、自分の経験だったり、あとは自分の母親のことを見たりとかしてきたことで、その中で表現できるんじゃないかなとは思いながら演じていました。

 

 

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